処理速度を上げていくために必要なことを考えてみましょう。
私はいつも塾のテキストの基本問題を解かせてタイムを計ることにしています。
どこの塾でもテキストの基本レベルは同じような内容です。
塾によってはそれをしつこく何度も演習させますし、塾によっては次々と異なるパターンを解かせます。
いずれにしても小問1題あたりに掛かる時間を計測し、平均値を出します。
大まかな目安として、
偏差値40台だと3~5分くらい、
偏差値50台だと1~2分くらい
偏差値60以上だと1分を切ります。
偏差値70以上だと単元によっては30秒を切ります。
※ただし、問題が解ける前提です。
偏差値40台
まずは偏差値40台の場合を考えてみます。
偏差値40台といっても、前半と後半では大きな差が見られます。
宿題をやらないというのは論外として、その宿題に掛かる時間に大きな差が出ます。
偏差値40台前半(および偏差値40未満)の人で、宿題に2時間以上かかるという人がけっこういます。
そこで私が見ている前でやってもらうと、1時間ちょっとで終わってしまったりします。
おそらく家で宿題をやるときは、ダラダラと無駄に時間を費やしているのではないかと考えられます。
よく見られる特徴としては、
・宿題に取り掛かる準備に時間が掛かる
ということです。
「宿題をやりなさい」と言われてから実際に問題を解き始めるまでに15分くらい掛かっていたりします。
テキストを取り出すにもカバンの中を探し回り、宿題範囲のページを開くまでにも時間が掛かります。
テキストがやっと準備できても、今度はノートが見つからなかったり、残りのページ数が少なかったり。
筆記用具が見つからない、シャーペンの芯がない、芯が詰まった、消しゴムがない、などと探しているうちにせっかく開いたテキストが閉じてしまったりします。
やっとのことで問題を解き始めるのですが、問題文を読むのにすごく時間が掛かります。
問題文が長い(5行くらいある)と、読むだけで2分くらい掛かったりします。
そこから1回目の「長考」(シンキングタイム)に入ります。
1分くらいフリーズしていたかと思うと、何やらテキストに書き込み始めます。
※塾ではノートに書くように指導されると思うのですが、下位クラス帯ではその限りではないようです。
「式」を書くわけでもなく、何となくちょこちょこと計算を書いて、端の方で筆算をして、筆算が終わるとそれを消して、ノートには答えだけを書きます。
何も言われない限りは丸付けはせず、丸付けをしても間違えた問題に赤ペンで答えを写して終了します。
ここまでで早ければ10分くらいでしょうか。
次は2問目を解くのかと思ったら、ここで休憩が入ります。
喉が渇いた、トイレに行きたい、シャー芯がなくなった、などのイベントが発生します。
それをクリアしてようやく次に進めるのです。
それでも1時間もあればけっこう進みます。
前半は問題も易しいので、半分以上は終わるかと思います。
が、集中力も体力も限界に近づいてきます。
ここから先は耐久レースになるのですが、耐久力はありません。
そんなときは糖分補給に限ります。
おやつタイムイベントが始まります。
10分くらいすると糖分が吸収されてくるのか、第2ステージが始まります。
しかし、問題の難易度が上がってくると「長考」が増えてきます。
1問あたりに掛かる時間はどんどん長くなり、やがて開始時刻から2時間が経過します。
ここからは親との交渉タイムです。
いかに早く勉強を切り上げるかの戦いが始まります。
ストライキみたいなものです。
「あとはわからない問題だから飛ばす」、「今日は学校で運動会の練習をしたから疲れた」、「残りは明日にする」などの切り札を次々と出してきます。
そのうち親も根負けして、そこでようやく勉強時間終了となります。
クラスを上げたいかと聞くと「上がりたい」と答えますが、おそらくそう答えるように訓練されているのでしょう。
本当は上がる気などなさそうです。
というのも、クラスが上がればテストの平均点が高くなりますし、クラス帯が上がれば宿題量も増えて難易度も上がります。
となると勉強時間を増やされる可能性が高いわけです。
宿題も本当はもう少し早く解けるはずです。
しかし、「早く解けば早く終わる」と言われてもそんな言葉を信じるほど馬鹿ではありません。
もし1時間で終わったら、テスト直しとか、前回の復習などの課題を追加されるに決まっています。
そうなるくらいならなるべくゆっくり解いて、ギリギリ時間内に終わらないくらいまで引っ張って、「次回どうなる?」みたいな感じでエンディングに持って行きたいわけです。
そんな彼らでも、塾のテストの時間は割と速度が上がります。
もちろん解けない問題は解けないのですが、問題を解くたびにイベントが発生するようなこともなく、むしろ最後に手も足も出なくなって「寝る」くらいの余裕はあります。
ちなみに授業中は死んだような顔をしている子が多いです。
