以前英Testamentレーベルから発売されていたルドルフ・ケンペのBOXセットを購入しました。
オリジナルのタイトルは"Rudolf Kempe, A Testament"です。

R.ケンペ(1) R.ケンペ(2)


名指揮者ルドルフ・ケンペ(1910~76)が英EMIと専属契約をしていた1955年~1961年の主要な録音と、後に1967年にEMI傘下のワールド・レコーズに行った録音をBOX化したものです。
「全集」ではないので、ファンの間に評判の高いブラームスの交響曲全集や歌劇など、このBOXに含まれていない作品もあります。

興味深い録音がいくつかあります。

ドヴォルザーク/交響曲第9番ホ短調
この曲は1957年9月に初期のステレオ録音されましたが、カラヤン/Bphの録音が1958年1月&5月なので、近い時期にベルリン・フィルが連続して同じ曲を録音しています。
同時期の《スケルツォ・カプリチオーソ》Op.66は同じ1957年のステレオ録音ながら、LPではモノしか発売されていませんでした。

ベートーヴェン:交響曲第3番《英雄》Op.55
1958年10月に、フェレンツ・フリッチャイ指揮ベルリン・フィルの録音(DG)があります。
更に同じ1958年12月にはアンドレ・クリュイタンス指揮でEMIに録音しています。
既にカラヤンが芸術監督に就任していましたが、彼は1951~55年にフィルハーモニア管弦楽団と交響曲全集を完成したばかりのため、ベルリン・フィルは1957~59年にクリュイタンスの指揮でステレオ版の交響曲全集を完成しています。

ウィーン・フィルとの録音にも興味深いものがあります。
コダーイ:組曲《ハーリ・ヤーノシュ》、おそらくこれがWphによる同曲の初録音で、1995年にショルティ指揮で録音するまではWph唯一の録音だったと思います。
同時期のグルックもおそらく他には録音が無いと思います。

ややごった煮のBOXですが、名匠ケンペの貴重な記録を堪能したいと思います。

<CD1>
シューマン:交響曲第1番《春》Op.38(1955年6月20日、モノラル)
ドヴォルザーク:交響曲第9番《新世界より》Op.95(1957年9月2日、ステレオ)
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

<CD2>
ベートーヴェン:交響曲第3番《英雄》Op.55(1959年9月3日、ステレオ)
シューマン:序曲《マンフレッド》Op.115(1956年11月26日、モノラル)
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

<CD3>
ベートーヴェン:序曲集[《フィデリオ》序曲、《レオノーレ》序曲第3番、《コリオラン》序曲、《プロメテウスの創造物》序曲、《エグモント》序曲](1957年7月1日&9月5日、ステレオ)
J.S.バッハ:管弦楽組曲第3番BWV1068(1956年11月27日、モノラル)
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

<CD4>
ベルリオーズ:《幻想交響曲》Op.14a(1959年5月3日、ステレオ)
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

ベルリオーズ:序曲《ローマの謝肉祭》Op.9(1958年12月21日、ステレオ)
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

<CD5>
モーツァルト:序曲集[《フィガロの結婚》序曲、《コシ・ファン・トゥッテ》序曲、《魔笛》序曲、《イドメネオ》序曲](1955年12月4日、ステレオ)
モーツァルト:弦楽セレナード第13番《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》K.525
(1955年11月23~24日、ステレオ ※当CDでステレオ初登場)I
ハイドン:交響曲第104番《ロンドン》Hob.I:104(1956年6月、ステレオ)
管弦楽:フィルハーモニア管弦楽団

<CD6>
ワーグナー:《ローエングリン》第1幕&第3幕前奏曲、《パルシファル》第1幕前奏曲&聖金曜日の音楽、《トリスタンとイゾルデ》前奏曲と愛の死
(1958年2月10~13、17日、ステレオ)
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

<CD7>
J.シュトラウスI世:《ラデツキー行進曲》
J.シュトラウスII世:《こうもり》序曲、*皇帝円舞曲、*《千一夜物語》間奏曲、*ワルツ《ウィーンの森の物語》、*ポルカ《クラプフェンの森で》
ヨゼフ・シュトラウス:*ワルツ《ディナミーデン》、同《天体の音楽》
レハール:ワルツ《金と銀》
ホイベルガー:《オペラの舞踏会》序曲
(1958年2月12、19、20、22日、*1960年12月21~22日、ステレオ)
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

