3割3分3厘の「分」と「厘」は1/100,1/1000という意味では無い(語学エピソード第7話) | Prof_Hiroyukiの語学・検定・歴史談義

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誤訳?リンカーン演説「人民の・・・」の公式見解は日本国憲法「前文」に(語学エピソード第6話) 以来の語学エピソードです。


「分(ぶ)」「厘(りん)」・・・TV放送では、プロ野球選手の「打率」として良く聞く文言です。

3割3分3厘は打率0.333という意味。ですので、どうしても「分=0.01」「厘=0.001」という意味に取られてしまうのですが・・・


(1)こんな漢字、知りませんか?

前々回の海外出張(フランス出張)記ヨーロッパのペットボトルでは常識!"cL"とは何の単位?(欧州出張記7) で紹介した

cL(センチリットル=100分の1リットル)は

dg(デシグラム=10分の1グラム)はであり、

いずれも漢字検定1級の範囲内の「国字」です。


ここで立は「リットル」、瓦は「グラム」を示していますので・・・

」は「10分の1」、「」は本来は釐で「100分の1」という事になります。


これらの漢数字は、漢和辞典などを引いて確認されれば宜しいでしょう。

「九分九厘」という熟語もあり、これも「0.99」という意味でしたね。



(2)では、どうして「分」が「100分の1」という誤解が・・・

漢数字の場合、小数が単位と共に使われた場合には次の様になります:

5.38寸→5寸3分8厘


そして、江戸時代より我が国では「歩合」という率の表示をする様になりました。

基本単位は「割」で「10分の1」。その小数を「分」「厘」と表しますと・・・

5.38割(0.538)→5割3分8厘


・・・これでお分かり頂けたと思います。


「分」や「厘」に「1/100」や「1/1000」のという意味があるのではなく、それぞれ

「歩合」の「割(10分の1)」に対する「1/10」や「1/100」という意味なのでした。