ヘルベルト・フォン・カラヤンがDGとDECCAに録音したR.シュトラウスの作品集「Karajan Strauss」は11枚のCDとDISK1~6と同内容のBlu-ray Audioディスクの組み合わせです。
その中で、1973年録音の『ツァラトゥストラかく語りき』をCDと聴き比べました。
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リヒャルト・シュトラウス/交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」op.30
管弦楽:ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
指揮 :ヘルベルト・フォン・カラヤン
録音:1973年1月、3月ベルリン、イエスキリスト教会


今回のリマスタリングは、Blu-ray Audioディスクが収録するため、96KHz/24bitでリマスタリングされています。CDの規格はは44.1KHz/16bitなので、ブルーレイよりダウンコンバート&CD用マスタリングでダイナミックレンジや周波数レンジを縮めています。
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Blu-ray オーディオ・ディスクには写真のようにCD1~6の内容が1枚に収録されています。


オリジナルのアナログマスターがどの程度ブルーレイに収録されているか、大いに興味がわきました。
演奏自体の感想は、以前「Karajan 1970s」収録の「ツァラトゥストラかく語りき」の感想を書きましたので、こちらをご覧ください。
映画「2001年宇宙の旅」で有名になった冒頭部分ですが、オルガンの前奏に続いてトランペットがファンファーレ風に始まる「ド~ソ~ド」の旋律が自然に響きます。全合奏部分は、確かに派手ですが、元のアナログテープのダイナミック・レンジが当時のLPレコードを想定して制作されたのでしょう、期待よりは大人締めに感じます。
なお、この感想は、私の再生環境(スピーカはB&Wの805Sという小型スピーカ)が原因かもしれません。逆に、比較的はっきりと差が出るのが余韻の部分やピアニシモです。CDの16bitとBlu-rayの24bitというダイナミックレンジの差がここで出てきます。

PCM方式のディジタル・サウンドでは、規格上小さな音では歪が増大します。ビット数の多いBlu-rayでは、信号全体を高いレベルで収録する事で、ビット数の少ない領域をあまり使わないように収録する事ができます。今回、Bklu-rayオーディオ・ディスク用に行ったマスタリングは、日本で発売されるSACD用マスタリング(DSD変換前)を兼用していると思われます。今回のSACDは購入していませんので、聴き比べはしていませんが大きな差はないと推測します。

なお、このBlu-rayのオーサリングの中に「手抜き」を見つけてしまいました。
Blu-rayディスク再生の前にタイトルの静止画が表示されます。
BDタイトル

パソコンで確認したら、このファイル名がなんと「03_SoltiRing_Siegfried_BD.png」でした。(爆)

以前DECCAレーベルで発売された「ニーベルングの指環」にもBlu-rayオーディオ・ディスクが付いていました。そのオーサリング画像を同じコンピュータで行い、第3作(ラインの黄金が「序夜」のため劇は「第2夜」)「ジークフリート」のオーサリング作業ファイルを流用して、そこに新しいタイトル画像を上書きしたのでしょう。

この調子では、別途発売されるカラヤンのベートーヴェン/交響曲全集やカルロス・クライバー/ウィーン・フィルのBOXに収録されるBlu-rayオーディオのタイトル画像がどうなるか、ちょっと気になります(笑)

とりあえず、Blu-rayで1曲聴きましたが、他の曲がどんな音で鳴るのか順に聴いてみたいと思います。

今月エソテリックから発売された2点のSACD。
クラウディオ・アバド指揮ロンドン交響楽団のストラヴィンスキー、もう一点はアルバン・ベルク弦楽四重奏団によるハイドンの弦楽四重奏曲第77番とモーツァルトの弦楽四重奏曲第17番を組み合わせたものです。
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(1) ヨーゼフ・ハイドン/弦楽四重奏曲第77番ハ長調 op. 76-3 Hob.III-77「皇帝」
(2) ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト/弦楽四重奏曲第17番変ロ長調 K.458「狩」
演奏 :アルバン・ベルク弦楽四重奏団
録音 :1993年12月、1994年6月16日~24日(1)、
     1990年6月7日~14日(2)、スイス、セオン、福音教会

これらはオリジナルの組み合わせではありません。
ハイドンは作品76の第2~4(四重奏曲第76番~第78番)を組み合わせたCDで発売されていました。一方モーツァルトは弦楽四重奏曲第16番と第17番の組み合わせで発売されていました。

一曲目のハイドン。出だしからキリリとしたフレーズ、でも刺激感は少なく各声部が絶妙のバランスで調和のとれた響きを紡ぎだします。
第2楽章は有名なドイツ国歌(ハイドンは「オーストリア国歌」として作曲したのですが・・・)の旋律が主題に使われ4つの変奏が続きます。穏やかな主題と各変奏で4つの楽器が夫々見どころのあるフレーズを歌うように奏でます。後半も落ち着いた演奏で、ハイドン中期の名作を古さを感じさせずに楽しませてくれます。


モーツァルトの弦楽四重奏曲第17番 変ロ長調、6曲の「ハイドン・セット」の中でも最も有名な曲です。ABQの演奏は美しい旋律(例えば第3楽章などは絶品)に頼る事無く緊密なアンサンブルと羽毛のような爽やかな歌いくちで魅了しています。

2005年に惜しまれつつ解散したアルバン・ベルク弦楽四重奏団、1980年代~1990年代は固定したメンバーで、この時期は間違いなく世界最高の弦楽四重奏団だったと言えます。

SACDの音ですが、旧EMIの国内盤よりは弦の音が自然に流れ出すようです。
特にピアニシモと余韻の美しさはSACDならではのものなので、管弦楽曲だけでなく、このような室内楽作品でもSACDをいろいろ出して欲しいものです。

