来た道を戻り転害門から東大寺方面に向かう。
 門をくぐるとさっそく鹿が体を休めていた。南大門あたりの鹿と違い、人に慣れていないようで近づくと距離を空けていく。

 


 正倉院の南側の池のほとりに来て思わず声をあげた。素晴らしい…、それ以上の言葉は出なかった。

 

 


 傾きだした陽を受けて、色深さを増す紅葉と輝く芝。その背後で青空に聳える大仏殿の大屋根…
 まさに錦絵だ。

 境内は黄葉一色。

 


 鹿もこの光景に見とれていて、私たちのことなど相手にしない。


 秋の日の暮れは本当に早い。

 


 もっとゆっくりと見ていたかったが、そこは欲張りの私たちである。公園内の夕景を横目に見ながら、この日の最終目的地「ならまち」へと急ぐのだった。