広島・安芸高田
幼児~シニアの方・発達障害児さんのためのピアノ教室《LaLa Piano》です
生徒さん達とのレッスン前後の時間は、コミュニケーションの時間。
最近のこと、体調、気になること、お家での様子などなど、会話のやり取りからその日の調子を把握して、レッスンの内容を決めたりします。(もちろん、発表会前や試験など何かの期限が決まってる場合はそうともいえないのですが。)
どの生徒さんも、
学校のこと、職場での大変さ、ご家庭の様子…
気になることを話してくださったり。そうしてる内に段々お互いを知り、あうんの呼吸のようなものができてきます。
毎年この時期はお仕事が立て込んでこられるから内容は少なめにしよう、とか、学校の試験期間が終わったみたいだから先週できなかった所も進めよう…とか調整できるようになり、
やっとスムーズにレッスンが進められる気がします。
音楽は、体だけでなく心も深く結びついてるものなので、心を無視してレッスンを進めようとすると、生徒さんの心がパタッと閉じてしまうことがあります。
一度閉じた心を開くのは、本当に大変…進むはずのレッスンも進まず、良い結果など出せる訳なく。
講師が傾聴姿勢をとれないことで生徒さんの進度に遅れが出るのは絶対に避けたい。
それを教えてくれたのは、20年近く前、私が楽器店の新人講師時代にレッスンを受け持っていた、Aちゃん。
Aちゃんのレッスンでしてしまった失敗で、その後の私のレッスン姿勢が決まった、とも言えるくらい。
彼女には今も、感謝と同時に、あの時はごめんね、と思います。
当時、小5だったかな…ショートヘアのよく似合う、日焼けして目のぱっちりしたAちゃん。
スポーツもできて利発な、少しはにかみ屋のとても可愛い子でした。
音感も良く、音楽は大好きだけど、練習があまり好きでない彼女。
なかなかレッスンが進まず、もったいないな…と思っていました。
当時の私は講師、という仕事に就いたばかりで自信も何もなく、余裕が全くない…
子どもは大好きだけど、生徒さんに遠慮があるというか、あまり深く付き合うことができていませんでした。
その上楽器店は割と先生が変わりがち。
彼女のことも、他の先生が辞められるのと交代である日から急に担当することになって。
数ヶ月経って、やっとお互いに慣れてきて、少しずつ練習もしてくるようなりました。
でも、ある日。彼女が遅刻気味にきたんだったかな…?あまり話もしないままレッスン開始。
明らかに練習していない…
少しキツめに、Aちゃん練習してないね、と、言いました。
ふと見ると、Aちゃんの目から、ボロボロと涙…
びっくりして、わけを尋ねると、
先週のレッスンの後から昨日まで、数日家族で旅行に行ってたこと、昨日は帰りが遅かったけど、今日のレッスンには休まずきたことを、途切れ途切れに話してくれました。
…しまった。
今、今日の彼女なりの最大限の努力=練習はできなかったけどレッスンには休まずきたこと、を、事情も知らずに否定してしまった。
そうだったん…Aちゃん、本当に、ごめんね。
先生、知らずに言ってしまって…
と、謝りました。
こっくり、頷いてくれ、その日のレッスンは終わり。
例えば、お家の方ともっとコミュニケーションがとれていれば、今週は彼女は練習がほぼできない、とはわかっていたはず。
生徒さんの目の前の姿しか見れてなかった自分が情けなく…彼女を傷つけてしまったことへの後悔。
生徒さんの事情を把握することの大切さを、思い知りました。
それからは、できるだけ前後に生徒さんと話しをするように。
楽器店は30分レッスンだったのでそれも限界はありましたが…(独立してからはもっと余裕を持って生徒さんと向き合えるようになりました)
Aちゃんとも、その後いろいろ話ができるようになり、あまり人前で弾くのが好きでなかった彼女が楽器店のクリスマス会で良い演奏を発表してくれるまでになりました。
それでは甘過ぎ、という考えももちろんあります。