今回の相談者は会社員の男性A(42歳)。男性Aの年収は600万円で、2人の子供を育てるために妻である女性Bもパートに出て家計を支えている。しかし、男性Aの家庭にはある問題が。
男性Aの実家は母親Cと弟である男性D(34歳)が二人で暮らしているが、その男性Dは5年前にリストラに遭って以来、ニートだったのだ。父親は既に他界し、遺産も殆ど無かったため、母親Cは自身の僅かな年金で男性Dを養っていた。
しかし、その母親Cも当然病死してしまう。そして、男性Aに追い討ちを掛けるかの如く、悲劇が起こる。今後は男性Aが弟である男性Dの面倒を見なければならない可能性が出て来てしまったのだ。これを「兄弟リスク」と言い、今、問題となっている。女性Bは「男性Dの面倒を見る余裕はない。」と主張する。
果たして、男性Aと女性Bの夫婦はニートで男性Aの弟である男性Dの面倒を見る義務が発生してしまうのか?
北村弁護士の見解:義務無し
「これは義務はありません。心身の障害があって働けない、あるいは病気があって働けない、あるいは失業で働けない。そういう人が扶養される権利を持ってるわけですね。で、じゃあそれにあたるかってことなんです。この方は働く知力も、体力もあるんだけどもただ単に怠け者だから働かない人。こういう人がこの権利を持ってるはずがないでしょ。要扶養者にあたらないから扶養義務がない、ということになります。」
本村弁護士の見解:義務無し
「法律上、兄弟姉妹間にも扶養義務は確かにあるんです。ただ、兄弟姉妹間の扶養義務というのは、あくまでも自分の生活に余裕がある場合に初めてじゃあ扶養するという程度の義務です。それ程の強制力はないと。」
北村・本村弁護士の見解は合理的で、特に北村弁護士の見解は極めて合理的である。男性Dがリストラされた後、仕事を必死に探して何とか働こうと言う気があるならまだ助けてやれと思えるが、男性Dには働く意欲が全然感じられず、親に甘えてニートのまま5年間もズルズルと何もしないでのうのうと生きていること自体が信じられない。仮に男性Aは収入があったとしても男性Dを養う義務は絶対にない。仮に男性Aに十分な収入があったとしても、毅然とした態度で「甘えるな!」と言って男性Dに厳しい現実を見させるぐらいのつもりでいてほしい。
菊地弁護士の見解:義務有り
「この方はお母様が亡くなられて、生活が困窮するとなると最後は生活保護というような形で、要するに税金で面倒見てもらわなければいけないというようなところにいくしかないわけなんですね。じゃあ、我々の税金でこの人をまず面倒見なきゃいけないのか、それよりも近親者がいるのならばそっちが先でしょ?っていう話なんですよ。」
菊地弁護士の見解は極めて理解に苦しむ。上述の通り、男性Dに働く意欲があって、一生懸命仕事を探していると言うのであれば、男性Aに「男性Dを助けるためにも少しは援助してやれよ。」と言いたくなるものの、男性Dには働く意欲が全く見られない以上、男性Aが男性Dに手を差し伸べるべき道理は何処にも存在しない。また、菊地弁護士は生活保護に触れているが、男性Dが生活保護を受給出来る可能性は著しく低く、これでもし、男性Dが生活保護を受給しようものなら詐欺罪に問われてもおかしくない。