『秘密 ートップ・シークレットー』 | DVD放浪記

『秘密 ートップ・シークレットー』

科学警察研究所法医第九研究室ーーそこでは、死亡した犯人あるいは被害者の生前に見た脳の映像情報を基に、日本で唯一のMRI捜査を行っている。

 

MRI捜査とは、死後一定時間内に取り出された損傷のない脳をMRIスキャナーにかけ、生前と同じ状態に保ち、一定の電気刺激を与え脳を120%働かせることで、死亡した犯人あるいは被害者の生前に「見た」映像総てをスクリーンに映し出す技術(最大5年前まで)を活用した捜査方法のことである(音声は再生出来ていない)。

 

このMRI捜査の100パーセントに近い犯人検挙率は、人権擁護団体等の激しい反発のなか、事件性があると認められる死体の脳を一定期間MRI捜査のため保管するまでに行政を動かした。

 

現在8人いる捜査員のほとんどが国家公務員Ⅰ種試験上位合格者の東大・京大卒のエリートで占められ、そのトップに君臨するのが、背は低いが超イケメンの薪剛警視正である(画のイメージとしては、スーツに身をかためた女子高生といったところか)。彼は頭脳俊敏で、その優秀さはだれもが認めるものの、猛烈なパワハラ体質であり、また、過去に同僚を射殺するというトラウマを抱えた人物でもある。

 

 

 

 

とまあ、今さらあらためて紹介するのも気が引けるのだけれど、以上が、清水玲子『秘密 ートップ・シークレットー』と、続編『秘密 season 0』の物語の基本設定である。

 

子細にみていくと、かなり無理矢理な部分、危ういところもあって、突っ込みどころは満載ながら、作者はこの設定から、被害者、加害者、捜査官と彼らを取り巻く家族らのさまざまな人間ドラマを引き出すことに成功しており、とても少女マンガ誌に掲載された(まあ、BL的要素はお約束か(^^;)とは思えないほど骨太な作品となっている。

 

犯罪捜査ものなので、グロテスクな殺人の描写が頻出し、故人に秘められた情報が引き出されるのを阻止するために、その脳を完全に破砕するといった凄惨な場面も描かれているので、万人におすすめというわけにはいかないけれど、清水玲子はどこまでも端正な画力でそれらを描ききっている。

 

面白いのは、全体に重く陰鬱な事件を描いている作品なのに、随所にユーモラスな「コミック・リリーフ」でガス抜きが行われている点だろう。この扱いのスマートさは作者の持ち味で、全体に暗くなりがちなトーンを救っている。

 

このシリーズの続編も大いに期待したいのだけれど、その際は、作画とは別の意味で、有能なアシスタントの起用が望まれる。それなりに情報収集は行われているようだけれど、作り話とは承知のうえで、ディテールに詰めの甘さがみられ、サイエンス面での膨らませ方にも、もう少し慎重さがほしいと思うのは私だけではないように思うのだが……。

 

 

 

 

なぜ突然清水玲子『秘密』の話になったかというと、たまたま、白泉社がキンドル本販売価格の50パーセント相当のポイントを付与するキャンペーン(たぶん、03月04日まで)に加わっているのを見て、前者を再読し、その勢いで後者も今回読み切ってしまったからだ。

 

 

現在、キンドル版の『秘密 ートップ・シークレットー』の最初の2冊が無料配信されているが、これは03月10日までの期間限定で、その後は読めなくなってしまうらしい。興味があれば、試し読みのいい機会かもしれない。

 

 

 

 

 

 

と書いたのだけれど、この無料試読キャンペーンはもう終了してしまったのか……(^^;

 

 

 

 

以前は、『秘密 ートップ・シークレットー』の最初の3巻のキンドル版が期間限定のうえ108円で販売されていたこともある(私は2014年11月20日に3巻購入)のだが、販促キャンぺーンのやり方もいろいろ試行錯誤が重ねられているようだ。

 

 

 

 

 

 

ちなみに、今回のキャンペーンとは関係ないが、私は、木城ゆきと『銃夢』シリーズ(1)を2019年09月14日に、(2)(3)を同年09月30日に、そして、『銃夢 Last Order NEW EDITION』の(1)(2)(3)も、同年同日に期間限定の無料キャンペーンでダウンロードしている。これらは、キャンペーン終了後もちゃあんと消えないで読めているが、どちらも(4)以降は未購入のままで今日に至っている。 (^^;

アリータ:バトル・エンジェル

 

 

 

 

 

 

そうそう、『秘密』は映画化もされたんだけれどもね……。