今回の相談者は会社員の男性A(37歳)。
帰宅すると妻Bに携帯の提出を求められ、浮気をしていないかを確認される。通話やメールやSNSの履歴に女性の気配があると浮気を疑われる(因みに通話履歴にとある女性のものがあったが、これは男性Aの勤務先の取引先の人)。妻Bはかなり重度のオセロ症候群を患っている。
他にも休日に外出していてもその気がないにも拘らず、少しばかり他の女性を見ささっただけでも激怒したり、自宅でテレビを見ていて女性タレントを見て感想を述べただけでも嫉妬し、激昂する。
そして、ついに決定的なことが起こってしまう。何と妻Bはリビングに監視カメラを設置し、自分が外出中でも常携帯で男性Aの行動を常時監視すると言い出した。
これまで一度たりとも不倫をしたことがないという理由もあり、堪忍袋の緒が切れた男性Aは離婚を申し出るが、妻Bは離婚に応じない。
果たして男性Aはオセロ症候群の妻Bと離婚出来るのか?
※オセロ症候群…恋人や夫婦間で相手に対して異常なまでに不倫を疑うこと。シェイクスピアの作品に出て来るオセロ将軍が妻の不倫を疑い、最後は殺してしまうと言う悲劇に由来する。
北村弁護士の見解:離婚出来ない
「愛情があるから嫉妬します。嫉妬から生まれてくるのが独占欲です。本件では、1部屋にカメラを付けられています。全ての部屋にカメラを付けるとなると、夫は息が詰まってしまいます。家に安住の地はなくなるため、ここから先は厳しい。ギリギリでしょう。」
-本村弁護士の解説に対して-
「妄想で1人の浮気相手を想定しているのではありません。浮気してほしくないという気持ちがものすごく強いのです。人間にはそのままエスカレートする人もいれば、元に戻っていく人もいる。これは事前には判断できないことです。」
北村弁護士の見解はVTRの事態を軽く見過ぎている感が否めない。毎日携帯電話をチェックするわ少しでも他の女性を一瞥したり、評論する程度で大騒ぎしたり、挙げ句の果てには家にカメラを設置するなど明らかに常軌を逸していると言わざるを得ないレベルに達してしまっている。エスカレートする可能性もあれば、元に戻る可能性もあると言うが、恐らく妻Bは元に戻るどころか更にエスカレートして男性Aの精神的苦痛はますます悪化していくものと考えられる。事前に予測出来ないとも言うが、妻Bが家にカメラを設置した時点で行為がエスカレートする可能性が極めて高いのは自明の理。離婚に至る可能性は極めて高い。
菊地弁護士の見解:離婚出来る
「夫からすると、家の中に1人ストーカーがいるような状態です。そのくらい自分の行動をどこかで確実に見張っている。これは離婚できます。」
本村弁護士の見解:離婚出来る
「妻は、実際には存在しない夫の浮気相手の女性が、きっといるはずだという妄想に支配されています。部屋に監視カメラを付けるというのは、この妄想が相当エスカレートしています。夫は到底耐えられません。即離婚できます。」
菊地・本村弁護士の見解は極めて合理的。ありもしない妄想を抱いて無意味に男性Aに精神的苦痛を与えている。嫉妬もある程度ならあっても致し方ないものの、上述の通り、毎日携帯電話をチェックするわ、他の女性を一瞥したり、評論した程度で大騒ぎしたり、家にカメラを設置するなど明らかに常軌を逸しており、妻Bの妄想が著しくエスカレートした結果であると言える。ここまで来ると男性Aは妻Bの奴隷未満と言っても過言ではなく、十二分に離婚出来る事由になる。