berserker の発音
綴りでは知っていても、過去一度もネイティブスピーカーの生の発音を耳にしたことのない英単語が(まあ、あったりまえの話だが)、私には山ほどある(電子辞書の発音機能については後述)。いわゆる重要英単語集などを使うときは、できるだけ音声付きのものにしているわけだけれど、そうした単語学習本に載っていない単語など世の中にはゴマンとある。たとえば、berserker なんて単語がその一例だ。
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話はすこし遡る。
アメリカのSF作家、フレッド・セイバーヘーゲンの作品に "狂戦士シリーズ" がある。
遙かな太古に銀河を二分するような大戦争が勃発し、そのなかで、生きとし生けるものを殲滅し尽くすようプログラムされた究極の殺戮兵器 "狂戦士" がつくりだされた。いわば、宇宙を自在に飛びまわるターミネーターだ。彼らは、その創造主たちが滅亡した後もなお、"善" なる "死" への奉仕を続け、ついに地球人を次の殺戮対象として襲いかかってきた……彼らは「バーサーカー」と呼ばれている。というのが物語の基本設定である。私が、北欧伝説に由来する「バーサーカー」という言葉を知ったのは、「SFマガジン」に訳出された、このシリーズの短編群を通じてのことだった。
現在公開中の映画「アリータ:バトル・エンジェル」の原作である、木城ゆきとが描くコミック『銃夢』でも、「狂戦士」(バーサーカー)がキーワードとして登場している。
『銃夢』第1巻「FIGHT_004 甦る狂戦士」のイドのせりふに「その体(ボディ)は「狂戦士」(バーサーカー)※の体なんだ」というくだりがあり、注には以下のような説明がある。
※「狂戦士」(BERSERKER) 北欧伝説の勇士。熊の毛皮をまとっていた事からその名で呼ばれ、彼と12人の息子は、戦いにのぞむと血に飢えた凶暴性を発揮したという。
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銃夢(1)
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berserker の意味のほうはそれでいいとして、辞書でその発音記号を見ると、米英の発音バリエーションが山ほど出ていて、ずいぶんと迷ってしまったものだった。とりあえず、「er」の繰り返しに「(ぁ)ー」を機械的にあてて、日本語訳どおり「バーサーカー」(アクセントは「サー」に置かれる)と覚えていた(電子辞書の発音機能でもそれに近く聞こえるが、これについては別項で)。ただし、辞書の発音記号のなかには、単語内の「s」に /z/ の音をあてるバリエーションがあり、そのことがずうっと気になっていた。
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だから、「アリータ:バトル・エンジェル」(字幕版)を映画館で観ていて、アレと思った。「バザーカ(ァ)」とか「バザーク」みたいな発音が聞こえたような気がしたのだ。それも2回もだ! 日本語字幕からすると、おそらくは、berserker とか言っていておかしくない場面である。これが例の「s」を /z/ と発音している例なのか、と一瞬霧が晴れたような気分になったものだが……浮かれてはいけない。なんせ、ジジイの私の耳だから、単なる幻聴だったかもしれない。(^^; これはやっぱり、映像ソフト化された際に何度か繰り返し聴いて確認しないといけないなぁ。 (^^;