今回の相談者は会社員の男性A(32歳)。男性Aはとある合コンで出会った女性B(29歳)に一目惚れする。そして、男性Aのデートの申し出を女性Bは快く受け入れ、デートすることに。
それから半年間様々なデートを重ね、男性Aはプロポーズした。
しかし、女性Bから「自分は既婚者であるため、貴殿のプロポーズは受け入れられない。」と呆気なく拒否されてしまう。
当然、男性Aは納得出来るわけがなく、男性Aは「これは結婚詐欺だ!これまでのデート代は全額返してもらう!」と宣告する。
果たして貢いだデート代の内、いくら返してもらえるのか?
北村弁護士の見解:0円
「これはゼロです。一番問題なのは、この男性が心の中でこの人と結婚できるかもしれないと思っていたことですよね。でもそれは、結婚前提の交際でなければ法的保護には値しないんです。勝手に思ってたんですから、女性はモラルとしてはひどいことをしました。でもそれだけのことですから。」
菊地弁護士の見解:0円
「逆にじゃあ、請求出来る場合ってどんな場合かっていうと途中で結婚を前提で付き合ってくださいませんかみたいな、そういうようなことを言った場合です。ちゃんとそれに「結婚してます、実は私は」って言わなかったとなると、やっぱりちょっと詐欺性が出てきますね。そうなれば、まあ慰謝料の問題にもなってくるんだろうと。ただ慰謝料といってもおそらく10万とか20万とかそれぐらいだと思いますけど。」
本村弁護士の見解:0円
「男性がこれは詐欺だと言ってましたよね。結婚詐欺っていうのは、結婚する気もないのに結婚の約束をしたり結婚をほのめかしたりして相手からお金や財産をだまし取る、これが結婚詐欺なんですね。で、今回の場合、女性は結婚のけの字も言ってない、男性のほうからも、プロポーズするまでは結婚の話題を出したこともなかった。これでは到底、結婚詐欺とは言えないんですよね。」
3人の見解は大体は合理的。女性Bからプロポーズされたわけでもなければ、男性Aが勝手に舞い上がって気に入った女性は付き合えば勝手に結婚できるだろうと思い込んでいただけのことである。はっきり言って全然話にならない。本村弁護士の「女性Bは結婚の「け」の字も言っていない。男性Aもプロポーズするまで結婚の話題を出したこともない。」という指摘はあまりにもその通り過ぎて、思わず笑ってしまった。また、北村弁護士は「女性Bはモラルとしては酷いことをした。」と言っているが、別に女性Bは男性Aに何も酷いことはしているとは思えない。女性Bのしたことは夫に対しては不倫となるので不法行為になり得るが、バレなければ全く問題ない。菊地弁護士の「結婚を前提にお付き合いして下さい。」と言った場合は詐欺になりうる可能性があるため、ある程度のデート代を取り返せたり、僅かではあるが慰謝料を取れる可能性があると言っているが、それでさえ詐欺性が生じるとは考えられない。男女のどちらかからプロポーズがあって初めて結婚に至る為の恋愛が法的に保護されるのであって、そのような要素が少しでもなければ恋愛が法的に保護されることはない。個人的には男性Aは少し頭を冷やして「恋愛は騙し合いが当たり前だ」という現実を思い知るべきであると考える。