今さら『ソフィーの世界』? | DVD放浪記

今さら『ソフィーの世界』?

朝目が覚めると、昨日のことがウソのように気分壮快……とはならなかった。 

 

一時止まったかにみえた鼻水が、しばらくするとタラタラ流れ出てくる。ただ、熱っぽさ、ダルさは薄らぎ、体温も36.3度と悪くはなさそう。昼にオリジンまで出かけてカレーうどんを食べてみたら、カレー味は確認できたけれど、においはいまいちな気がする。鼻づまりのせいであってほしいものだ。はるさん、今はそんな具合です。(^^; 

 

と、気を揉んでばかりいてもしょうがない。気分転換にキンドル洋書のセール情報をお届けしたい。先日「スッチー打ち明け話」本でミソをつけてしまった私としても、あのまま引き下がるわけにはいかないのだ。 (^^;

今時「スッチー」なんて死語では?

 

 

 

 

今となっては昔のことであるが、ひと頃『ソフィーの世界』なる本が話題となり、長くベストセラーとなったことがある。その『ソフィーの世界』の英訳版のキンドル本 Sophie's World: A Novel About the History of Philosophy (English Edition) が、現在130円で販売されている。【注:価格は2021年02月06日18:30時点のもの。以下同】

 

 

 

 

 

 

 

 

現在日本国内で流通している『新装版 ソフィーの世界』には、「日本の読者のみなさまへ」という著者のことばが寄せられているが、これは2011年4月4日付けとなっていて、この日付が持つ意味合いに説明は不要だろう(なお、この序文はアマゾンの商品ページにある「試し読み」から読むことができる)。

 

 

ちなみに、『ソフィーの世界』が日本ではじめて出版された1995年に著者は来日しているが、それは阪神・淡路大震災の半年後のことだったという。

 

『ソフィーの世界』はノルウェイで二十年前に出版されました。この本が五十か国以上に翻訳されるということを執筆中に知っていれば、東洋哲学についての章も含めていたのにとずっと思ってきました。たとえば、長い歴史を持つインドや中国の奥深い哲学、そして日本の禅仏教の背後にあるすばらしい思想などのことです。

 

著者はそれに続けてこう記している。

 

 さらに時が流れるにつれ、私は、この物語にもう少し倫理的、道徳的な哲学を盛り込めればよかったとも思うようになりました。ですから、新装版の出版を機に、こうしてささやかなまえがきを付け加える機会が与えられたことをとてもうれしく思います。

 

著者は、東日本大震災とそれに引き続いて起こった大きな災害に言及した後にこう語っている。

 

 あらゆる倫理観の根底にある重要な考え方は、黄金律、もしくは相互主義というものです。「人にしてほしいと思うことを他人にもせよ」ということです。しかし、この黄金律は今では横の人間関係、言いかえれば「私たち」と「ほかの人たち」だけに当てはまるものではありません。相互主義には、縦の人間関係にも当てはまるのだということに気づかなければなりません。すなわち、「自分の前の世代の人たちがしてくれたことを次の世代の人たちにもしなければならない」ということです。

 

「未来に生きる人たちも私たちの仲間です。私たちは、もし逆の立場だったらその人たちにしてほしかっただろうことを、次の世代の人たちにしなければなりません」とする著者は、多方面で劣悪化する地球環境の現況をふまえ、「私たちには、自分たちが幸運にも生きることができたこの地球の価値を貶めて次世代へ受け渡す権利などない」と訴え、それは、今回の20周年記念版に寄せた序文でも強調されている(これも商品ページにある「試し読み」で読むことができるが、当然ながら、「日本の読者のみなさまへ」はここにはなく、東洋哲学云々への言及もない!)。その冒頭で著者は以下のように述べている。

 

 From time to time I am asked a question. If I had written Sophie's World today, is there something important I would have added? Is there something I would have placed more emphasis on? The answer is resounding yes. If I were to write a philosophical novel today, I would have focussed a lot more on how we treat our planet.

 

 It is strange to look back after only twenty years and realise that Sophie's World doesn't really address this question -- until this aniversary edition. The reason may be that over the course of these twenty years we have gained an entirely new awareness of climate change and the importance of biological diversity.

 

 

第1パラグラフは仮定法の大特訓! resounding には「鳴り響く、響き渡る」とか「明白な、圧倒的な、決定的な」という意味があるけれど、ここでは後者。つまり、resounding  yes は「モチのロン」ということ。いや、これはさすがに古すぎるか。 (^^;

 

第2パラグラフの address は「宛先、演説」ではなく、「(問題など)に取り組む」という意味の動詞。

 

 

 

 

この Sophie's World の版元は英国の Weidenfeld & Nicolson(以下 W&N)という。海外の出版社のことなどよくは知らないけれど、以前に草思社から翻訳刊行されたサイエンス・マスターズ・シリーズの英国版を担当していた出版社だと思う。その昔、丸善日本橋店の洋書(の科学一般書)コーナーに置かれた W&N のハードカバー版は、ちゃちな製本のわりにやたら高かったことを思い出す(その後入荷したペーパーバック版もかなり高めだった)。米国版は Basic Books が担当していて、電子書籍版も、結局これら2社から並行して刊行されることになったようだ。

Science Masters Series?

 

国内の草思社版は、一部文庫化されてはいるものの、既に多くが入手しにくくなっている。あのとき買っておけばよかったと後悔している人のために朗報がある。そう、Basic Books がごくたまにキンドル本をセール価格で販売することがあるのだ。私はこれまでに6冊ほど揃えたけれど、これはかなりの長期戦である。まあ、私の場合は、英語学習用に拾っているだけなので、今すぐ読まなくては、という切実さには欠けているわけなのだが。(^^;

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうそう、エルンスト・マイアWhat Evolution Is も廉価で出ている。少しお高いけれど、進化論の分野に興味のある方はこちらもどうぞ!