最近は師走になると気になる商品があります。
オーディオメーカ、ESOTERICが年末商戦で発売するSACDのBOXセットです。
昨年はEMI原盤で、カラヤン指揮の2作とマリア・カラス主演の2作でした。
(昨年も記事を投稿しました。→ 「詳細はこちら」 )
今年はどうなるかと思っていたら、DG&DECCA原盤の4作が発表されました。

  • モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」(全曲)
    ヘルマン・プライ(Bs)、エディット・マティス(S)、
    ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、
    グンドラ・ヤノヴィッツ(S)、タティアーナ・トロヤノス(S)
    ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団・合唱団
    指揮:カール・ベーム
    録音:1968年3月12日~20日 ベルリン、イエス・キリスト教会
  • ロッシーニ:歌劇「セビリャの理髪師」(全曲)
    ヘルマン・プライ(Bs)、テレサ・ベルガンサ(Ms)、
    ルイジ・アルヴァ(T)、エンツォ・ダーラ(Bs)、パオロ・モンタルソロ(Bs)
    ロンドン交響楽団、アンブロジアン・オペラ合唱団
    指揮:クラウディオ・アバド
    録音:1971年9月 ロンドン、ワトフォード・タウン・ホール
  • ヴェルディ:歌劇「椿姫」(全曲)
    イレアナ・コトルバス(S)、プラシド・ドミンゴ(T)、シェリル・ミルンズ(Br)
    バイエルン国立歌劇場管弦楽団・合唱団
    指揮:カルロス・クライバー
    録音:1976年5月14日~21日、1977年1月26日、6月25日&26日、ミュンヘン、ビュルガーブロイケラー
  • プッチーニ:歌劇「ボエーム」(全曲)
    ミレッラ・フレーニ(S)、ルチアーノ・パヴァロッティ(T)、
    ロランド・パネライ(Br)、ニコライ・ギャウロフ(Bs)、エリザベス・ハーウッド(S)
    ベルリン・フィルハーモニー、ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団
    指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
    録音:1972年10月、ベルリン、イエス・キリスト教会

品番:ESSG/D-90089-97(9枚組)
仕様:Super Audio CDハイブリッド
価格:27,000円(税抜 25,714円)、限定1500セット
レーベル:DG(ドイツ・グラモフォン)、英DECCA

4作とも、それぞれの曲の中で代表的な名盤揃いです。

ベーム指揮の「フィガロの結婚」は60年代のベストメンバーともいえる歌手陣です。
ベームも60年代が全盛期とわれており、聴くのが楽しみです。
アバド指揮の「セビリャの理髪師」はロッシーニのオペラ録音第2作目。
「チェネレントラ」が好評だったため、引き続いて録音したものです。
クライバー指揮の「椿姫」も有名な作品で、2004年にDGが一度SACD化しています。
手持ちのEU盤SACDとぜひ聴き比べてみたいと思います。
カラヤン指揮の「ラ・ボエーム」は、カラヤン/ベルリン・フィル唯一のDECCA録音です。
ザルツブルク・イースター音楽祭連動の制作だと思いますが、
まだひげが無かったパヴァロッティ他、カラヤンお気に入りの歌手陣がそろっています。

一つだけESOTERICの方針に疑問点を上げておきます。
昨年も感じたのですが、「なぜ?この4作をセットにしたのか?」
昨年は特に、カラス主演の2作とカラヤン指揮の2作という不思議な組み合わせ。
何の絡みも無い不思議な組み合わせでした。

今回も、個々には名作ですが、「なぜ?この組み合わせ?」という
疑問は同じです。基本的に4作バラで販売しても何の問題も無い製品を、
なぜ組み合わせるのかは理解できません。
DG3作+DECCA1作の組み合わせも必然性が感じられません。

まあ、聴いてみたい作品ばかりなので予約はしてしまうと思います。

追記:
予約しそこなった方から、「どこで予約したのか?」聞かれました。
一応、12月7日現在で予約可能なショップのリンクを記載しておきます。
ただし、この記事をご覧になった時点で売り切れかもしれませんが、ご容赦ください。
予約はこちら → 楽天のショップ「MC昭和」

ユニヴァーサルミュージックがパーロフォン・レーベル・グループをワーナーに売却後、
EMIクラシックスのタイトルの多くが実質廃盤状態になっています。
先月の記事「SACDはまた衰退するのか」にも書きました。)

但し、いくつかのタイトルは番号とレーベルだけ付け替えてワーナーからの販売に移行を始めました。
サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルのハイブリッドSACDもその一部です。
ワーナー・ミュージックのWebサイトを見ても、新譜情報にありませんが、
販売店の情報を見ると、少しずつワーナーの型番・レーベルに移行中のようです。

(EMIレーベルのSACD)

