平均点って誰でも取れそうな気がしがちです。
大手塾に入ってふつうに頑張っていれば平均点が取れて、偏差値50台になれそうな気がします。
中間のクラス帯に入って平均点を取っていれば、最高レベル特訓の受講資格とかにも手が届きそうです。
最高レベル特訓で平均点を取っていれば、最難関コースの受講資格にも届きそうな気がします。
最難関コースで平均点を取って入れば、最難関校のどこかには入れそうな感じです。
最難関校にさえ入ってしまえば、あとは平均点を取っているだけで国公立大学に合格できる可能性が高くなります。
と、ここで冷静になって考えてみましょう。
平均点を取るということは上位50%に入るということです。
単純に確率で考えても2分の1です。
では、大手塾に入ってから国立大学に合格するまでに「2分の1」が出てきたか考えてみましょう。
まず大手塾の2分の1、中間クラス帯で2分の1、最高レベル特訓で2分の1、最難関コースで2分の1、最難関校で2分の1、の合計5回です。
つまり「2分の1」の5乗ですから、32分の1ということになります。
コインを投げたら5回続けて表が出る確率と一緒です。
32分の1というのは約3%ですから、偏差値で考えると68くらいになります。
全然ふつうに取れる成績ではないということがわかるかと思います。
甲子園なら5回勝てば決勝戦です。
ですが、兵庫や大阪なら甲子園に出るまでに7回くらい勝たなければなりません。
予選で5回連続で勝ってようやく準決勝ですね。
そもそも、なぜみなさんが「2分の1」の勝負に勝てるという前提で考えているのかが謎です。
塾の平均点
全員が同じ内容の授業を受けて、同じテストを受けているというのであれば、平均点は確率「2分の1」と考えてもいいかもしれません。
しかし、現実は違います。
クラス帯によって授業のレベルも宿題量も違いますし、普段のテストの平均点も違います。
上のクラスに行くほど勉強量が多くなり、それを維持するためには相当な努力が必要になります。
「どこで差がつくのか」というと、まずは入塾時期の差が最も大きいと考えられます。
最難関志望なら3年生までには入塾しておきたいとか言われています。
しかし、難関志望なら4年生くらいから、人によっては5年生からでも間に合うとか言っています。
それは目指している学校のレベルによって大きく異なります。
大手塾の場合、6年生になったときの塾生数を100%とした場合、3年生までで50~60%が入塾しています。
4年生になるときが一番増えるのですが、それで70~80%にまで達します。
5年生の終了時点でほぼ100%近い人数に到達します。
塾によって開講する学年が異なるかもしれませんが、毎年の塾生数がほぼ同じだと仮定して、現在の6年生の人数を基に各学年の
人数比を出してみるとわかると思います。
4年生入塾の時点で、すでに上位半数くらいは3年生までに入塾した人たちが占めているということなのです。
高校野球で言うとシード校みたいなものですね。
そんな状況で勝ち上れるのは3年生まで他塾にいた人たちくらいで、新入塾の人たちは平均点を取るのも大変なのです。
とは言え、3年までに入塾した人がみな勉強ばかりしているかというとそんなことはなく、サボっている子は半年もすれば貯金は使い果たします。
新入塾の子でも頑張っている子はだんだんそこに追いついて、一部の子は追い抜いていくのです。
5年生あたりが勝負どころですね。
さすがに6年生になると大逆転は難しいと思います。
3年入塾は何が違うのか?
3年生で入塾した人と4年生で入塾した人は何が違うのでしょうか?
1年の差はそんなにも大きいのでしょうか?