<CD8>
メンデルスゾーン:序曲《フィンガルの洞窟》Op.26
ウェーバー:《オベロン》序曲(以上、1958年12月18、19、21、22日、ステレオ)
レズニチェク:《ドンナ・ディアナ》序曲(1958年2月18~19日、ステレオ)
シューベルト:《ロザムンデ》の音楽D797[序曲、間奏曲第3番、バレエ第2番]
(1961年12月11、12、15日、ステレオ)
スメタナ:《売られた花嫁》序曲(1958年12月22日、ステレオ)
スッペ:《ウィーンの朝・昼・晩》序曲(1958年2月18~19日、ステレオ)
ヨハン・シュトラウスII世:ポルカ《浮気心》(1960年12月21~22日、ステレオ)
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

<CD9>
ヘンデル:《王宮の花火の音楽》(1962年5月、ステレオ)
バンベルク交響楽団

グルック:バレエ組曲(モットル編)(1961年12月12~13日、ステレオ)
コダーイ:組曲《ハーリ・ヤーノシュ》(1961年12月17日、ステレオ)
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

<CD10>
ブラームス:交響曲第4番(1960年2月14、22、23日、ステレオ)
メンデルスゾーン:《真夏の夜の夢》の音楽[序曲、夜想曲、スケルツォ、結婚行進曲](1961年1月31日&2月2~3日、ステレオ)
管弦楽:ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

<CD11>
スメタナ:《売られた花嫁》組曲[序曲、ポルカ、フリアント、道化師の踊り]
ドヴォルザーク:《スケルツォ・カプリチオーソ》Op.66
(以上、1961年4月26日&1月27日、ステレオ)
フンパーディンク:《ヘンゼルとグレーテル》組曲[序曲、魔女の騎行、ジンジャーブレッド・ハウス、魔女のワルツ、ドリーム・パントマイム]
(1961年1月、ステレオ)
管弦楽:ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

<CD12>
*リムスキー=コルサコフ:交響組曲《シェエラザード》Op.35
(1967年2月16~17日、ステレオ)
ワインベルガー:《バグパイプ吹きのシュワンダ》~ポルカとフーガ
(1961年1月、ステレオ)
管弦楽:ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、*アラン・ラヴディ(ヴァイオリン)

ドヴォルザーク:《スケルツォ・カプリチオーソ》Op.66
(1957年7月1日、ステレオ ※当CDでステレオ初登場)
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団


2005年にスタートしたラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン音楽祭(LFJ)が10周年となり、今年も5月の連休に有楽町の東京国際フォーラムで開催されました。
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今回は、5月4日に2公演を聴きました。

シューベルト/弦楽四重奏曲第14番ニ短調 『死と乙女』 D.810
演奏:プラジャーク弦楽四重奏団
パヴェル・フーラ(ヴァイオリン)
ヴラスティミル・ホレク(ヴァイオリン)
ヨセフ・クルソニュ(ヴィオラ)
ミハル・カニュカ(チェロ)
会場:よみうりホール

既に30年以上活動しているベテランの弦楽四重奏団、2010年から設立メンバーのレメシュ氏に代わりフーラ氏が第1ヴァイオリンに加わりました。

LFJでは数多くの公演が行われるため、リハーサル時間があまり取れないようです。
但し、この曲は彼らは数えきれないほど演奏してきたでしょうから、ゲスト奏者との合わせ物のような問題は無いと期待して聴きました。
第1楽章はやや大人しめのスタート、もちろん音色はチェコの瑞々しい弦の音です。
第2楽章では中間部でのカニュカ氏が主旋律美しく奏でました。
第3楽章、第1ヴァイオリンの音色が他と少し違う感じがしましたが、聴いた場所のせいかもしれません。続く第4楽章も手慣れた演奏でした。
弾き慣れた作品でしょうから、もう少しいろいろ遊んでほしい部分もありますが、なかなか聴きごたえある演奏だったと言えましょう。


