プロケア通信 -33ページ目

スピルリナ

○スピルリナ


 スピルリナは緑青色をした藍藻の一種で、0.3~0.5mmくらいの大きさだが、ワインのコルク抜きのようにらせん状をしていることから、ラテン語でらせん、ねじれるを意味するスピルリナと言う名前がつけられた。藍藻の多くが淡水に生息しているの対し、スピルリナは高温・高アルカリ・高塩分という厳しい環境下で繁殖するのが大きな生物的特長である。この条件はまた雑菌の繁殖を防ぐのにも役立っている。

 食用としての歴史は古く、16世紀のメキシコ高原に栄えたアステカ王国では、この地に多い塩湖に自生していたスピルリナを常食していたと言う記録も残っている。そのためか、メキシコ政府は1973年にスピルリナを正式に食品として認め、増産を奨励した。

 またアフリカのチャド共和国では、同じく塩湖のチャド湖、ヨアン湖に自生するスピルリナを、一部原住民が昔から常食している。

 本格的な食料化については、1967年の国際応用微生物学会(エチオピアで開催)で注目されてからのことである。その後の研究において、スピルリナに優れた栄養成分が豊富に含まれていること、消化吸収がズバ抜けて高いことがわかった。

 その特徴は、まだタンパク質の含量が60~70%と非常に高く、高タンパク食として大きな価値を持っている。一般にタンパク含有量の高い良質の食品として知られる大豆でも33~35%、牛肉でも18~20%にしかならず、スピルリナはその2倍、3倍の量を含有していることになる。さらにタンパク質の大事な条件である必須アミノ酸については12種類全てを高単位に含んでおり、優れた栄養バランスを保っている。タンパク質は生体の構造や機能にとって中心的な働きをする栄養で、特に必須アミノ酸は体外から摂取しなければならない大切なものである。

 さらに、ビタミンやミネラルも豊富に含まれているため、新陳代謝を円滑にし、体内の酸性、アルカリ性を調整する効用がある。ビタミン類ではプロビタミンAが多く、100g中100~200mg。そのほかにビタミンB1、B2、B6、B12、E、ニコチン産、葉酸、パントテン酸など、ほとんど含有されている。

 またミネラルではカリウムが特に多く、100g中1000~2000mg、カルシウム100~400mg、リン300~700mg、マグネシウム200~300mg、鉄50~100mgとなっている。そのほか、日本人に不足しがちな葉緑素や、カロチノイド、フィコシアニンなどの色素類も含み、全体としてバランスのとれた栄養補助食品となっている。

 こうした優れた栄養成分は、病気治療や予防に役立つことが臨床報告や実験などによって明らかにされている。特に各種の生活習慣病などのように体の老化から起こる疾病は、栄養補給が重要な条件となっており、アミノ酸をはじめビタミンやミネラルなど、多くの栄養をバランスよく含むスピルリナは、優れた効果を持っていることが指摘されている。

 これまでに報告された中では、糖尿病、肝炎、貧血症、高脂血症、慢性膵炎、胃潰瘍、胃炎などの成人病、内臓疾患などに効果を上げた例がある。これらはいずれも栄養補給が治療の重要条件だけに、スピルリナの栄養効果が実証された例といえる。そのほか、老人性白内障や円形脱毛症など、一般に治療困難といわれる症状に著効を示した例もある。

 また、重金属や薬物による副作用の軽減効果も報告されている。数ある健康食品の仲でも、総合的な栄養補給に優れ、健康の維持・増進に適した食品といえる。形状としては粒状、顆粒状のものが主流だが、近年は液状のエキスも開発されている。


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ハナビラタケ

○ハナビラタケ


 ハナビラタケ(花弁茸)はハナビラタケ科の食用のキノコで、世界に1科1属2種だけが、夏から秋口にかけて関東以北の山間部で針葉樹の根元や切り株に生える。英語名カリフラワー・マッシュルームからもわかるように、葉牡丹のように縮れた花びら状の子実体は、1株の直径が20~40cm、高さ10~30cmにも達するが、絶対数が少なく、しかも人工栽培が非常に困難であることが、健康食品界への登場を遅らせる原因となった。この困難な人工栽培を成功させたのは福島隆一(埼玉県立熊谷農業高校教諭)であるが、この成功によって供給されるようになった試料を用いての生理活性研究が学界にデビューを飾ったのは、1999年3月に徳島市で開催された日本薬学会第119年会である。ポスター発表で、東京薬科大学第一微生物学教室の宿前利郎、大野尚仁らによるハナビラタケ由来のβ-グルカンの構造と活性であった。