中学入試の内容で考えた場合、メインとなるのは小学校5~6年生の内容です。
とはいえ、実際の入試レベルを考えると小学校レベルをはるかに超える難易度となっています。
それに対応するためには、塾としては6年生時点で入試レベルの内容まで上げていかなければならないわけです。
特に最難関志望の場合はかなりの難易度となります。
そこで、塾は低学年から対策を始めるわけです。
1~2年生で入塾する人の多くは灘・洛南女子志望ですから、下手をすると3年生の通常カリキュラムより難易度が高いことをやっていたりします。
3年生で習うのは割と基本的な内容です。
基本といっても小学校6年間でならう基本内容とでも表現した方が正確かもしれません。
ちなみに塾の算数では小数・分数を3年生で習います。
和差算とか植木算とか基本的な文章題を3年生のうちに一通りやります。
で、4年生になるとどうなるかというと、4年生の新入塾の人たちは小数・分数や文章題を全く知りませんから、それを1から勉強することになります。
ですが、3年入塾の人たちはすでに習っているわけですから、彼らを上位クラスに上げてしまい、上位クラスではさらに上の内容を勉強させます。
それが5年生の先取りになっているわけです。
ちなみに最高レベル特訓のような特訓授業の内容は完全に次の学年の先取りです。
つまり、通常授業で習う基本的な内容~応用問題を1年早く先取りさせるための講座なのです。
5年生の時点で下位クラスは5年生の基本を勉強していますが、中間クラス帯になると特訓講座を受講している人の割合が高くなり、彼らは6年生の基本内容を勉強しているということになります。
上位クラスになると6年生の応用レベルまで先取りしています。
で、6年生になったとき、下位クラスは6年生の基本内容、中間クラスは基本~応用内容を勉強しているのですが、中間クラスの一部と上位クラスは最難関レベルの基本内容を勉強しているということになります。
灘志望の人たちは最難関の基本~応用レベルまでやっています。
6年生の後半に入ると、通常カリキュラムは一通り終わり、総復習に入ります。
このとき、下位クラスは6年生の応用レベルの内容を習い、中間クラスは応用~発展レベルを習います。
上位クラスは通常カリキュラムより志望校別特訓が優先され、最難関レベルの応用問題を演習するようになります。
つまり、6年生で最難関コースに入って最難関校を目指すためには、5年生の時点で上位クラス+特訓講座に入ることが大前提となるわけです。
そのためには4年生で上位クラス+特訓講座に入らなくてはなりません。
ですから、4年生入塾では間に合わないのです。
3年生で入塾しても上位クラス+特訓講座に入れなければ4年生で脱落してしまうので、安全策としてもっと低学年から始める人がかなりいるわけです。
単純に考えて、3年生の時点で平均点を取れて上のクラスにいれば、4年生では上位クラス帯に進めます。
あとはそれを6年生までキープすればギリギリでも最難関レベルに届くという流れです。
6年生になって急に偏差値60を取ろうと思ってもそう簡単にはいきませんが、3年生で偏差値50を取るのは勉強量で考えるまだ楽だと言えます。
ただ、3年生の時点でそこまで頑張らせるのはなかなか大変です。(親が)
あとは反抗期さえこなければ、上位クラスを維持するだけですから、案外慣れてしまうものかもしれません。
一方、難関志望の人たちは3年生くらいなら無理して勉強させるよりももっとのびのび遊んだ方がいいなどと考えていたりします。
それでも塾に入れば何となく上のクラスに上がることを目標にしつつ、実際はクラス平均を取れればいいと考えている人が多いのではないでしょうか。
その結果、6年生までほぼ同じクラス(下位クラス帯)のまま、同じような成績を取り続けている人が多いです。
それが偏差値40台後半くらいの人たちです。
別にそれが悪いと言っているわけではありません。
難関レベルの学校(偏差値40台)を目指すのであれば、最もコスパがいい勉強をしているわけです。
ですが、そこで欲を出して難関上位校(偏差値50台後半)を狙おうとするとかなり苦しい戦いをすることになります。