エソテリックが制作するSACD、今月発売の2枚から、クラウディオ・アバド指揮ロンドン交響楽団によるストラヴィンスキーの舞踊音楽『ペトルーシュカ』と『プルチネルラ』を聴きました。
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イーゴル・ストラヴィンスキー/
舞踊音楽『ペトルーシュカ』(*)
舞踊音楽『プルチネルラ』
ピアノ:レスリー・ハワード(*)
メゾ・ソプラノ:テレサ・ベルガンサ
テノール:ライランド・ディヴィス
バス :ジョン・シャーリー・カーク
管弦楽:ロンドン交響楽団
指揮 :クラウディオ・アバド
録音 :1980年9月29~30日(*)、1978年3月8~9日、5月12日

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クラウディオ・アバドは1972年に組曲『火の鳥』をDGに録音、続いて1975年に『春の祭典』を録音しながら、『ペトルーシュカ』の録音は1980年と5年後になりました。
DGはそこまで待てなかったのか、シャルル・デュトワ指揮ロンドン交響楽団で『ペトルーシュカ』を録音しました。これもなかなか魅力的な演奏でしたが、1980年に一連のストラヴィンスキー作品の4作目として登場したこの録音で三大バレエを聴く事ができるようになりました。

演奏は、脚本のストーリーに忠実に演奏が進みますが、バレエ音楽というよりも独立した管弦楽作品としてややクールで解像度の高い演奏を味わえます。

ペルゴレージのトリオ・ソナタの主題を元にした『プルチネルラ』は、小編成オーケストラが精密かつしなやかな動きを見せています。バレエの物語とは直接関係ないアリアを歌う歌手の中では、テレサ・ベルガンサがまろやかで艶のある歌唱で魅了します。

70年代後半~80年代前半のロンドン交響楽団は財政面で厳しい状況にありながら、演奏面では全盛期と言えるほど素晴らしい録音を残しています。
クラウディオ・アバドも当時は苦労した様で、収入目当ての映画音楽のサントラ録音の直後に演奏会のリハーサルを限られた時間で行わないといけない事もあったようです。
しかし、これらの録音ではそのようなビジネス上の苦悩を感じさせない精緻で解像度の高い演奏を楽しめます。

SACDの音質ですが、ディジタル録音初期の『ペトルーシュカ』では聴く前の心配が杞憂に終わるほど透明感あふれるサウンドに仕上がっています。
1978年録音の『プルチネルラ』では、声楽陣が小編成のオーケストラの前面にふわっと浮き上がる感じで歌唱が流れ出てきます。ただし、弦楽合奏がコンチェルト・グロッソのように演奏する場面では、このマスタリングは音を膨よかにし過ぎたような感じがします。


Karajan Strauss』から、交響詩≪英雄の生涯≫を『Karajan 1960s』と聴き比べてみました。

英雄の生涯

R.シュトラウス/交響詩≪英雄の生涯≫ op.40
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー
指揮 :ヘルベルト・フォン・カラヤン
録音 :1959年3月2~4日、ベルリン(イエス・キリスト教会)
リマスタリング:レナート・イェスケ
オーサリング:msm-studios


『Karajan 1960s』に収録された≪英雄の生涯≫は2011年のリマスタリングでした。
今回のBOXに収録されている演奏は、Blu-rayオーディオ・ディスク用も兼ねたマスタリングのようです。
ライナーに記載の演奏時間もわずかながら異なっています。


これは『Karajan Strauss』のライナーです。

一方、『Karajan 1960s』のライナーはこちらです。

演奏自体は全く同じものなので、詳細は以前の記事を参照してください。


音質についてですが、『Karajan 1960s』収録のCDはOBIPマスタリングと記載されています。音響バランスとしては、1960年代のピラミッド型バランスを少しイメージした感じに聴こえます。
一方、今回の『Karajan Strauss』収録のCDでは、よりワイドレンジ、フラット感を狙ったような響きが特徴です。ところによっては響きが薄くなったり広域がやや耳に付く半面、全体にフラットな特性を印象付けるマスタリングです。おそらく、国内で発売予定のSACDとこのBOXに収録されたBlu-rayオーディオ用に96KHz/24bitでマスタリングした素材と元にダウン・コンバート&CD用マスタリングをしたのではないでしょうか。

その意味では、Blu-rayオーディオに収録されたハイレゾ音源(96KHz/24bit)が本命かもしれません。


ESOTERICから定期的に発売されるSACD、通常は2~3か月に一回のペースですが、この夏にDECCA原盤のベートーヴェン/ピアノ協奏曲全集が発売されます。

グルダ、ベートーヴェン
ESSD-90102-04(3枚組)、2014年6月25日 発売

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン/ピアノ協奏曲全集
ピアノ:フリードリヒ・グルダ
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー
指揮 :ホルスト・シュタイン
録音 :1970年6月、1971年1月、ウィーン、ゾフィエンザール


今までの発売ペースでは、6月に発売されるアバド指揮ロンドン交響楽団のストラヴィンスキーとアルバン・ベルク弦楽四重奏団のハイドンとモーツァルトの次は秋の発売かと思っていました。ある意味嬉しい驚きですが、財布には厳しいニュースです(笑)


グルダのベートーヴェンは、1967年録音のソナタ全集(アマデオ・レーベル)と並んでLP時代から評価の高演奏でした。初回盤は購入できませんでしたが、その後再発売盤を購入しました。更に後日キングからスーパー・アナログ・ディスクで発売された協奏曲第3番~第5番を購入しました。

1970年はベートーヴェンの生誕200年記念で数多くの作品が録音・発売されました。
グルダとシュタイン指揮ウィーン・フィルによるこのピアノ協奏曲全集もその一環だったのでしょう。
久々にSACDで甦る当時の名演を聴くのが楽しみです。