行列のできる法律相談所:嫁名義の家、姑は出ていかないといけないのか?(20161016) | モンタナの本日も絶不調!??!

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今回の相談者は無職の女性A(76歳)。
 
女性Aは5年前に夫が他界し、それから一人息子B(47歳)とその妻C(51歳)と5年間同居。母親思いの息子夫婦と3人で仲良く生活していたが、息子Bが突然死してしまった。
 
それから1か月が経ち、血縁関係のない2人での生活を送らざるを得ず、喧嘩も多くなった。そして、遂に女性Aは妻Cから「この家は自分名義の家であり、女性Aは実の母親ではないため、この家を出て行け。」と宣告されてしまう。
 
女性Aは身寄りもなく、収入も僅かな年金のみで「5年も一緒に生活したのだから家族同然ではないか。今、ここを追い出されたら身寄りもいないのに如何生活していけと言うのか。」と反論。
 
果たして女性Aはこの家を出て行かなければならないのか?
 
北村弁護士の見解:出て行かなければならない
 
「これは出て行かなければいけません。一番重要なのは、この家がお嫁さんの物であると、所有物であるということです。物をタダで使わせてあげるというのが「使用貸借契約」。この契約は夫を挟んで3人で円満に生活するというのが目的だったと考えられます。ご主人が亡くなった事によって目的は終了しました。そこで家は返さなければいけない、これが法律的な答えです。でお嫁さんは、再婚も含めて第二の人生を生きる権利があって、もしこの姑さんが出て行かないって事になれば、この人は再出発できません。ですからこれは絶対に出て行かなければいけないということです。」

- 菊地弁護士の見解に関して -
「お嫁さんを、一回息子さんが結婚したから一生しばり続けるみたいな、戦前の考え方はもう終わったんですよ。お嫁さん側、お姑さん側、両方の立場に立って充分検討してないからこんな結論になるんです。実際にそうなります。」
 
本村弁護士の見解:出て行かなければならない
 
「法律上、扶養義務があるのは直系血族及び兄弟姉妹です。妻と夫の親というのは、結婚によって親族になった関係。これを姻族と言います。で、姻族には扶養義務はないんですね。」
 
北村・本村弁護士の見解は極めて合理的。確かに女性Aは身寄りがおらず、高齢であることを踏まえると反対の判定を出したくなるところではあるが、姻族には扶養義務がない以上、女性Aは妻C名義の家に居座ることは不可能であり、出て行かなければならない。
 
菊地弁護士の見解:出て行かなくてもよい
 
「おばあちゃん出て行きなさい、これは酷ですよ。どう考えたって酷ですよ。この家はですね、たとえお嫁さんの名義ではあってもですね、はい息子が死んだから今日でおしまい、出て行ってくださいって言って直ちに打ち切れるか、これは多分無理だと思います。扶養義務も今のこの段階ではダイレクトな扶養義務はないんですけど、家庭裁判所が「まぁ、特別な関係ということで扶養義務をちょっと拡張する。面倒見てあげなさいって」裁判所が言う可能性は大いにあります。」
 
菊地弁護士の見解は決して理解出来なくない。上述の通り、女性Aは高齢で身寄りもなく、収入も僅かな年金のみとなると住む場所や生活資金等を考えるとかなり厳しいと言わざるを得ない。しかし、その一方で北村弁護士の「菊地弁護士は妻Cの事情を少しも考えていない。」と言う指摘も的を得ている。そういう意味において本件は少子高齢化が進む現代社会の大きな問題の一つと言えるだろう。