というのも、難関上位校は最難関コースの滑り止めでもあり、最難関コースに届かなかった人たちの主戦場でもあるわけです。
難関校には必要がないと言われる上位クラスに在籍し、特訓講座を受講した経歴を持つ人たちと戦わなければならないのです。
そもそもそういう学校って最難関校を意識しているので、中学・高校で使うテキストも最難関校と同じものを用意したり、授業時間数を多くしている学校が多いです。
大手塾の下位クラスの子からすると、塾よりもきつい勉強をさせられることになります。
そういう覚悟を持って志望校を考えるべきではないかと思います。
同じ偏差値50でもこれだけ違う
同じ偏差値50でも、クラス帯が違うと全然内容が違うというケースがよく見られます。
下位クラス帯で偏差値50くらい取っている子は、クラス内ではかなり上位ではないかと思います。
比較的真面目に勉強しているという印象があります。
得意科目では偏差値50台後半くらいを取ってきたりします。
答案を見ると、正答率の高い問題はしっかり得点し、難易度の高い問題は上手に回避しているという印象を受けます。
その一方で、そこから成績を上げようと思ったら難易度の高い問題に取り組まなければならないわけですから、ある意味では「頭打ち」と考えることもできます。
中には復習テストが悪いために上のクラス帯に上がれないという子もいます。
そういう子は公開テストでも比較的難易度の高い問題も解いたりする一方、簡単な問題でミスが目立ったりするケースも見られます。
得意科目と苦手科目の差が大きくて3科で見たら上のクラス帯に届かないというタイプもいます。
勉強のバランスが悪いのだと思いますが、同時に一番「可能性を秘めている」タイプかもしれません。
いつまでも秘めておいてはダメなんですけど。
中間クラス帯で偏差値50くらいという子も多いです。
公開テストも易しい問題をキッチリ取れているのに、難易度の高い問題に歯が立たないタイプがいます。
復習テストで安定しているのでクラスを維持しているというタイプが多いです。
とりあえずクラスが維持できればいいと考えているのではないかという印象です。
難易度が高い問題を取れる割に、簡単な問題でミスするタイプは多いです。
それさえなければもっと上を狙えそうな雰囲気を醸し出しています。
が、雰囲気だけです。
たまに大ゴケしてクラス落ちしたりしますが、次のクラス替えでまた上がってきたりします。
ちょうどクラス替えの基準ライン前後の成績の人は毎回ハラハラします。
結局、どちらも似たようなものなのですが、クラス帯が違うと普段受けているテストも異なるので、クラス上げ基準とクラス落ち基準の狭間に生きているということなのです。
で、「クラスが下がると頑張る、上がると安心してサボる」を繰り返していたりします。
それでもクラスが落ちない人は「クラスが下がったら退塾させる親」が背後にいたりします。
クラスが上がらない人は「クラスが上がったら勉強がしんどくなるから嫌」というタイプかもしれません。
そんな両者ですが、中学入試になると思わぬ差が出たりします。
それがカリキュラムの差です。
中間クラス帯になると下位クラス帯よりも宿題量が多いので、その積み重ねでわずかな差が出ます。
6年生最後の追い込みの時期(冬休み以降)になって、さすがの下位クラス帯もやる気を見せ始めます。
しかし、ミスが多いだけでそれなりに難易度の高い問題も解ける中間クラス帯の子の方が最後の伸びを見せるのです。
記録上は同じ公開テストで同じ偏差値でも合格する子、不合格になる子をクラス帯別に見るとなるほどと思う結果が出たりするのです。
ですが、下位クラス帯でも中間クラス帯の子に逆転するケースも見られます。
入試日程が複数ある学校(コース制の学校)の場合、初日から受験する下位クラス帯の子の方が、後期日程で受験する中間クラス帯の子より上のコースで合格するなんていうことがよくあります。
同じ偏差値でも中間クラス帯にいるというプライドというか、欲が招いた結果かもしれません。
入学後にどちらが幸せかは本人次第なので何とも言えませんが。
つづく
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