酒を飲んでいたときの私にはキタナイ、醜いハナシが結構ある。
今でも顔を出している断酒会では償いという言葉がよく言われるけど出来ないこともある。
だから昨夜のように時々この話をする。
ずいぶん前に書いた記事のコピーだけど、実際はもっともっとキタナイ。
失格人間 2015.10
「こんなの、お好きか?」
女はさまざまの料理を自分の前に並べました。自分は首を振りました。
「お酒だけか? うちも飲もう」
「人間失格」のあるくだり…
主人公=いつも何かに怯えている作者の太宰治が、今宵初めて会ったカフェの女給に心を許して酒を黙々と飲むシーンである。
もちろん物語には前後があるけれど、このシーンは私のかつての姿に似ている。
30歳を過ぎ、お酒も相当酷い飲み方になっていった。
仕事上の怠慢も増えて上司や部下、取引先の目線に怯える毎日。
なぜかひとりだけ部下だった年下の女性が明らかに挙動のおかしい私を気遣ってくれていた。
彼女は既婚だったが毎晩のように会った。
彼女に会うまでに私はすでに酒を飲んでいる。
会ったとたん「酒臭い…」と言いながらもいつも一緒に飲んでくれた。私は彼女のとなりでただただ酒を飲んでいた。
私も彼女にだけは心を許すことが出来た。居心地がよかった。
会社を辞めてからも彼女と付き合いがあったが、私が強引に彼女をものにしようとしたことから関係が無くなった。というより嫌われた。去っていった。
それから6年後、偶然彼女に会った。
道ですれ違ったとかではなく、同じ業界にいたので一日同じ場所にいることがあった。
当然、お互いすぐに気がついた。
でも、私は何も言えなかった。
巻き込んでしまったことを謝りたいと思ったのは、彼女の姿が見えなくなってからだった。
例会でこのことを話したけれどすでに遅し。 失格…
「人間失格」といえばプロローグの部分。
私は、その男の写真を三葉、見たことがある。
一葉は、その男の幼年時代とでも言うべきであろうか…(中略)…、第二葉の写真の顔は…(中略)…、もう一葉の写真は、最も奇怪なものである。まるでもう年齢の頃がわからない。頭はいくぶん白髪のようである。
…笑っていない。どんな表情も無い…自然に死んでいるような、まことに忌まわしい不吉なにおいのする写真であった。
ああ、この顔には表情が無いばかりか印象さえ無い。特徴が無いのだ。
専門病院に辿り着いた時の私も最後の写真のようだったでしょうね。