偏差値70以上取るための基本戦略 | 中学受験 玄人思考のブログ XII

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偏差値70以上取るための基本戦略を紹介します。

どちらかというと偏差値60以上取れている人向けの内容です。

 

 

偏差値70

 

簡単に言うと、平均点+標準偏差×2以上得点すれば偏差値70を超えます。

一般的に平均点は100点満点で50~60点台になることが多いと思います。

また、標準偏差は100点満点のテストでだいたい15~20くらいになります。

 

ここで問題となるのは、平均点が高すぎるときです。

例えば100点満点で平均点が65点のテストで、標準偏差が18くらいあると、偏差値70以上取るためには65+18×2=101点以上取らなければならない計算になります。

これは不可能ということですね。

つまり、満点を取っても偏差値が70に届きません。

逆に、平均点が50点くらいで、標準偏差が15くらいだと、満点で偏差値80を超えます。

これは本人の努力ではどうにもならないので、問題作成者の能力、つまり運次第ということになります。

 

 

順位とパーセンタイル

 

偏差値70以上の人がどれくらいるかというと、統計学的には母集団の約2%程度となります。

つまり、塾生1000人なら20位以内、2000人なら40位以内くらいに入れば偏差値70以上となると思います。

満点でも偏差値70に届かないテストのときも、上位2%以内に入っていたらOKと考えたらいいでしょう。

 

上位2%といっても、あくまでもその塾内での話です。

灘とか洛南女子、西大和女子を狙っていくのであれば近畿圏内で上位200~300人くらいに入らなければなりません。

近畿圏の中学受験人口が約18000人で、近畿圏からの灘合格者+洛南・西大和女子で200人を超えるので、だいたい近畿圏で上位1%くらいに入っていたいところです。

しかし、最難関校の合格者のほとんどが大手塾(浜、希、馬渕、日能研、能開、SAPIXなど)の塾生で、その合計は近畿圏の全受験生の半分くらいにはなるかと思います。

したがって、大手塾内で上位2%くらいに入れば灘や洛南・西大和女子が見えてくると思っていいでしょう。

 

ただし、最難関志望の人数や合格者数は塾によって偏りがあります。

そのため、同じ灘中でも塾によってA判定の偏差値が異なります。

どっちの塾の方が偏差値が高いとか低いとか議論しても意味はありません。

大事なのは自分がその偏差値を取れるかどうかです。

灘の偏差値が71の塾では71以上取れなければなりませんし、65の塾では65以上取らなければならないわけです。

どっちが取り易いかと言うと、灘のレベルが同じですからそれほど差はないと考えていいと思います。

ただし、公開テストなどの問題は塾によって癖があるので、慣れていないと点数が取りにくいかもしれません。

 

 

算数で偏差値70を取る

 

算数のテストはだいたいどこの塾でも平均点が他教科より低めに出ます。

しかし、得点分布が広がりやすく、そのため標準偏差は大きめになりがちです。

ということを考えると、偏差値70以上取るためには100点満点のテストで90点以上は必要だと言えます。

問題数が25問で1問4点のテストなら、92点か96点は取りたいですね。

1問5点の問題があるのなら、95点以上が目標です。

つまり、2問間違いがボーダーラインで、状況によってはそれでも偏差値70には届きません。

 

塾内で上位(氏名掲示レベル)ともなると1問間違いがボーダーラインになります。

それより低くても他教科で稼げればランキングに入れますが、点数まで公開されている場合はちょっと恥ずかしいですね。

 

というわけで、1問間違い⇒90点台後半を取るための基本戦略です。

 

 

90点台後半を取るための基本戦略

 

【時間配分】

 

テストの問題別正答率で言うと、2%未満くらいの問題がたまにあるかと思います。

これが取れるか取れないかくらいのレベルが偏差値70台です。

 

塾側の戦略としてはなるべくテストで満点が出ないように「満点対策」というのを考えています。

これは上位の2%くらいを対象として、彼らが解けるか解けないかくらいのレベルの問題を出題するということです。

これが少なければ1~2問、それでも満点が出るようなら3問くらい出してきたりします。

 

偏差値70台を取るということは、それらの難問のうち最低でも1問は取らなければならないということです。

正答率が極めて低い難問が3問くらいあるときは平均点が下がりますから、2問くらい落としても大丈夫です。

ただし、正答率の高い問題でミスをすると非常に痛いので、全問正解するつもりで勝負しなければなりません。

 

テスト時間50分で25問だとすると、1問あたり2分になります。

これを1問2分で解けばいいと思っていると偏差値60台が限界です。

それだと最後に残るボスキャラ(難問)3体くらいを1問2分で倒さなければならないからです。

これは無理ゲー(攻略不可能な設定のゲーム)です。

 

大問が6題あったとすると、5(3)とか6(3)など後ろの大問の最後の小問が難易度の高い問題です。

これらの問題は1問解くのに平均5~10分かかります。

正答率2%なら5分くらい、正答率1%なら7~8分、正答率0%(0.5%未満)なら10分以上かかります。

※ 個人差があります。

 

正答率が低い順に3題くらいが偏差値70台を取るための勝負所です。

それを解き切るには15~25分くらいかかるかもしれないのです。

ということは、そのための時間を確保することが優先課題となります。

 

テスト時間が50分だとすると、その半分の25分の時点で80点以上は確保していなければなりません。

20問で80点として、1問あたり1分で20分かかります。

残る5題のうち易しめの方から2題を解いて5分で合計25分です。

残った25分でボスキャラに挑みます。

3体倒せたら残った時間は見直しの時間で、ここでミスをなくせば満点です。

 

 

【解く順番】

 

