The General Zapped An Angel | DVD放浪記

The General Zapped An Angel

 

その日、書店の棚に並んだペーパーバックの中に、The General Zapped An Angel という本があった。タイトルに興味を惹かれて手に取ると、ショッキングな表紙画に私は目を奪われた。

 

 

 

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天使が血の海に横たわっているのだと思い込んでしまったのだ。裏表紙を読めば、それはとんでもない誤解だと分かるのだが。その最初の刷り込みはあまりに強烈で、実は、今なお尾を引いている! (^^;

 

 

 

 

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この本には9つの短編が収められている。巻頭を飾る The General Zapped An Angel の舞台はベトナム(本書の初版は1969年に刊行された)。米軍によるベトコン兵士掃討が続く戦場のまっただ中である。

 

 

 

 

幼少期より小動物の虐待・殺傷に長け、12歳にして父親から銃を与えられたクレイボーン・マッケンジーは、周囲の予想どおり、長じて職業軍人としてのキャリアを突き進み、ベトナム戦争においては、ヘリ200機の機動部隊を名実ともに率いる指揮官となっていた。自らすべての作戦に出撃し、ベトコンが隠れ潜む村に対してひとたび彼が攻撃を行えば、村は跡形もなくなってしまうのだ!

 

そんな激しい戦闘が続くなか、海兵隊の野営地に20フィートもある "天使" が落ちてくる。信じがたいことだが、その姿形はまさしく "天使" のそれに他ならず、傷跡こそなかった(そのため、脳震盪状態ではと考える者もいた)ものの、諸般の状況からして、動く的を決して外すことのないマッケンジーが撃ち落としたに違いないと思われた。不本意ながら、彼も上官にその旨報告せざるを得なかった。

 

"天使" はひとまず基地内の格納庫に運び込まれたが、兵士のなかには敬虔なカトリックもいれば、熱烈なファンダメンタリストもいて、動揺は隠せない。

 

事件を聞きつけてきたキリスト教の各宗派、ユダヤ教など、聖職者の代表がこの出来事の意味するところを論じあうが、「遺体はバチカンに安置したい」「いやいや、これはエルサレムに属するもの」などと議論は紛糾するばかり。

 

いっぽう、"天使" を取り囲む群衆の輪から抜け出したマッケンジーも記者たちから質問責めにあう。そのとき、半トンはあろうかと思われる "天使" が身じろぎした……。

 

 

 

 

といった具合に、コミカルに展開していくわけだが、ベトナム戦争に対する痛烈な風刺を軽いファルスに仕立てあげた手腕はなかなかのものだと思う。

 

 

というところで、また休憩だ。 (^^;

◆ 翌日の株価がわかったら…