注文しておいた、「Herbert von Karajan 1970s」が届きました。
今年は6月に60年代の録音を集めたHerbert von Karajan 1960sを購入したばかりで、カラヤンのCDが一気に160枚を超えてしまったことになります。

1960sと同様に、韓国ユニヴァーサルが企画・制作した88枚組のCD BOXセットが販売されていましたが、このうち短時間収録のタイトルを何点かまとめて82枚に減らしています。
ベートーヴェンの交響曲第4番と第5番を1枚に
ベートーヴェンの交響曲第6番と第7番を1枚に
チャイコフスキーの交響曲第1番と第2番を1枚に
ブラームスの交響曲第2番と第3番を1枚に
R.シュトラウスの交響詩他、オリジナル3枚分を2枚に
新ウィーン楽派の管弦楽曲集オリジナル4枚分を3枚に
実は、Karajan 1960sと比べて、手持ちCDとの重複が大幅に増えています。
実は「Karajan Symphony Edition」を購入していたので、交響曲録音の大半が重複してしまうのです。
具体的には、以下の交響曲全集/曲集が既に購入したCDと重複しています。
モーツァルト(35番~41番)/ベートーヴェン/シューマン/メンデルスゾーン/ブラームス/チャイコスフキー/ブルックナー(4番~9番)、うわ!結構な枚数が重なっています。

それでも、この70年代全集には見送るには惜しい魅力が満載です。
現在でも最高峰と言える新ウィーン楽派の管弦楽曲集。
70年代ザルツブルク復活音楽祭で演奏したバッハのロ短調ミサとマタイ受難曲。
カラヤン初のマーラーの交響曲集。
大変珍しいドイツ行進曲集(ベルリン・フィル・ブラス・オーケストラを指揮)。
ヴェルディ、ウェーバー、ロッシーニなどの序曲集。

なんと言っても、ヘルベルト・フォン・カラヤンとベルリン・フィルハーモニーの全盛期の主要な録音(70年代は他にEMIやDECCAにも録音有)を網羅しているので、気になった録音から順不同で聴いてみたいと思います。

7月最後の日曜日、代々木上原にある瀟洒なホール「ムジカーザ」でヴァイオリンとピアノのデュオ・リサイタルを聴きに行きました。

出演者は、ハンガリーのヴァイオリニスト、ヴィルモシュ・サバディ氏と夫人の岩崎由佳さん。
サバディさんはリスト音楽院の准教授ですが、長年にわたり豊富な演奏活動を続け、CDもハンガリー最大のレーベル「Hungaroton」レーベルから50枚を超えるCDをリリースしています。

(写真は主催者の、株式会社ア・ラ・ゼウスのポスターです)


当日は、前半にヴァイオリンの良く知られた曲集とリストのピアノ独奏曲、後半はハンガリーのヴァイオリン曲集という構成でした。

タルティーニ作曲ヴァイオリン・ソナタト短調「悪魔のトリル」。第3楽章の中に有名な「悪魔のトリル」と呼ばれる技巧を誇示するフレーズが登場します。サバディさんは、ピリオド奏法をとらずに、モダン奏法の中でこの18世紀の名曲をさりげなく歌い上げました。

クライスラーの作品は、彼が生前に自分の作品をなぜか「失われたバロックの作品を発掘した」と偽って発表した一連の作品の中から2曲を選んで演奏されました。クライスラー自身は自作を披露するのが恥ずかしくて自分を「編曲者」と偽っていたようですが、小品にもバロックの作風をうまく取り入れていて、確かに「発掘された作品」らしい響きです。
サバディさんは、華やかさよりも木の響きを重視したような深い音色で、名ヴァイオリニストの作品を楽しく聞かせてくれました。

サバディ夫人の岩崎由佳さんのソロで、リストのバラード第2番ロ短調。有名なピアノ・ソナタと同じ年に書かれた作品で、雄大な男性的な旋律と優美で可憐な女性的な旋律が登場します。演奏が難しい割に派手な部分が少ないので、ピアニストには難しい曲ですが、由佳さんは歌い回しのなかで、優美な部分と劇的な部分を描き分けていました。

演奏会後半は、母国ハンガリーの作品でした。
サバディさんご自身が、作品を紹介(由佳さんが日本語に通訳)して演奏するという、和やかな雰囲気ですすみました。

ドホナーニ・エルネー(ドイツ語読みでは、エルンスト・フォン・ドホナーニ)のヴァイオリン・ソナタ、愁いを帯びた美しい曲です。ドホナーニ自身は、20世紀前半に名ピアニスト・指揮者としても有名でピアノ作品は多くありますが、ヴァイオリンの作品は少なく、このソナタはその中の貴重な一曲です。