ブルックナーの交響曲第9番ニ短調(SPCS補筆完成版)のSACDを購入しましたが、
レーベルとレコード番号がワーナー・クラシックのものに変わっていました。

ラトル、ブルックナー/交響曲第9番(1)
(購入したSACD、ジャケットのレーベルが「ワーナー」に変更されている)


但しケース裏の発売年月は2012年5月のままなので、
「再発売」ではなく、単純に販売元のロゴと番号変更のみのようです。

ラトル、ブルックナー/交響曲第9番(2)
(SACDの盤面、番号はTOGE-11092/3 → WPGS-50002/3)

アントン・ブルックナー/交響曲第9番ニ短調
(第4楽章付/SPCM 2012年補筆完成版)
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー
指揮: サー・サイモン・ラトル
録音: 2012年2月7~9日、ベルリン・フィルハーモニー・ザール
プロディーサー:クリストフ・フランケ
録音技術者:ルネ・メーラー

話題となった第4楽章は、4人の音楽学者による補筆完成版です。
ニコラ・サマーレ、ジョン・アラン・フィリップス、ベンヤミン・グンナー・コールス、ジュゼッペ・マッツーカ


演奏自体は、サイモン・ラトルの個性を活かしたものと言えるでしょう。
最初の3楽章は、意外にまろやかな曲の進行で少しばかり戸惑います。
同じベルリン・フィルを指揮したヘルベルト・フォン。カラヤンのDG録音とは大きく異なります。
カラヤンの指揮で聴かれたドイツ風のアコーギクは影も形もありません。
サウンドも、前任者のアバドによって磨かれたしなやかさの延長線上で、
ラトル独自のフレージングで自己主張しているようです。


既存の演奏との違いは、第3楽章のアダージョををフィナーレとして扱うか、
続く第4楽章にピークを置くための移行プロセスを意識させるかも異なるでしょう。
「復元」された第4楽章については、ライナーノートに詳しく記載されています。
詳細は文献などを参照していただきたいと思いますが、一部を紹介します。
・補筆・復元された第4楽章は、653小節
・現存する草稿などから復元したのは440小節
・自筆スケッチ等に基づいて予め想定されていた箇所における再構成:117小節
・編纂者によって補填された欠落部分:96小節

サイモン・ラトルの言葉によれば、
「全体の85%は、ブルックナー自身によって書かれたものです」
つまり、アダージョだけを完成したマーラーの交響曲第10番とは全く異なる復元作業だそうです。

確かに、第3楽章に続けて「復元」された第4楽章を聴くと違和感は少なく、
交響曲全体の姿は、第8番の延長線上にあることを意識させます。
勿論、SPCM2012年版も「完成」といってよいかどうかは別問題です。
第1楽章~第3楽章の主題を回帰させる手法は、過去の改訂でも二転三転しており、
今後も新たな資料が発見されたり、編纂者の分析で変化する可能性もあります。

なお、SACD層の音は、最新のディジタル録音(24bit/96KHz PCM)だけあって、
演奏の細部をよくとらえています。
サラウンド音声を含んでいないのは大きな問題ですが、今後も最新録音のSACD化を
継続してほしいと強く望みます。

来る日曜日(12月1日)に、友人が出演するコンサートがあります。



私の友人は第Ⅳ部に出演します。
第Ⅳ部は現役とOBとの合同演奏で、多田武彦の「富士山」を演奏します。

多田武彦は、男声合唱をやった方ならよくご存じの作曲家です。
本業は長年銀行マン(みずほファイナンシャルG)を務めながら、「日曜作曲家」として数多くの作品を世に送り出しました。

「富士山」は私もかなり前に演奏した事がありますが、久しぶりにこの曲を聞けるので楽しみにしています。

上智大学グリークラブの演奏を聴くのは初めてですが、9月に聴いた社会人の男声合唱団とは違う学生合唱団の演奏にも期待したいと思います。


直前ですが、演奏会の案内がWebで公開されていますので転載しておきます。
http://www.sophia-glee.com/ob/concert.html
ESOTERICから定期的にリリースされているSACD。
このほど、12月の発売予定が発表されました。

ドヴォルザーク/チェロ協奏曲ロ短調 op.104 (*)
ベートーヴェン/チェロ・ソナタ第3番イ長調 op.69 (**)
チェロ: ピエール・フルニエ
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー (*)
指揮: ジョージ・セル (*)
ピアノ:フリードリヒ・グルダ (**)
録音:1961年6月1~3日(*)、1959年6月 (**)

(画像をクリックすると楽天の商品ページを表示します)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/essg90087/index.html

ピエール・フルニエのドヴォルザークは昔から有名な録音です。
ジョージ・セルがベルリン・フィルと共演した唯一のセッション録音でも知られ、
後のロストロポーヴィチとカラヤン指揮ベルリン・フィルの共演と合わせて、
この曲の二大名演と言って良いでしょう。
フィルアップのベートーヴェンは、フルニエがDGと契約後、最初に
録音したチェロ・ソナタ全集からの1曲です。
個人的には全5曲の中ではこの3番(特に終楽章)が好きなので、発売が楽しみです。

