今回は前回の続きになっています。

前回の記事をまだ読んでいない方は、是非『立命館中学について(前編)』を読んでみてください。

 

8月のお盆を過ぎてから本格的に週に1回(2時間)の授業が始まりました。

もともと国語は記述を含めてある程度点数が取れていたので、授業は算数がメインの指導でした。

 

皆さんの中で、塾に通っていない生徒の算数の指導について興味のある方もいると思います。

指導開始時期にもよりますが、私は志望校の出題傾向に沿って頻度の高い単元から指導を始めますまずは難易度をかなり細く分類した専用プリントで指導を行い、その後、私の前で生徒に類題(これも専用プリントです)を解いてもらいます。一度の説明で理解が不十分であっても、分からない箇所をその場で指導した後、また別の類題を解いてもらいます。これを繰り返し、私の目から見て一人で問題を解けるようになってから次のレベルの問題に進みます。

もちろん生徒が授業で解く問題数は時期やその単元の理解度で変わってきます。

この生徒の場合は8月の時点で1回の授業の間に15問程度解いてもらっていました。

 

もちろんこれだけではせっかく理解した内容が定着しません。

そのため授業で指導した単元の問題を、授業で解いた問題の2〜4倍ほどを宿題(これも専用プリント)にしました。

また宿題の解答・解説プリントを授業が終わってからお父さんに渡しました。

これは宿題のチェックと宿題で間違えた問題のやり直しをお父さんにお願いするためです。

そしてもし理解できていない箇所があれば、そこを改めて次の授業の最初に私が指導し直しました。

こうすることで問題の解き方や考え方の定着を図れるのと同時に授業時間の効率化につながりました。

 

ここから問題になるのは指導した単元が増えてくると、すでに指導した単元がどうしても抜け落ちはじめてしまいます。

これを防ぐために9月以降は「近畿の中学入試(標準編)算数」を購入してもらい、宿題としてランダムに指導が終わった単元の問題を実際の入試問題レベルで解いてもらいました。

 

 

駸々堂の模擬試験やプレテストの結果を利用し、現状の問題点を明確にした上で次の模擬試験やプレテストまでに改善していきました。なかなか毎回思うような結果ばかりは出ませんでしたが、指導している私の目からみて着実に成長していました。

ただ生徒本人は今まで塾に通っていないため圧倒的に受けてきた試験回数が少なく、時間配分に随分と苦労していました。

 

また関西学院千里国際の算数が基本〜標準レベルのため75〜80点以上の高得点が必要であり「時間内にほぼ全ての問題をミスなく解く力」を求めているのに対し、立命館の算数は標準〜やや難レベルのため「合格するために必要な問題を見極め、出来る問題をしっかりと考えて解く力」が必要でした。

この両立は簡単そうに見えますが、中学受験でこれを当たり前のように両立できるのは上位難関校レベルに合格できる算数の実力がなければ難しいと思います。

 

 

10月以降は第一志望校である関西学院千里国際の過去問をはじめ立命館や他に受験予定であった大谷や大阪女学院などの過去問にも取り組んでもらいました。

この時期は多少問題があるとはいえ算数、国語とも仕上がりはじめていたので、過去問1回目から大谷や大阪女学院の問題は合格最低点の30点以上は取れていました。

ところが肝心の関西学院千里国際の過去問が年度によって点数にばらつきがあったため、両親が心配し「立命館を諦めて第一志望の学校に専念させた方が良いでしょうか?」と相談を受けました。

 

 

確かに不安材料も多かったのですが、指導経験上このような状態は成績が伸びる前兆だと感じていました。失点している原因がはっきりしていて、その対策も十分に行えていたので点数が安定するのは時間の問題だと考えていました。

ただ一つ不安があったのは、指導開始時に比べると立命館レベルやそれ以上に難しい問題まで自分で考え解けるようになっていたのですが、私の授業しか受けていなかったために点数などを比べるような相手がおらず、算数という教科に自信が持てていませんでした。

過去問やプレテストで点数が高い点数が取れても、授業では出来なかった問題の指摘や解き直しばかりであったので自信に繋がらなかったようです。

この辺は私にとっても反省点でした。

中学受験を上手く乗り切るためには「自信を持つ」というメンタルが必要です。

また合格するためにこのメンタル面の占める割合が高校受験や大学受験よりも中学受験はかんり大きいのが特徴です。

 

先ほどの相談の答えとして、私は最後まで関西学院千里国際と立命館の2つの学校の合格を狙ってもらいました。

そこから授業の内容は

①立命館対策としていろいろなタイプの思考問題を中心に演習

②各学校の過去問演習を通して、出来る問題の見極めと点数を取り切る訓練

③自信を持たせる

これら3つを中心に指導していきました。

 

 

その甲斐あってか11月後半から12月にかけてやっと算数の点数が安定してきました。

試験本番が1月13日(土)と14日(日)であることを思うと、少し早い目に学力が想定レベルにまで届いてくれました。

あとは12月19日の岡山中(3教科)、1月5日の香川誠陵(3教科)の2回の前受け受験を通じて、試験本番の緊張感を実際に感じてもらう予定でした。

12月の岡山中で本番の緊張感を味わえたことと、また1月に入ってインフルエンザやコロナに罹患する可能性を考慮した結果、香川誠陵(3教科)は出願はしましたが受験しませんでした。(もちろん岡山中は合格していました)

1月に入ると心配は体調面やメンタル面(受験によるストレス)のみという状態でした。

 

13日(土)午前 立命館[前期A方式 CLコース]

      午後 大谷

14日(日)午前 関西学院千里国際

      午後 大阪女学院

 

という日程で受験しましたが、当然見事全ての学校に合格をもらうことができました!

結果本人の希望で当初から第一志望の関西学院千里国際に進学をしました。

今年の4月にたまたま関西学院千里国際で生徒本人と会い少し話をしましたが、随分と楽しく学校に通っているようで本当に何よりでした。

 

 

「中学受験塾に全く通わず立命館[前期A]に合格し、しかもその立命館には行かなっかた」という、かなり珍しいパターンの生徒(2024年度入試)の事例でした。

ちなみに授業は8月以降も増えることもなく、最後の最後まで週に1回(2時間)ですみました。また授業と宿題で使用したプリント枚数は両面刷りで約1800枚くらいになったと思います。

 

 

書き出すとかなり長くなってしまいました、、

肝心の立命館中学の傾向などは『立命館中学について(後編)』で書きたいと思います。