さらば、親指シフトキー! | DVD放浪記

さらば、親指シフトキー!

トランクルームから引き上げてきたものの中には、つぶしそこねていた小さな段ボール箱の類もある。ポメラDM100梱包用のメタリックな黒い箱もそのひとつだ。

 

 

 


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以前は、ソフトケースに入れて突然の雨に濡れないようにと気を使っていたこのポメラも、今では裸のままトートバッグに突っ込むぞんざいさ。化粧箱ももう破棄処分することに決めた! で、念のために箱をあけてみたら、一枚のシートが残っていた。

 

 

 

 

 

 

「親指シフト キートップシール」なるもので、右下に「(C)2011 KING JIM Printed in China 23-①」と記されている。

 

 

 

 

 

 

 

「親指シフト」は、ワープロ専用機華やかりし頃に富士通が独自に打ち出した入力方式で、いわゆる「JISかな配列」とは異なる独自仕様のテキスト入力システムだった。いったん習熟すると正確・高速に入力が行え、ワープロ検定の合格者には毎回この「親指シフト」ユーザーが名を連ねたとも伝え聞いている。現に、ワープロ専用機からパソコン時代に突入しても、家電量販店では、PC用にわざわざ「親指シフト」専用のキーボードが販売されていた時期もあったのだ。しかしながら、その「親指シフト」キーも結局は「JISかな配列」キーが圧倒的多数を占めるマーケットを覆すには至らず、徐々に尻すぼみとなっていった。

◆ 親指シフトキーボードおよび関連商品の販売終了について

 

だが、「親指シフト」には、少数ながらも熱烈なユーザーがあり、関連製品が販売終了を迎えるたびに、何台も予備のスペアを購入するといったエピソードが作家や翻訳家のエッセイなどで明かされたものだった。そして、この「親指シフト」信奉者のために、「JISかな配列」キー上で「親指シフト」をエミュレートするさまざまな工夫が試みられてきたのだ。

 

私のポメラの箱に残っていた「親指シフト キートップシール」は、本体内部でソフト的に入力方式を切り替えたうえで、既存のキートップの文字を「親指シフト」方式に読み替えるためのシールである。ポメラは、どこまでもテキスト入力に特化したデバイスで、この「親指シフト」への目配りも欠かさなかったわけである。

 


 

私自身は、英文字の「QWERTY」キーでかな漢字変換を行っていたので、この「親指シフト」とは無縁のまま今日まできてしまい、特に思い入れがあるわけではない。でも、そうそう、このシールを見ると、その昔日本電気で試作された、いかにも斬新すぎる森田式キーボードのことを思い出してしまうのだなぁ……(^^;

森田式キーボード?