既に殆どの選手権参戦者がご存知だと思われる。作者は選手権は未参加、即ちデビュー前だが、突出した才能の持ち主であることは誰もが認めるところではないかと思われるので、私ごときが論評を述べる次元ではないような気もするのだが、Bonanza[*0]の感想を書きたいと思う。


何と言っても思考部の完成度の高さに驚かされる。とても2年やそこらで作れたプログラムとは思えない。基本的に思考部に殆ど全ての開発工数を掛けられているからだと思われるが、だとしても足掛け2年、しかも片手間で作れるレベルではないように感じる。


私は、「後頭部を鈍器で殴られたような衝撃を感じた」という台詞をよく使うのだが、このプログラムには、「後頭部を7尺[*1]の将棋盤の形をしたパソコンで殴られた感じ」がした。特に驚いたのは序盤力である。プログラムが指しているとは思えない程、実に多種多彩で、ほぼオールラウンドの戦形でこれだけ強いプログラムが作れるというのが実に不思議に感じている。相手の戦形に関係なく我が道を行く、というところもあるような気はするので、一言でいえば、「完成されていて、且つあまりにも未完成」なのだが、知らない形にずりずりと引きずり込まれるので、短い持時間では、正着を発見出来ない。仮にプログラム側が悪手を指していたとしても、完全に咎めきれない。咎めに行こうとすると、逆にこっちが激悪手を指してしまうのである。


さて、(互いに)5秒将棋でこのプログラムと互角以上で戦える人間がいるのなら、それは専門棋士かビョーキ的アマではないだろうか、という気がする。因みに私[*2]は1000局ほど指してみて、数局しか勝てなかった。というより、勝つまでやってたから、やっと勝てたという感じだ[*3]


とにかく、ぶっタマゲた。どエライ新人が現れたものだ。是非選手権に参戦して頂きたいと思っている。次回まで、あと11ヵ月という天文学的将来[*4]の話になるが、その間に終盤力を強化(特に頓必至対策)して来られるとなれば、デビュー即決勝進出どころか、優勝にまで絡んでくる勢いで、はっきり「末恐ろしい」と私は感じたのだった。


[*0] bo-nan-za とは、米語スラングで、大当たり、大儲け、あるいはその種の意味の名詞。

[*1] 7尺であって7寸ではない。それくらい意表を突かれた。

[*2] あくまで、「私自身」であって「謎電」ではない。恐らく今の謎電では序盤でオワる。

[*3] 実は、勝つまでやってたので、本ブログの更新ができなかったのだ

[*4] どれくらい天文学的かといえば、11ヵ月を334日とした時、約2.886×1016ナノ秒である。