一番下のクラスは意外に授業中は静かだったりするのです。
そのかわり授業が終わると元気になります。
授業の準備に5分くらい掛かる子でも、帰るときは1分くらいで片付けが出来ます。
偏差値40台後半になると様子が変わってきます。
宿題に掛かる時間は1時間~1時間半くらいで、単元によって所要時間が変化するのが特徴です。
宿題をやり始めるまでに時間が掛かるのは一緒ですが、少しペースは速くなります。
問題を解き始めると案外止まることなく進んでいきますが、わからない問題に出会うと長考に入ります。
5分くらいフリーズすると、自動的に再起動するようです。
けっこうノートはしっかり書くタイプが多く、一見すると無駄に式が多い気がしますが、そこに時間が掛かっているようです。
1時間を過ぎたあたりから集中力が切れはじめ、速度が低下してきます。
明らかにローバッテリーになっているのが見ていてわかります。
わからない問題は飛ばしつつも、宿題は最後までやり切るようです。
間違えたところは解説を見ながら、たまにそのまま写したりしています。
下位クラス帯のテストでは比較的高得点を取れるので、特に問題点はなさそうに見えます。
でも、そこから成績が上がらないのです。
授業中はひたすらノートを取っています。
ノートを取るのに時間が掛かり過ぎて、話を全く聞いていないことも多々あります。
ベテラン講師ならノートを取っている間に雑談を挟んだりして時間調整するのですが、そういうときだけ話を聞いてノートを取るのが遅れたりします。
偏差値50台
偏差値40台の子と比べたら処理速度はかなり速いと言ってもいいでしょう。
基本問題を解くだけなら、偏差値40台の子の倍くらいのスピードがあります。
しかし、50台前半だと応用問題に入った瞬間にスピードが落ちます。
わからない問題があると長考に入ります。
得意分野と苦手分野で大きく差が出ます。
苦手分野をやっているときのスピードが本来のスピードだと考えると、そこは偏差値40台とあまり差がないと言えます。
得意分野が多く、苦手分野が少ない人ほど成績が高くなると考えていいと思います。
真面目型(丁寧型)
授業ではノートをしっかり取って、宿題も図や式を丁寧にかくタイプです。
実は処理が遅いです。
スピードを知識や正確さでカバーしていると考えていいでしょう。
正答率が高い問題はキッチリ正解しますが、難易度が上がると全く手が出なくなります。
処理速度を上げるのが最大の目標になるかと思います。
実力勝負型(スピード重視型)
作業が「雑」の一言です。
宿題も図を描かなかったり、式を書かなかったり、手抜きが多い上に字が汚い人が多いです。
しかし、その分作業は短時間で終わります。
難しい問題も解いてくる割に、簡単な問題でミスが目立ちます。
それでも結果的に真面目な子と同じか、それより上の成績を取ってきたりします。
それ故に注意しても全く聞き入れないという側面を持ちます。
スピードよりも「丁寧さ」が課題になります。
偏差値40台の子に比べると、通塾歴が長く、特訓講座を受講している割合も高くなります。
つまり、今までに勉強してきた時間数が多いということで、それがアドバンテージになっていると思われます。
それでも偏差値60台の子に比べると少ないと言わざるを得ません。
科目によるバラツキがあるために成績が安定しない人も多いですね。
それが50台の特徴だと思います。
偏差値60台
基本レベル、応用レベルを解かせたらかなり速いです。
偏差値50台の子と比べると半分くらいの時間で解きます。
ですが、速い理由は物理的な速度ではなく、解き方の違いですね。
上位クラス帯や特訓講座などで習う解法は速度重視のものが多く、いわゆる「必殺技」と呼ばれる公式(中学・高校内容)を使ったりします。
ですから、めんどくさい計算をせずに素早く答えを出す方法を知っているということですね。
問題文を読むのも速いです。
3行くらいある問題文でも、瞬時に分野・単元を識別し、解法を思い浮かべることが出来ます。
あとは問題文から数値を拾って、解法に合った図を描いて、さっと暗算するだけで答えを出します。
公開テストなどでも、制限時間の半分くらいで7~8割の問題を解き切って、残った難問にチャレンジしつつ、見直しをして点数を稼ぐというスタイルになるかと思います。
そこら辺の要領が悪いと成績が伸びません。
発展レベルの問題になると速度が落ちます。
苦手分野は少ないですが、そこでもやはり速度が落ちます。
基本問題・応用問題が遅い人は頭打ちになります。
上位クラス帯は宿題量が多く、特訓講座受講率も高いので、処理速度が低いと宿題が回らなくなるのです。
これ以上速度を上げようと思ったら、少し違う方法を考えてみるのもいいかと思います。
つづく
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