今回の相談者は女性A(37歳)。女性Aは彼氏である男性B(38歳)と10年間同棲している。
女性Aの同級生の友人が結婚するなどという話が女性Aの耳に入ってきたりすると言ったこともあり、女性Aも結婚に向けた動きを加速させようとしている。
10年前、男性Bは「一人前の男になったら結婚しよう。」と言っており、女性Aの両親と面会した時にも「タイミングが来たら結婚を考えている。」と話していた。
しかし、10年経った今も男性Bはプロポーズをする素振りを全く見せない。痺れを切らせた女性Aは「もう自分も37になったのだから、もうそろそろ結婚したい。」と男性Bに告げるが、すると男性Bは「結婚なんかしたくない。」と逆に女性Aに告げる。実はこの男性Bは嫌婚男子(※1)の一人であったのだ。
これに激怒した女性Aは「これは結婚詐欺と同じことだ!10年間、私を騙し続けてきた以上、自分の人生を台無しにした慰謝料を払ってもらう。」と告げるも、男性Bは「女性Aが勝手に勘違いしていただけなのだから、慰謝料は払わない。」と反論する。
果たして、女性Aは嫌婚男子の男性Bから慰謝料を取れるのか?
※1…嫌婚男子とは「趣味の時間が欲しい」とか「仕事を優先したい」といった様々な理由から結婚しようとしない男を指し、ネットや雑誌で話題になっている。
北村弁護士の見解:慰謝料取れない
「これは慰謝料取れません。「タイミングがきたら」、「一人前になったら」、非常に抽象的なんですね。具体的な結婚の約束とは到底言えない。なので、婚約が成立していないことは確か。」
-本村弁護士の見解に対するコメント-
「結婚の挨拶してないでしょ! 」
菊地弁護士の見解:慰謝料取れない
「婚約っていうのがはっきり成立すると、婚約不履行で法的に問題が発生する。婚約以前の恋愛状態のフッた、フラれたはよくある事。そこは、相手を見間違ってしまったら、基本的には自己責任。 」
北村・菊地弁護士の見解は極めて合理的。まず、菊地弁護士も御指摘の通り、婚約がはっきりと成立して初めて慰謝料をどうすべきかと言う問題になるだろうが、本件は明らかに婚約には至っていない。となれば、恋愛の状態、即ち法律的には保護されない状態にあると判断出来る。また、北村弁護士も御指摘の通り、男性Bは結婚にの時期ついては「タイミングが来たら」とか「一人前になったら」とかと非常に抽象的に語っており、婚約をしたとは到底評価出来ない。そして、止めは菊地弁護士の「婚約以前の恋愛状態のフッた、フラれたはよくある事。そこは、相手を見間違ってしまったら、基本的には自己責任。 」がこの案件の全てを物語っていると言っても過言ではない。
本村弁護士の見解:慰謝料取れる
「慰謝料取れます。この2人は婚約をしている。ところが、この男性は心変わりをした。今回の場合、10年前に結婚を前提に交際を開始して、双方の親に結婚の挨拶もしている。」
-北村弁護士のコメントに対する反論-
「VTRは10年間の出来事の1つのシーンを取り上げているだけ。」
本村弁護士の見解は明らかにおかしい。論理が完全に破綻していると言わざるを得ず、法律家の見解なのかと思えてならない。本村弁護士は「婚約をしている」とか「双方の両親に結婚の挨拶をしている」と言うが、男性Bの抽象的な発言からは婚約の意思は全く感じられない。「結婚を前提に」と言うことは「まだ婚約には至っていない」と言うことになる。そうなると、男性Bは女性Aの人生を賠償する責任など生じるわけがない。故に男性Bは慰謝料を払う必要性も皆無と言うことになる。心変わりについても恋愛中なら全く自由であり、咎められる謂れもない。故に本件は女性Aが男を見る目がないのが悪いと言うだけの話と判断出来る。
因みに今回の相談で取り上げられた「嫌婚男子」だが、筆者の俺もその一人!それ故に世の女性は呉々もそのような男に近付いたり、騙されないようにしてもらいたく希うばかりである!