 同研究によれば、ハナビラタケのβ(1→3)D-グルカンは43.6g/100g(酵素法による)にも達し、この数字はどんなキノコよりも圧倒的な多さである。

 また、抗ガン活性の実験は、1群10匹、合計130匹のマウスに固型ガン細胞ザルコーマ180を鼠蹊部に皮下注射で移植して行われた。子実体の熱水抽出(4倍画分、1倍画分)、冷アルカリ抽出、熱アルカリ抽出の濃度の異なる試料(500、100、20ug)を7日目、9日目、11日目の3回、腹腔内に注射で投与し、5週間経過後のガン細胞抑制率を調べたものである。結果は2群(熱水抽出画分の100、20ug投与)を除く全てにおいて著しい抗ガン効果を示し、特に熱アルカリ抽出画分100ug投与では、100%のガン退縮を見た。

 引き続いて、注射ではなく、経口投与による抗ガン効果を検討する実験が同研究グループによって行われ、熱水抽出試料を連日50、100、200ug経口投与することによって、抹消血管内の白血球数が未投与グループに比して1.5~2倍にも増えたことが確認されている。

 ハナビラタケの抗腫瘍効果については、最近、臨床治験報告も出されている。移入免疫療法の第一人者として知られる吉田憲史(ヨシダクリニック東京総院長)によると、大腸ガンが肺に転移して一時は余命6ヶ月と診断された59歳の女性で、移入免疫療法によりガンの進行は抑えられていたが、その後両側の頚部リンパ節転移が認められ、腫瘍マーカーCEAも37.5へ上昇した。そこでハナビラタケ1T(100mg)を1日3錠ずつ内服して経過を見たところ、1ヵ月後には頚部リンパ節転移が右側1個となり、2ヵ月後には消滅し、CEAも254へ下降した。免疫力を表すNK細胞活性も当初の17%から40%まで回復。それ以降、ハナビラタケを内服しながら月1回の治療を続けた結果、ガンの進行は認められなかったという。吉田の報告によれば、慰留免疫療法とハナビラタケを組み合わせる治療法は、手術や抗ガン剤によって低下した免疫力を飛躍的に活性化させ、体内ワクチン作用を起こし、ガンと闘う力をよみがえさせる効果があるとしている。


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EPA(エイコサペンタエン酸)

○EPA(エイコサペンタエン酸)


 国際表示はIPA(イコサペンタエン酸)。魚油に多く含まれるn-3系の多価不飽和脂肪酸である。

 EPAが注目されるようになったのは、1970年代にデンマーク・オールボア病院のダイアペルグがエスキモー人を対象にして行った疫学的調査の結果によってである。それによると、魚やアザラシを主食とするエスキモー人(イヌイット)は、肉食中心のデンマーク人に比べて動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞などの生活習慣病が大幅に少なかった。たとえば、デンマーク人の死亡原因が心筋梗塞だけで40%以上も占めているのに、エスキモー人は発症率が高いはずの60歳以上だけを対象にしても、わずか3.6%でしかなかった。

 その原因がエスキモー人の食生活にあると考えた研究の結果、魚油に含まる脂肪酸のEPAの有効作用にあるとわかったのである。これは同じく魚油に含まれるDHAにも見られる作用で、血液の流動性を高めて血栓の生成を抑え、血管に付着して動脈硬化の原因となる血液中のコレステロール値を下げる働きも明らかにされてきた。

 日本における疫学調査でも、山間部の農民に比して沿岸地域の漁民はイワシなど魚類を2.5倍ほど多く摂取しており、血小板の凝集能(血液の固まりやすさ)は約1/3、また、心筋梗塞や脳梗塞による死亡率が2/3であることなどの調査結果を報告、同研究班はさらに魚油から生成したEPAによる臨床試験(対象者117名)でも、血中EPAの増加と、血中コレステロールの低下、血小板凝集能の抑制が認められることを確認した。

 効した疾病以外に、EPAにはアトピー性皮膚炎や気管支喘息、花粉症などアレルギー疾患に対する予防・治癒効果、あるいは慢性関節炎など炎症性の症状にも効果があることが報告されている。これはEPAやDHAを材料にして体内で作られるエイコサノイドという生理活性物質(プロスタグランジン、トロンボキサン、ロイコトルエンなど)による作用であると考えられているが、よく似たプロセスでn-6系のリノール酸が体内でアラキドン酸を経て生理活性物質になった場合には、逆に血小板凝集作用が強まり、過剰摂取は成人病を促進することになるばかりか、炎症物質を作ってアレルギー反応を助長する結果を招くことがあることも明らかにされている。こうして、一時期もてはやされた植物油への過信を反省する気運の中で、EPAやDHAへの関心が高まり、また、体内でEPAやDHAに変わるα-リノレン酸などへの関心も高まってきている。

 EPAを多く含むのはハマチ、サンマ、イワシ、マグロなど脂肪の多い魚全般、あるいは筋子などであるが、それは魚類が餌とするプランクトンなどに含まれるα-リノレン酸が体内でEPAに変化して蓄積されるためといわれ、冷たい水の中で体脂肪が凝固してしまうことを防ぐことに寄与していると考えられている。


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