確率と統計の違いをご存じでしょうか?
簡単に説明すると、確率というのは理論上の話で、統計というのは実際のデータに基づくものです。
例えば、確率というとよくサイコロの話が出てきます。
サイコロを振ったときに1が出る確率が6分の1であることはみなさんも知っていると思います。
ですが、実際に振ってみると必ずしも6分の1になるとは限りません。
1万回くらい振ってみればだいたい6分の1に近づくのですが、それでもすべての目が等確率に出るわけではないのです。
もちろん、実際のサイコロは形や重さのバランスなどの精度がそこまで高くない可能性があります。
しかし、コンピュータ上でシミュレーションを行っても、ぴったり6分の1にはなかなかなりません。
よくある誤解の1つに、「サイコロを6回振れば必ず1回は1の目が出る」というのがあります。
少なくとも1回以上1の目が出る確率は約66.5%です。
これは全体から1以外の目が6回出る確率(余事象)を引いて求めます。
つまり、6回続けて1以外の目が出る確率が6分の5の6乗ですから、これを全体1から引いた残りが少なくとも1回以上1の目が出る確率です。
合格する可能性が50%の学校を2回受験すると
2回受けたら1回は合格すると思っている人もいるかもしれません。
しかし、確率論的にはそれは間違いです。
2回のうち少なくとも1回は合格する可能性を考えてみましょう。
この場合は全体から2回とも不合格になる確率(4分の1)を引けばいいのです。
つまり、少なくとも1回合格する可能性は75%ということになります。
合格可能性80%の学校を2回(2校)受けた場合はどうでしょうか?
不合格になる確率は20%ですから、2回とも不合格になるのはその2乗で4%ですね。
ということは、少なくとも1回合格する確率は96%になります。
2校受けて2校とも合格する確率は64%ですね。
合格可能性60%の第一志望校Aと80%の併願校Bを1回ずつ受験した場合も考えてみましょう。
両方に合格する確率は48%
Aは合格、Bは不合格になる確率は12%
Bは合格、Aは不合格になる確率は32%
どちらも不合格になる確率は8%
結果として、第一志望校に進学する確率60%、併願校に進学する確率32%、公立中に進学する確率8%となります。
5人に1人
2050年には世界人口は80億人を超えると言われています。
現在、人口が最も多いのは中国ですが、高齢化の問題もあって、2050年ごろにはインドに抜かれると言われています。
予想では「2050年には5人に1人がインド人になる」のです。
今の小学6年生も2050年には40歳になります。
40歳になった記念に久しぶりに高校の同窓会が開かれて、行ってみたら5人に1人がインド人になっていた。
そんなことが起きるかもしれないということです。
インド人もびっくりですね。
結婚して子供が1人、両親も同居する5人家族なら、そのうち1人がインド人になる計算です。
これはインド人と結婚すれば有り得る話ですが、さすがに同級生の5人に1人がインド人になるといことはないと思います。
逆にインドでは5人に4人が外国人なんていうこともないでしょう。
確率的には全人口に対してインド人の割合が5人に1人になるということから、計算は間違っていないはずです。
では誰がインド人になるのでしょうか?
とある塾では以前、「塾生の5人に1人が最難関校合格」と謳っていました。
現在は一切その文言を見かけないので、最難関校合格率が20%を切っているのだと思います。
その原因としては塾生数の増加が考えられます。
塾生数が多くなると成績分布は正規分布に近づきます。
つまり、偏差値50付近が最も多くなり、偏差値60以上は理論値の16%に近づきます。
そうすると6人に1人くらいの割合になってしまいますね。
塾生数が増えるのは塾としてはうれしい話なのでいいと思います。
しかし、入塾を希望する人の中には「塾生の5人に1人が最難関校合格」なので、自分も20%の確率で最難関校に合格できると考えた人もきっといると思います。
国公立大学現役合格率
学校説明会の季節になってきました。
おそらくみなさんも志望校や併願校の学校説明会に参加するかと思います。
そんな中でみなさんが注目するのが「大学進学実績」ではないかと思います。
私も大手塾の専任講師だったころ、業務の一環としていろいろな学校の説明会を見に行きました。
とある学校の説明を聞いていたときの話です。
「我が校の今年の国公立大学合格率は約60%です。」と学校の先生が得意げに語ります。
すると保護者席からは「おお!」という歓声が上がります。
「そして、現役合格者はそのうちの60%です。」
再び保護者席から歓声が上がります。
ちょっと待って!
