「品種(人種・犬種・猫種など)」と生物学上の「種」との違い(語学用語などあれこれ第9回) | Prof_Hiroyukiの語学・検定・歴史談義

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「濁音」と名前への使用http://ameblo.jp/prof-hiroyuki/entry-10796322096.html 以来の「語学用語などあれこれ」です。※昨日お断りした通り、シリーズタイトルに若干の変更をしております。


(1)色々な人種がいても、生物学上は同じ「ホモ・サピエンス」という「種」。

世界中には様々な人種がおり、人種が異なるという理由で争いや差別や起こる事もしばしばです。

しかしながら、現生人類は全て「ホモ・サピエンス」という同一種

どの人種間でも子供が授かる事からそう言えるのです。


動物を種別する際(同一種か判定する際)に一番大事なスタンダード、それは自然環境下で二者間の子孫を残せるかどうかという事なのです。

これによれば現生人類の「~人」とは「人種」であって、これはせいぜい「品種」という下位分別です。


品種といえば、猫(イエネコ)という「種」内のアメリカンショートヘア,メインクーン,アビシニアンなどの分類も品種別。

これらの猫種と呼ばれる品種の間では交雑は自由であり、いくらでも雑種が生まれるのはよく知られている事かと思います。


(2)種が違っても属が同じまたは近縁ならば交雑可能。でも、結局は・・・。

生物の進化に伴って種が分かれていくのですが、暫くは「属」という同一カテゴリーに属します。

ネコ科内で話を続けますと、例えば「ヒョウ属」に属するのは「ヒョウ」「ライオン」「トラ」「ジャガー」。

実は、これらの「種」の間で子供は生まれるのです:

「ライオンの雄」+「トラの雌」→ 「ライガー」

「トラの雄」+「ライオンの雌」→ 「タイゴン」

という様に、「雄の種名の最初」と「雌の種名の最後」とを繋げるというルールとなっている様です。

ライオンとトラとは体格に大きな差が無いのでどちらが雄でどちらが雌でも問題は無さそうですが、雌が小型の種の場合は赤ちゃんが異常に大きくなるために母胎が危険となる場合も有る様です。

また、これが先述の「自然環境下」ではなく人工的な試みである事も付け加えておきます。


そういった体格上の制約も有るのですが、交雑種(あいのこ)同士が子孫を残しにくいというのが最大の難点なのです。

例えばライガーやタイゴンの雄には生殖能力が無く、雌はどうしてもトラの雄かライオンの雄とカップルにならざるを得ません。

その子供までしか確認出来ない様ですが、例え以降の子孫を残せても結局は「トラの遺伝子を僅かに持ったライオン」か「ライオンの遺伝子を僅かに持ったトラ」しか残らず、途中で交雑種が生じても結局は「ライオン」「トラ」という「種」が保存される事になります。


人類に話を戻しましょう。

2010年には現生人類の中に僅かながらネアンデルタール人由来の遺伝子が混じっている事が分かったとの事ですが、それが本当ならばこれも「ホモ属」という属内の「現生人類(ホモ・サピエンス)」と「ネアンデルタール人」の交雑種は固定出来なかったという証でしょう。

「ホモ・サピエンス」と「ネアンデルタール人」はやはり別種だったのです。

先程と同じ言い方をすればアフリカ人以外の現生人類は「ネアンデルタール人の遺伝子を僅かに持ったホモ・サピエンス」になるのですが、それでも我々全てがホモ・サピエンスという種である事には変わりは有りません。

どうやら交雑は「ネアンデルタール人の男性」+「ホモ・サピエンスの女性」というパターンのみで、その逆は何らかの理由で子孫が残せないという「大きな制約」が有った様です。


(3)属内雑種も出来る場合が有りますが・・・。

なお、「ネコ属」内の別種である「イエネコ」と「サバールキャット」の交雑種もライガー・タイゴンと同様の傾向(第1世代~3世代の雄の生殖能力が極めて乏しい)にあるのですが、根気よく交雑を続ける事によって「サバンナキャット」という「イエネコより」の交雑種(かなり大きくて脚の長い猫)として固定は出来ている様です。

※サーバル(キャット)をサーバル属として独立させる場合も有る様です。

それでも人間の多大な手間は掛っており、やはり自然にはどう考えても生じない交雑ではあります。

そのためか、輸入購買価格は1個体でライオン数頭分(100万円~200万円)にもなります。


今回はこの辺で。犬種につきましてはまた別の機会とさせて下さい。