ショパン/演奏会用ロンド ヘ長調 op.14 「クラコヴィアク」
ショパン/ピアノ協奏曲第2番ヘ短調 op.21
ピアノ:アブデル・ラーマン・エル=バシャ
管弦楽:シンフォニア・ヴァルソビア
指揮 :ジャン・ジャック・カントロフ
会場:ホールC

ソロのエル=バシャ氏は、19歳で国際エリザベト王妃コンクールに優勝し、その後長年に渡り第一線で活躍しています。

今回はショパン若き日の珍しい作品とピアノ協奏曲第2番の組み合わせでした。

演奏会用ロンド「クラコヴィアク」、既にピアノパートは名人芸を要求する作品ですが、エル=バシャ氏は実に楽々と弾いているように見せていました。フレーズの細かい表現など、彼独特の歌いまわしが聴かれましたが、ポーランド系の音楽家とは異なる彼の個性をさりげなく出していました。

メインのピアノ協奏曲第2番、これもピアノの名人芸を目立たないように見せつけていました。有名な曲なので、細部で様々な個性がキラキラと光る演奏ながら極端な解釈は無く、その面では安心して聴ける演奏です。
ある意味、噛みしめると味が出る演奏と言えると思います。


この後、地下で無料演奏も聴きました。デジタルグランドピアノを弾くものでしたが、聴衆は立ち見です。そのため演奏者をビデオカメラで撮影し、後ろの人はディスプレイに映るピアニストを見ながら演奏を聴くようになっていました。
私もディスプレイを見ていたせいか、映像の指とスピーカから聞こえる(デジタルピアノなので)音に僅かなずれがあるように感じました。
このような催しの難しさかもしれません。

ワーナーから発売されたカラヤン没後25周年BOXから、モーツァルトの交響曲第35番と第39番を聴きました。
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交響曲第35番ニ長調K.385「ハフナー」
(録音:1952, 54, 55年, モノ)
交響曲第39番変ホ長調K.543
(録音:1955年, モノ)
ディヴェルティメント第15番変ロ長調K.287
(録音:1952, 55年, モノラル)

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交響曲第35番ニ長調K.385「ハフナー」
(録音:1952年, モノラル)
交響曲第39番変ロ長調K.543
(録音:1955年, ステレオ)
ハイドンの主題による変奏曲Op.56a
(録音:1955年)
管弦楽:フィルハーモニア管弦楽団
指揮 :ヘルベルト・フォン・カラヤン

今回のBOXには、モーツァルトの2曲の別バージョンが収録されています。
また、ブラームスのハイドン変奏曲のステレオ版が収録されました。
交響曲第35番は、モノ録音ですが異なるテイクを収録したようです。
一方、第39番は既に何度も発売されているモノ録音版と、ステレオ録音版が収録されていました。こちらは基本的に同一時期に並行して別の機材で行われた録音でしょう。

演奏は壮年期のカラヤンらしい、颯爽としたものです。
緩徐楽章では後年の演奏ほどの厚みがない事が幸いして、爽やかさを感じさせる部分もあります。
当時のフィルハーモニア管弦楽団は後にクレンペラーの下で重厚な音色になる前だったのも幸いし、メヌエットやトリオでは所々軽やかな表現も聴かれます。
勿論、よりカラヤンらしい表現はベルリン・フィルとの70年代の録音(1970年/EMI、1975~77年/DG)を待たねばなりません。その意味では一部に聞かれる「カラヤンは40代で完成していた」という意見には同意できません。

注目のステレオ版ですが、ベートーヴェンの第9番のような定位の驚きはなく、当時の実験的ステレオ録音としてオーケストラの広がりが捉えられていました。
但し、音質はあまり期待できません。同時期の英DECCAのステレオ録音による名作の数々と比べると周波数レンジも狭くフォルテは混濁してしまいます。

あくまでカラヤン壮年期の記録として捉えるべき作品群ではないでしょうか。

ワーナーからカラヤン没後25周年を記念して発売されているBOXセット、先日のベートーヴェンの交響曲全曲に続いてモーツァルトからR.シュトラウスまでの録音集成(1951~1960)を購入しました。

