本稿は少し趣向を変えて、計算機側ではなく人間側が読み落とす例を挙げる。左図は、将棋必死集の15番から引用。作意は▲15歩▽同歩▲14香▽13金▲15香までの5手必至。但し、この手順には誤りがある。


この問題は一見簡単で作意通りに見える。初手▲15歩に▽24歩は▲同歩で意味がない、と思ってしまいそうだが、そこにとてつもない落とし穴があった。寧ろ熟練者である程、▽24歩のような受けを読み落とす(全く読まない)のではないだろうか。よく読んでみれば▲24同歩が詰めろにならないので、この玉方の歩を取れず必至が掛からないのだ。初手から▲15歩▽24歩に▲14歩なら▽23玉で逃れている。結局、必至問題として成立していないのである。

このような受けの手がある例は結構珍しい気がする。であるが故に先入観があり、謎電で解けない原因に気が付くのに小一時間程かかってしまった。


(追補) 初手から▲15歩▽24歩▲14歩▽23玉に▲39香と詰めろを掛けられて、▽14香などと受けると▲33香成▽13玉▲22金▽19香成▲15歩で必至がかかる。6手目▽14香では、▽43金と受けて後が続かない。