CB1100Rのリアブレーキマスターシリンダーからフルードが漏れているので、オーバーホールをしています。リザーバータンクからフルードを抜き取り、リザーバーホースとブレーキホースを切り離したら、マスターシリンダー本体はステッププレートごと外してしまいます。

 

スイングアームには、漏れたフルードが垂れて塗装が剥がれてしまっています。

 

ステッププレートとマスターシリンダーが外れました。

 

マスターシリンダーとスピンドルを切り離そうとしたのですが、ピンが錆びて固着しているので外れません。プッシュロッドも錆が酷いです。

 

プレスでピンを打ち抜いて、マスターシリンダーとスピンドルを切り離すことができました。

 

マスターシリンダーのブーツをめくったら、漏れたフルードがカスになって大量に溜まっていました。スナップリングはカスの中に埋もれていて見えません。

 

カスを掃除してスナップリングが見えてきました。スナップリングを外せばプッシュロッドは外せるのですが、プライヤーを差し込む穴が錆で埋もれていて外せません。ドリルで穴を開けて、プライヤーを差し込むことはできましたが、錆びて固着したスナップリングはびくともしません。

 

スナップリングを外さなければ、マスターシリンダーを分解することはできません。浸透潤滑剤を吹いたり、いろいろと技を駆使して無事に外すことができました。錆びて固着したマスターシリンダーを分解するには、サービスマニュアルには載っていないノウハウがありますが、そこが整備士の腕の見せ所です!

 

この車両、新規のお客さんの車両ですが、これまで車検毎にブレーキフルードの交換はやっていたようですが、フルード交換だけではこのような状態になってしまいます。この車両は幸いにも、リアブレーキのロックには至りませんでしたが、マスターシリンダー内の小さなポートが詰まると油圧が開放されずに、ブレーキがロックしてしまいます。

また、ブリーダースクリュー、ねじ類も錆が酷いです。この錆の状況からして、おそらく一度も交換されたことがなかったのでしょう。錆は早めに手を打たないと、いざ外そうとした時に固着して外れないとか、折れてしまうといったことになりかねません。

 

マスターピストンはまだ新品が入手できますが、プッシュロッドは廃番ですので、錆を落として錆止め剤を塗布して組みました。車両への取り付けは、先にマスターシリンダーをステッププレートに取り付けてからステッププレートごと取り付けます。この時に、スピンドルの錆落としとグリスアップも忘れないように行います。

 

CBのリアマスターシリンダーは、フルード漏れが発生しやすいです。車検毎のフルード交換はもちろんですが、それだけでは完調は維持できません。ブーツ内にフルードのカスが溜まると、プッシュロッドやスナップリングが錆びて固着して、分解するのが困難になります。フルード交換の時は、ブーツをめくってフルード漏れの有無を確認してくださいね。