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今回の特色は、モーツァルトの交響曲第35番ニ長調の別テイク版、第39番変ホ長調、ブラームスのハイドンの主題による変奏曲がモノとステレオの2バージョン収録されている事でしょう。
HMVやタワーの情報では、ハイドンの主題による変奏曲が「ステレオ版」のみ収録されているような記載ですが、実際にはモノとステレオの両方が収録されています。

その他は1951年~1960年にフィルハーモニア管弦楽団とベルリン・フィルを指揮したドイツ音楽が集められています。フィルハーモニアとは1955年からステレオ録音が始まっていましたが、ベルリンでは1957年に一部ステレオ、58年から全面的にステレオ録音が始まったので、このBOXも大半がモノで一部ステレオとなっています。

収録されている曲目は、大半がその後ベルリン・フィルやウィーン・フィルと再録音する曲が並んでいます。このBOXにはLP時代の第1回目(曲により第1回目と第2回目)の録音が並んでいるので、40代のカラヤンの表現がどんなものだったかを聴く事が出来、後年の作品と聴き比べても面白いものです。

DiscCD1
・モーツァルト:交響曲第35番ニ長調 K.385『ハフナー』
 録音:1952~55年(モノラル)
・モーツァルト:交響曲第39番変ホ長調 K.543
 録音:1955年(モノラル)
・モーツァルト:ディヴェルティメント第15番変ロ長調 K.287
 録音:1952, 55年(モノラル)
 フィルハーモニア管弦楽団

Disc2
・R.シュトラウス:交響詩『ドン・ファン』 Op.20
 録音:1951年(モノラル)
・R.シュトラウス:交響詩『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』 Op.28
 録音:1951年(モノラル)
・R.シュトラウス:交響詩『死と変容』 Op.24
 録音:1953年(モノラル)
・ワーグナー:歌劇『タンホイザー』より「ヴェヌスベルクの音楽」
 録音:1954年(モノラル)
 フィルハーモニア管弦楽団

Disc3
・ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68
 録音:1952年(モノラル)
・ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 Op.56a
 録音:1955年(ステレオ
・フランツ・シュミット:歌劇『ノートル=ダム』より間奏曲
 録音:1959年(ステレオ
 フィルハーモニア管弦楽団

Disc4
・ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op.73
・シューベルト:交響曲第8番ロ短調D.759『未完成』
 録音:1955年(ステレオ
 フィルハーモニア管弦楽団

Disc5
・モーツァルト:交響曲第38番ニ長調 K.504『プラハ』
 録音:1958年(ステレオ
・ブラームス:交響曲第4番ホ短調 Op.98
・ワーグナー:歌劇『タンホイザー』より「ヴェヌスベルクの音楽」
 録音:1960年(ステレオ
 フィルハーモニア管弦楽団

Disc6
・ウェーバー:舞踏への勧誘
 録音:1958年(ステレオ
・J.シュトラウス2世:美しく青きドナウ
・J.シュトラウス2世:芸術家の生活
・J.シュトラウス2世:皇帝円舞曲
・J.シュトラウス2世:ピツィカート・ポルカ
・J.シュトラウス2世:トリッチ=トラッチ・ポルカ
・J.シュトラウス2世:雷鳴と電光
・J.シュトラウス2世:『ジプシー男爵』序曲
・ヨーゼフ・シュトラウス:うわごと
・J.シュトラウス:ラデツキー行進曲
・スッペ:『軽騎兵』序曲
 録音:1955年(モノラル)
 フィルハーモニア管弦楽団

Disc7
・L.モーツァルト:おもちゃの交響曲
 録音:1957年(ステレオ
・モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク K.525
 録音:1953年(モノラル)
・リスト:前奏曲
・リスト:ハンガリー狂詩曲第2番
 録音:1958年(ステレオ
・J.シュトラウス2世:トリッチ=トラッチ・ポルカ
・J.シュトラウス2世:雷鳴と電光
・J.シュトラウス:ラデツキー行進曲
・スッペ:『軽騎兵』序曲
 録音:1960年(ステレオ
 フィルハーモニア管弦楽団

