“進化”・“進化論”・“ダーウィン” | DVD放浪記

“進化”・“進化論”・“ダーウィン”

中学生から高校生になる頃のことだったと思う。

 

そこそこ科学読み物を読んでいた私にふと気になることがあった。それは、「星の進化」という表現だった。あれこれ読む限りでは、それは「星の一生」とか「星の生涯」とかいうべきものではないかと思われてしかたがなかったのだ。

 

最近小谷太郎『物理の4大定数』を読んでいて、その長年のモヤモヤがようやく晴れた!

 

 

 

 

そこにはこう書かれていたのだ!

 

……重力の働きで集まったガス雲がどのような天体になるかという研究は「恒星進化」と呼ばれます。

(「進化」は生物学では生物種の変化を意味する用語ですが、天文学では恒星の一個体の変化を指していて、意味が違います。どちらかというと、ゲームや創作で生物(?)個体の形状や能力が変化する現象を指していう「進化」に近いので、ゲームや創作における「進化」の乱用を苦々しく感じているかたがおられたら、天文研究者もそういうことをしていますよとこの場で告げ口しておきます。)

 

『物理の4大定数 宇宙を支配する c、G、e、h』  小谷太郎 

 

 

まあ、stellar evolution(恒星進化)は、既に一般の辞書にも見出し語として記載されているし、もちろん、「よりよいもの、より複雑なものへと変化していくこと」という広義の意味も広く定着しているわけなのだが。 (^^;

 

 

 

 

それで思い出したのが、自民党がダーウィンの進化論に言及した、あの “お騒がせ事件” である。ちょっと覗いて見たところ、まだそのページは残っているようだ。(^^;

 

 

そこでは、憲法改正にこと寄せて、「ダーウィンの進化論ではこういわれておる。」と述べ、以下のように続けているのである。

 

最も強い者が生き残るのではなく

最も賢い者が生き延びるのでもない。

唯一生き残ることができるのは変化できる者である。

 

 

実は、これはダーウィンの言葉でもなく、また進化論の正しい理解でもないと早速炎上してしまったわけだが、これについて、日本人間行動進化学会(会長:長谷川真理子)は、「ダーウィンの進化論」に関して流布する言説についての声明を出している。

 

その声明では、

 

ダーウィン的進化とはランダムに生じた変異の中から、環境に適さないものが淘汰されていくプロセスです。

 

と簡潔に記した後に、「唯一生き残ることができるのは変化できる者である」といった言説について、

 

メギンソン(Leon C. Megginson)が自身の解釈として述べた文章が、あたかもダーウィンが主張したかのように誤って流布したもの

 

とされていることを紹介している。

◆ Six things Darwin never said – and one he did

 

 

このもとネタの英文は以下のようなものらしい。ほぼマンマである!

 

It is not the strongest of the species that survives, nor the most intelligent that survives. It is the one that is most adaptable to change.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ、進化論を説明する数多の解説書のなかに、誤解を招きかねない記述・アナロジーなどがあることも事実で、私自身誤解していたことも多く、お子ちゃまジジイとしてもけっこう複雑な思いがあるのだ。(^^;