ヴェチェイ・フェレンツ(ドイツ語読みでは、フランツ・フォン・ヴェチェイ)は早逝の名ヴァイオリニストで、シベリウスからヴァイオリン協奏曲ニ短調を献呈されています。若くして亡くなったので、日本ではあまり知られていませんが、チャーミングなヴァイオリン曲を何曲も作曲しています。本日は、彼の小品を2曲演奏しました。

本日のメインは、バルトークの狂詩曲第1番。有名な作品で、サバディさんも力強く演奏されました。彼のヴァイオリン(クレモナのストリオーニでしょうか)は、派手さよりも繊細さと響きの奥深さを感じさせる音色で、このような小さな会場で聞くと表情の変化を楽しむことができました。

休み時間に、主催者の代表ともお話ししましたが、このような素敵な演奏会を企画・運営してくれたことに感謝したいと思います。

【演目】
タルティーニ:悪魔のトリル
クライスラー:タルティーニの様式によるコレルリの主題による変奏曲,
クライスラー:プニャーニの様式による前奏曲とアレグロ
リスト:バラード第2番 ロ短調 S.171(ピアノソロ)
    ******
ドホナーニ:ヴァイオリン・ソナタ 嬰ハ短調 Op.21
ヴェチェイ:小品集より
バルトーク:狂詩曲 第1番 Sz.86 BB 94a






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元、某TV局でプロデューサで活躍された宮島将郎さんが主催する、
『未来からくる演奏家を聴く会』の記念すべき第200回演奏会が12日に開催されました。

立上舞



ベルリン在住(ベルリン芸術大学大学院)のヴァイオリニスト、立上舞さんが一時帰国しての演奏会を聴きました。会場は、広尾の南麻布セントレホール。
ピアノは、国内ではいつも組む小森谷裕子さん。

昨年も同会の演奏会を聴きましたが、その時は技巧的な多彩な作品を組み合わせていました。
今回はガラッと変わり、W.A.モーツァルト/J.S.バッハ/R.シュトラウスと、ドイツ古典と近代の作品を集めたプログラムになりました。

最初のモーツァルトのソナタK454。「ヴァイオリン・ソナタ」と称されますが、実態は「ピアノとヴァイオリンのためのソナタ」(モーツァルト自身がクラヴィアを弾いて初演)で、ピアノ奏者の重要性が高い、二重奏曲です。昨年の演奏会では、小森さんは優しく支える感じの演奏でしたが、今回は、かなり対等に二重奏を奏でていました。
第1楽章冒頭のラルゴは硬さが見られましたが、アレグロになると立上さん固有の艶のあるボウイングの美音とピアノの絡みがキラキラと輝いていました。
美しい第2楽章を経て、ロンド形式の第3楽章でも艶のある音の魅力をふりまいてました。

2曲目はJ.S.バッハの無伴奏。
パルティータ第3番は、全6曲のソナタとパルティータの中で、「太陽の陽気」さと称される明るさと輝きをどう活かせるか、楽しみに聴きました。
バッハの無伴奏といえば、古くはヨーゼフ・シゲティやヘンリク・シェリングの渋めで構造の見事さを音で築き上げる演奏が有名です。立上さんの演奏は、若さを活かして重厚な構造は曲自体に語らせ、輝きや多彩なニュアンスを聴かせるものでした。また、何年もしたら6曲全部を聴いて見たいものです。

演奏会後半、メインのR.シュトラウスのヴァイオリンソナタ変ホ長調 作品18です。
1887~1888年に書かれ、作曲者若き日の古典的指向から後期ロマン派への移行期を感じさせる作品です。この曲もピアノ・パートの重要性が高く、「二重奏ソナタ」として演奏者の力量が問われる作品でしょう。
第1楽章はピアノが弾く短い導入部から思慮深いヴァイオリンの旋律への流れから、昇りつめる様な二重奏部分で、R.シュトラウス独特の美しさが垣間見られます。
歌曲のような第2楽章では、立上さんの輝くような音色とミュート付の繊細な歌いまわしに「惚れてしまう」感じでした。
第3楽章は、特に後半の勇壮な部分は、さながら大規模な協奏曲のような曲想になります。
以前の彼女なら、「美しいけれど、ひ弱な」印象を持ったかもしれませんが、このフィナーレを曲に負けることなく、スケール感を増した演奏で弾ききっていました。