解く順番はそれほど意識しなくていいと思います。

普通に1番から順に解いていけばいいです。

解いていて「こいつ強い」と思う問題にだけ注意を払います。

時間がかかりすぎるようなら後回しにします。

1回離れてクールダウンするのも大事ですね。

あとで解き直したら簡単だったということもよくあります。

 

大問の(3)とかはだいたい(2)からの流れで解くパターン(誘導)が多いので、一気に解けるなら一気に解いた方が早いです。

書き出し系の問題は時間がかかるので後回しでもいいかもしれません。

 

というわけで順番よりも常に残り時間を意識しておくことが大事です。

 

問題を見たときにだいたいどれくらいかかりそうかを見積もっておくことが大事です。

正答率も解いた手応えでわかるように、日ごろから正答率を見ておくべきですね。

そうすると、どの問題がボスキャラなのかがわかるようになります。

 

当然ながら雑魚キャラにやられてはいけません。

 

 

【1問1分以内】

 

80点分の確保ですが、正答率40%以上の問題は基本的に1問1分以内、正答率80%とかの問題は秒単位で解けなければなりません。

これは日頃からの訓練ですね。

問題を読んで瞬時に暗算し、解答を書くまで最短で5秒くらいの問題もあります。

これは暗記レベルですね。

簡単な問題は図は描かずにいきなり式を立ててそのまま計算します。

それで20秒くらい。

ちょっとややこしい問題になったら必要に応じて図を描いて、計算は工夫しながら素早く解きます。

 

基本的に問題文を読んだ瞬間に解き方がわからなかったら負けです。

問題文を読むのに時間がかかっていたら詰みます。

 

問題を見た瞬間にどの分野、どの単元なのかは判断できるようにしておきましょう。

ちょっと読んだらどのパターンの問題なのか、どんな図を描くべきか、あるいは描かずに解けるかを判断します。

図を描くのは問題文を読み終わってからではなく、読みながらどんどん描いていきます。

あとで無駄になることもありますが、それは気にしません。

出てくる数値はあとで読み返す必要がないようにすべて図に書き込み、必要ならまとめておきます。

 

暗算(頭の中で計算)はあまり推奨しません。

けっこうエネルギーを消耗するので、後半でスピードが落ちます。

特に頭の中で数値を覚えておくというのは効率が悪いので、こまめにメモしていく方がいいと思います。

計算の工夫が出来そうなときはなるべく最後まで計算せずに進みます。

 

見直しは解き終わってすぐにやっておく方が時間が短縮できます。

あとでまとめてやろうとすると思い出すのに時間がかかります。

文章題なら数値を当てはめて検算、解答の数値がおかしくないか、何を問われているのかなどを確認します。

解答欄に書き込む前に基本的なチェックはしておくべきですね。

書いてからだと間違えていたときにタイムロスします。

 

で、もうこの問題は大丈夫だと思ったら二度とそこには戻りません。

ですから、1回で確実に仕留めておく必要があります。

 

そういったことを全部やって、1分以内が目標ですね。

とは言っても、1分30秒くらいかかる問題もあります。

最終的に25分で8割取れていたら偏差値70台が狙えます。

 

 

裏ワザ?

 

どうしてもわからない問題というのがあるかと思います。

それはいい解法が思いつかないということだと思います。

そういうときは仕方がないので最終手段です。

 

「書き出し」です。

 

数列とか場合の数の問題ならひたすら順番に書いていきます。

100個くらいなら1~2分で書けます。

問題用紙の裏側とかにひたすら書くのです。

トップ層の人たちなら必ずやります。

 

書いている途中で規則性に気づいたら計算に切り替えます。

でも残り少なければそのまま書きます。

次の問題でまた使いそうなときは全部書いておくと早いですね。

 

「当てはめ」というのもあります。

適当にありそうな数値を入れてみて、題意に合うかどうか試してみる方法です。

原理としては書き出しと同じなのですが、1から書き出すよりは早い場合があります。

数値が合わないときは1つずらしてみます。

考え方としては数学的帰納法ですね。

 

角度の問題なら見た目で判断します。

数値がどこにもなければ、30度、45度、60度あたりから探っていきます。

答えが整数になる問題の場合は公倍数や公約数から探ってみたりします。

 

塾の解説とかは「きれいごと」です。

実際に塾の先生に解かせてみたら初見でそんなに綺麗にとけるとは限りません。

解説はまず答えが出てからそれに合わせて作るのです。

たった1本の補助線を引くだけで、そこに辿り着くまでに10分くらいかかったりするものなのです。

その間に何度図を描き直すかわかりません。

そういう舞台裏の話はしないのでみんな知らないだけなのです。

 

 

出題者との戦い

 

偏差値70以上は出題者との戦いです。

 

出題者もさすがに正解者0の問題は作りません。

もちろん必ず解ける問題でなければ出題ミスです。

 

基本的にはどの問題も必ず解けるという前提で考えていかなければなりません。

苦手分野とか苦手単元なんて残しておくのは論外です。

弱点があるのに勝負に挑むなんて偏差値70を舐めてるとしか思えません。

 

スポーツで言えば大会に出場するようなものです。

芸術ならコンクールに出場するようなものです。

偏差値70は決勝レベルなのです。

トーナメントなら最低6回は勝たなければなりません。

 

そんなレベルで、

「どれだけ練習したらいいですか?」

なんて聞く人はいないと思います。

 

塾の先生に負けているようではダメなのです。

 

 

心構え

 

まずは「勝つ」ことを目標とします。

テストなら満点を取ることが目標ですね。

 

「そのために必要なことをやる」のが学習計画です。

知識なのか、スピードなのか、テクニックなのか、それは人それぞれです。

しかし、トップレベルになるとだいたいみんな同じくらいの力は身につけてきます。

最後は知識の差になるかと思います。

 

とりあえず問題を解きまくりましょう。