冷静になって計算してみて!
多分60%という数字に惑わされているのでしょう。
ですが、国公立大合格率60%×現役合格率60%=36%です。
つまり、現役で国公立大学に合格できるのは約3人に1人なのです。
逆に言えば、3人に2人は現役合格できません。
そして、5人に2人は浪人しても国公立大学には行けません。
浪人して頑張り続ければもっと行けるはずと思うかもしれませんが、その結果が60%なのです。
国公立大学という言葉にピンときた人もいると思います。
国公立大学=国立大学+公立大学です。
みなさんが将来行かせたいのはどちらかというと国立大学が多数派だと思います。
それも通学可能な近畿圏の国立大学です。
気になる人は志望校の大学進学実績をよく見てみましょう。
国公立大学と言っても2022年度時点で国立大学が全国82大学、公立大学が全国94大学あります。
国公立ならどこでもいいというのなら、国公立大合格率60%で喜んでもいいと思います。
近畿圏で人気の高い国立大学と言えば、東大、京大、阪大、神大、合わせて”東京阪神”と呼ばれています。
公立なら大阪公立大学(旧大阪府立大+旧大阪市立大)、京都府立大学あたりですね。
医学部志望はまた別世界ですね。
で、国公立大合格率60%といっても、その学校に入りさえすれば誰でも60%の確率で国公立大学に行けるというわけではありません。
生徒一人ひとり確率は違うのです。
当然ながら、学年上位の生徒ほど人気の国公立大学に合格する可能性は高くなります。
それでも国公立大学もピンからキリまでありますから、学年下位でも狙える大学はあります。
でも、それよりももっと大きな問題があります。
最大の問題はその中学校に合格できるかということです。
学校としては優秀な生徒がたくさん入学してくれれば大学進学実績が伸びるので、学校説明会に力を入れるのです。
合格可能性80%とは
「合格可能性80%とは100回受験したら80回合格できるという意味です」
これは嘘です。
嘘をついていないのだとしたら勘違いをしているのでしょう。
とある塾の説明に書いてあってびっくりしたことがあります。
※厳密にいうと入試は100回も受験できませんから、この文章は論理的には間違いではありません。
正解は「100人受験したら80人合格できる」ですね。
もっと正確に言うと、「A判定偏差値以上の受験生が100人受験した結果80人以上合格していた」ということです。
そういう値になる偏差値を計算して出しているのでほぼ正しいと思っていいでしょう。
※多少の誤差があります。
※塾側が意図的にA判定偏差値を高くしてる場合があります。
では実際にあなたの合格可能性がどれくらいなのか、実験してみましょう。
1.用意するのはサイコロと、塾の成績資料です。
とりあえずA判定偏差値が合格最低ラインだと仮定して考えてみましょう。
2.過去6回分の偏差値(3科総合または4科総合)をサイコロの6つの目に書きます。
書くのが困難な場合は、1の目が4月の成績、2の目が5月の成績…、と決めておきましょう。
それを振って、A判定偏差値以上の目が出たら合格とします。
3.とりあえず100回振ってみて、そのうち何回合格になるかを数えます。
それがあなたの合格可能性ということになります。
100回振って80回合格なら合格可能性80%になります。
※サイコロの調子が悪いと、何回振っても全く合格が出ない場合があります。
※そういう場合には、いったん気持ちを落ち着けてから再度チャレンジしてみてください。
※あるいは志望校を変えて再度チャレンジするとうまくいくことがあります。
※最後まで諦めずにチャレンジしてみてください。
若干名ですが生徒を募集しています。
興味がある方はメッセージください。