アンコールは商品を2曲+1、R.シュトラウスで加熱した雰囲気を和らげ、また明るく締めくくっていました。
来月は、青山でコントラバスとの二重奏という異色の演奏会があります。
また、違った魅力を聴かせてくれそうで、本当に楽しみです。




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小型ディジタルアンプやDACの製造で固有のファンを掴んでいたラステーム・システムズと販売会社のコムファディオが破産したようです。

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20130701_コムファディオ破産(1)



7月2日現在、コムファディオの店舗は営業せず、両社のWebサイトは閉鎖状態になりました。
Amazonの通販でも同社の製品が購入できなくなっています。
ラステームの製品は、特にPCオーディオのユーザに評判がよく、PCに保存したハイレゾ音源を楽しむ環境が増えるとともに、同社の業績も安定するかと思っていたのですが、残念なことになりました。

同社の製品は大半が安価なもので、いわゆるピュア・オーディオのユーザから見ると、「デザインが陳腐」、「スイッチング電源が音質に悪影響」などオーディオ雑誌の記事を鵜呑みにすると見栄えが悪かったかもしれません。
得意大手や中堅オーディオメーカがPCオーディオ/ネットワークオーディオ対応製品を投入しているので、相対的に市場で圧迫されていたのかもしれません。また、PCオーディオ製品は規格の更新などで商品のライフサイクルが短く、資金力のある企業でないと発展は難しかったかもしれません。


ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮の1960年代にDGへの録音を集めたKarajan 1960s
その中でも、管弦楽曲集の代表的な名盤の一つが「オペラ間奏曲集」です。

(左側はSHM-SACD盤、右側はKarajan 1960'sのオリジナル・ジャケット盤)

(1)  ヴェルディ/歌劇『椿姫』第3幕への前奏曲
(2)  マスカーニ/歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』間奏曲
(3)  プッチーニ/歌劇『修道女アンジェリカ』間奏曲
(4)  レオンカヴァッロ/歌劇『道化師』間奏曲
(5)  ムソルグスキー/歌劇『ホヴァンシチナ』第4幕間奏曲
(6)  プッチーニ/歌劇『マノン・レスコー』第3幕間奏曲
(7)  シュミット/歌劇『ノートル・ダム』間奏曲
(8)  マスネ/歌劇『タイス』~瞑想曲
(9)  ジョルダーノ/歌劇『フェドーラ』第2幕間奏曲
(10) チレア/歌劇『アドリアーナ・ルクヴルール』第2幕間奏曲
(11) ヴォルフ=フェラーリ/歌劇『聖母の宝石』第3幕間奏曲
(12) マスカーニ/歌劇『友人フリッツ』間奏曲

ヴァイオリン:ミシェル・シュヴァルベ(8)
オルガン:ヴォルフガング・マイヤー(2)
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮: ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)

録音:1967年9月
会場:ベルリン、イエス・キリスト教会
録音方式:ステレオ(セッション)
独Emil Berliner Studios 制作DSDマスター

カラヤンは、長年カペルマイスターとして歌劇場の音楽監督を経験しました。
そのためか、1950年代にもフィルハーモニア管弦楽団と同様のLPを製作しています。
しかし、歌劇場の豊富な経験を誇る指揮者はカラヤンの他にも大勢いましたが、
通俗といわれる小品をカラヤンほど真摯に演奏した指揮者はいないでしょう。

このアルバムは、ムソルグスキーとシュミット以外はイタリア歌劇から選ばれています。
そのためか、美しく印象的な旋律が次々と登場します。
カラヤンは、ベルリン・フィルからオペラ歌手が歌うようにベルリン・フィルに歌わせています。
このようなドラマの描写力を「演出過剰」としかとらえられない方はお気の毒だと思います。

CDとSACDの聴き比べですが、CD単体で聴けば十分に楽しく観賞できます。
録音が1967年と古いですが、最新録音と比較しない限り60年代の優れた録音は演奏者の芸術を十分に伝えてくれます。
しかしながら、同時にSACDに切り替えると、空気感が異なってきます。
休符の中に伝わってくる微かな残響やピアニシモの繊細な表現は、SACDでより自然に響きます。
このアルバムは大音響で勝負するデモ・ピースはありませんので、
よりピアニシモの美しさに注目が向いてきます。

予算に余裕があれば、SACDで持っていたい文句なしの名盤でしょう。