[追記]
購入して、聴いた感想を投稿しました。→[詳細はこちら]

ストラヴィンスキー/「ペトルーシュカ」からの3楽章
プロコフィエフ/ピアノ・ソナタ第7番「戦争ソナタ」
ピアノ:マウリツォ・ポリーニ
録音:1971年9月

(画像をクリックすると楽天の商品ページを表示します)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/essg90088/index.html

ショパン・コンクールに優勝した後、約8年間わたり研鑽に務めていた
ポリーニが、DGと契約後の録音第一弾です。
当時、LPで聴いて演奏のもの凄さに唖然とした記憶が蘇ってきます。
おそらく両曲とも未だにこれらの演奏のNo.1に君臨する名演です。

[追記]
購入して、聴いた感想を投稿しました。→[詳細はこちら]



12月5日の発売が楽しみです。
9月に発売された、リヒテル独奏のチャイコフスキーとラフマニノフ、
アンセルメ/スイス・ロマンド管弦楽団のムソルグスキーは既に生産終了です。
次回も、早期に生産終了&品切れになりそうなので、早めに入手する事をお勧めします。



ESOTERICから、珍しい試みのSACDが発売されました。
この秋発売する同社の旗艦シリーズ『Grandiosoシリーズ』を記念して制作されたSACDです。
「金子三勇士、ショパン、リスト、ドビュッシー」

金子三勇士01

ショパン:
バラード第1番ト短調 op.23
ノクターン第20番嬰ハ短調(遺作)、レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ op.28
24の前奏曲 op.28~第15番変ニ長調『雨だれ』
スケルツォ第2番変ロ短調 op.21

リスト:
「巡礼の年第1年≪スイス≫ S.160 / R.10 」~第8番『郷愁』
スペイン狂詩曲 S.254 / R.90

ドビュッシー:
前奏曲集第1集~第10番『沈める寺』

ピアノ:金子三勇士
録音:2013年9月14~16日、富山北アルプス文化センター
エグゼクティブプロデューサー:大間知基彰(ESOTERIC)
プロデューサー:江崎友淑(兼:バランス・エンジニア&編集)

オクタヴィア・レコードとの共同制作ですが、大変珍しい試みです。
なんと2種類のマイクロフォンを使用して、聴き比べることができるのです。
使用されたマイクは、ノイマンのM50CブラウナーのVM1
どちらも真空管を使用したコンデンサー・マイクロフォンです。
ノイマンM50Cは、1960年代から英DECCAが録音に使用した事で有名になり、
その後長年にわたり、DECCAは多くの名盤を世に送り出しました。
一方、ブラウナーVM1は1995年の発売以降、プロ用として人気のマイクです。

金子三勇士03
(2種類のマイクをセッティング:下向きがノイマン、上向きがブラウナー)


SACD層は2種類のマイクを使った録音を夫々収録しており、
ノイマンとブラウナーという2種類の音を比べることができます。
(CD層は、ノイマンM50Cの録音のみを収録)

さて、実際にどんな音がしたでしょうか。
私の自宅のスピーカはB&W 803s、同社の800シリーズで一番小さな機種です。
グランドピアノの音を全て引き出すには低音部が弱いかもしれませんが、
通常の部屋に置ける大きさなので、その意味では参考になるかもしれません。

まず、ノイマンのM50Cの音。
CD層もこの録音を収録しており、おそらく、これをメインと考えて収録したのでしょう。
音は、中音域に独特の艶がのり、これがこのマイクの魅力なんでしょうか。
大変古い製品ですが、未だに現役で活躍できるとはすごい製品です。

続いて、ブラウナーVM1の音。
極端には違いません(爆)。まあ、同一テイクなので極端に違ったら逆に変です。
実際には、VM-1の方が良い意味でフラットで美しい音です。
開発者のディルク・ブラウナー氏が自ら選んだ真空管(PHILIPS 5840)を活かして
現代最高の真空管マイクロフォンでしょう。

実際の音は、録音技師とマスタリング技師の腕次第でどうにでも変わるので、
今回の違いは、あくまで江崎サウンドを私の自宅で聴いた範囲の印象です。

演奏者の金子三勇士さんは、1989年日本人とハンガリー人の両親から生まれました。
2001年に僅か11歳でリスト音楽院に入学、
2008年にバルトーク国際ピアノコンクールに優勝しています。

このSACDでも高い技術力を感じさせる鋭いタッチと明確な表現を聞かせます。
演奏にもう一段の潤いと色気が出てくるには、もう何年か必要かもしれません。
しかし、今後も楽しみなピアニストの一人です。