黒人男性が電車内で挙動不審……(^^;
それは昨日6日(土)の夕刻、JR山手線内での出来事だった。
私は東京駅から外回りで品川・渋谷方向に向かう列車に乗り込んだ。
目の前で開いた扉の右側は “優先席” だったが、斜め左の一般席に(扉側からふたつめに)空き席を見つけたので、私はそこに座ってすぐ目を閉じた。
少し寝たのか、しばらくして右隣に動きを感じて目を開けるとそこは空席。その前に地味なジャジーにジーンズ姿の黒人男性が立って、進行右方向を見つめていた。仲間のだれかが来るのを待っていたのか。けれど、だれも来ぬまま彼は私の右隣に腰をおろした。
彼は左手に持っていた白いビニール袋から取り出したCDの検分を始めた。最初のCDはケースから取り出すと、裏面の状態を入念に確認している。中古CDだったのか? それ以外は、もっぱら収録曲を確認しているもよう。
私の左隣の人物が席を立ち、次の駅で下車する。それと入れ替わりに杖をついた老人が入ってきた。黒人男性がわずかに動きかけたが、老人はまっすぐ歩いて私の隣に座った。続いて同じく杖をついた年配女性が乗車してくると、今度も黒人男性が腰を浮かせかけた。だが、私の向かいの座席左端(つまりいちばん扉より)に座っていた女性がすぐにその年配女性に席を譲った。
どうも、私の右隣の黒人男性は、優先席に座れぬまま車両に乗り込んできた人に自分の席を譲ろうとしたがっているようだった。それもかなり強い思いをもって……。
次の駅に停まったときも、男性は席を立ち、少し中央に進み出て進行方向の扉から乗り込む人々を見つめているようだった(今思うと、そちら側には優先席がなかったからか?)。彼の席の前にいて、今は少し私のほうにずれて立つ若い女性は、男性の意図を知ってか知らずか、その彼の席に座ろうとはしなかった。
黒人男性は人混みをかき分けていったん姿を消したが、すぐに幼児を抱いた若い日本人男性を連れ帰ってきて、“その空席” を譲ったのだった!
車内はさらに混みあってきて、その後黒人男性の姿を見ることはなかった。
※
特にバッグ類など持っていなかったから、いわゆる観光客ではなかっただろう。もしかしたら彼は日本人だったのかもしれない。都内のCDショップでの買い物帰りだったとか。とにかく彼は、電車内にもうけられた優先席の意味を平均的な日本人よりはるかに強く意識していたように思われた。まるで強迫観念にとりつかれたかのように……。過去に車内の優先席の件でトラウマ体験でもあったのだろうか?
その理由は、私には見当もつかなかった。