
『米國警察の理論と實際』
今年の神田古本まつり初日の夕刻近く。中央交差点(と勝手に呼んでいる)の SUIT SELECT(旧アオキ跡)前に陣取った古書店のひとつ、みわ書房で、私は昭和23年に刊行された『米國警察の理論と實際』(200円)を手に入れた。
◆ 初日の夕刻?
著者は本書刊行時に国家地方警察滋賀縣本部警務部長だった芦田一良氏。第一章の總論に続いて、四つの章で、市(City)、鄙部地球(タウン、タウンシップ、ディストリクト等)、郡(County)、州(State)の警察制度、第六章で連邦警察(Federal Police )の説明があり、そして第七章の警察理論で締めくくられている。
警察の話からはずれるけれど、恥ずかしながら、私は本書を読んで、古いアメリカ映画によくみられる “タウンミーティング” が単なるアドホックな集まり以上の重みのあるものであることを知った次第である。(^^;
◆ 「青春の旅情」(Return to Peyton Place)
◆ 「ハッピー・ロブスター」
本書には著者のかつての上司が序文を寄せていた(以下の引用文中では一部旧字を拾いきれなかった箇所がある)。
本書の筆者芦田一良君は新進有為の士であって、昨年十月まで警保局企畫課において私とともに警察制度改革のための諸般の調査企畫に携わつていた人である。當時同君には主として英米の警察制度の調査を擔當して戴いたがその業績は優秀で、私共はこれによつて啓發されたところが少なくなかった。その後同君は滋賀縣警察部に轉じ、目下同縣警務課長の職にあるが、激務の傍ら引き續き撓まず勉學をつゞけられて今回米國の警察に關する本稿を完成された。
これを一讀するに、米国の警察が市、町村部、州、連邦の各々について正確に且つ詳細に説かれている。私が米國の警察について紹介したいと企圖していた事柄の大部分が、適切な形においてすでに本稿に盛られていることを知って私は非常に喜んだ次第である。現在我國には米國の警察に關する書物の公刊せられたものは余り多くないので、この意味において先づ本書の出版は有意義であると思うが、その内容においても、今後色々と類書が出版された場合もなお、本書は米國の警察に關する書物としては相當權威をもつものの一つとして残るであらうことを確信させるものがある。
そして、序文は以下のように結ばれている。
かような意味において私は本書を江湖に推奨し、警察の問題にいさゝかでも關心をもたれる方の御一讀を御願いする次第である。
昭和二十三年三月
内事局第一局總務部長心得
兼調査課長 加 藤 陽 三
全197ページの本書がどの程度網羅的なものかはわからない。でも、当時米国で刊行されていた推理小説、犯罪小説の背景知識を得ておきたいという私の用途には役立ちそうだ。(^^;