Disc8
・モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク K.525
・モーツァルト:ドイツ舞曲 K.600, 602
 録音:1959年(ステレオ
・モーツァルト:ドイツ舞曲 K.605
 録音:1960年(ステレオ
・シューベルト:交響曲第5番変ロ長調D.485
 録音:1958年(ステレオ
・シューマン:交響曲第4番ニ短調 Op.120
 録音:1957年(モノラル)
 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

Disc9~10
・メンデルスゾーン:序曲『フィンガルの洞窟』
・ニコライ:『ウィンザーの陽気な女房たち』序曲
 録音:1960年(ステレオ
・ヒンデミット:交響曲『画家マティス』
 録音:1957年(ステレオ
・ブルックナー:交響曲第8番ハ短調
 録音:1957年(ステレオ
・モーツァルト:交響曲第29番イ長調 K.201
 録音:1960年(ステレオ
 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

Disc11
・ワーグナー:『さまよえるオランダ人』序曲
・ワーグナー:『ローエングリン』序曲
 録音:1960年(ステレオ
・ワーグナー:『タンホイザー』序曲
・ワーグナー:『ニュルンベルクのマイスタージンガー』~第1幕への前奏曲
・ワーグナー:『トリスタンとイゾルデ』~第1幕への前奏曲・『愛の死』
 録音:1957年(モノラル)
・ウェーバー:『魔弾の射手』序曲
 録音:1960年(ステレオ
 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

Disc12
・モーツァルト:交響曲第35番ニ長調 K.385『ハフナー』
 録音:1952年(モノラル、別テイク
・モーツァルト:交響曲第39番変ロ長調 K.543
 録音:1955年(ステレオ
・ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 Op.56a
 録音:1955年(モノラル)
 フィルハーモニア管弦楽団
1982年にヘルシンキ・フィルハーモニーが来日して行ったシベリウスの連続演奏会ライブがSACD化されています。2003年ににCDで発売されていましたが、昨年シングルレイヤSACDが発売されました。最近購入したので聴いてみました。
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ヤン・シベリウス/
交響詩《フィンランディア》 op.26
交響曲第3番ハ長調 op.52
交響曲第6番ニ短調 op.104
管弦楽:ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団
指揮 :オッコ・カム
録音時期:1982年1月22日
録音場所:東京厚生年金会館
制作:FM東京

ヘルシンキ・フィル創立100周年に合わせた初来日で、シベリウスの交響曲全曲演奏を行ない、渡邉暁雄さんが交響曲第1番、第4番、第7番を指揮しました。
そしてオッコ・カムさんが第2番、第3番、第5番、第6番を指揮しました。
つまり2人の指揮者によるシベリウス・チクルスが行われたわけです。

オッコ・カムは元々ヴァイオリン奏者でしたが、指揮を独学で学び1969年に23歳で第1回カラヤン指揮者コンクールで優勝しました。翌1970年にベルリン・フィルを指揮してシベリウスの交響曲第2番ニ長調を録音しています。
彼とベルリン・フィルの関係はあまり良いものではなかったようです。
コンクール優勝の賞品として1970年9月に用意された演奏会は、カム自身の経験と準備不足から好ましくない結果となり、以降両者は共演していません。

オッコ・カムは母国に戻り、ヘルシンキ放送交響楽団の指揮者に就任しました。
そして、1981年にヘルシンキ・フィルハーモニーの首席指揮者になり来日したのです。

交響曲第3番は初期の2曲に続く作品なので、やや牧歌的な表情をオケが素朴に歌い上げます。カムの音楽づくりも自然なもので、オーケストラを伸び伸びと歌わせながら、後期の内省的な作品に向かう転換点を伺わせる構造をさりげなく提示しているようです。
一方、交響曲第6番では教会旋法を取り入れ、薄暗い闇に樹氷が煌めくような寒色の響きと樹々の間を吹く風のような爽やかさを併せもった演奏を聴かせます。
ヘルシンキ・フィルハーモニーの演奏は、一口で言えば「素朴で地味」な感じです。
交響曲第6番はカラヤン指揮ベルリン・フィルの名演が強い印象に残っています。
カム/ヘルシンキ・フィルの演奏は、木目を感じる代わりに樹氷の煌めきが薄い印象です。

カラヤン指揮者コンクールから13年、自分の表現を確立しつつある時期の興味深い記録と言えるでしょう。