格差婚? | DVD放浪記

格差婚?

いつぞや、人名の二重姓の話題に関連して marry down という英語表現について触れたことがある。格式が重んじられる社会での格差婚において男が格下の場合、二重姓によって、女は自身の家柄を誇示してプライドを維持でき、男は箔をつけることができる云々という説明の中に出てきたものだ。

 

イギリスのような階級社会とは思えないアメリカでも、この marry down が用いられる場合がありうることが、Urban Dictionary でも示されていた。ただ、それもこれも興味深くはあっても、たとえば今後観るドラマの中に見出すなど望み薄で、実用会話的な知識にはなり得ないと思っていた。

◆ double-barreled name と marry down

 

ところがである。(^-^)

 

最近観た「ダウントン・アビー」最後の第6シーズン第5話「激震」(11:57 あたり)で、一家の将来を担う長女メアリーが、「ヘンリーとは真剣な仲なの?」と義弟のブランソンから尋ねられて、こう本音をもらす場面があるのだ(警告! 以下は私の勝手な妄想リスニングである。残念ながらアマゾンの見放題では英語字幕が出ないのだ)。

激震 激震
 
Amazon

 

He's attractive, 'nd nice. And it's good to remember that I am youngish again. But that's all.

 

Youngish.(とブランソン苦笑)

 

I don't mean to sound snobbish, but I won't marry down.

 

いやあ、そのものズバリだ! 日本語字幕には「自分より地位が低い人とは結婚できない」が当てられていた。貴族社会の衰退を時代背景としたドラマならではのセリフだろう。次は、アメリカの現代社会で使われる例に早くお目にかかりたいものである。 (^^;

 

 

marry down というのなら、ではその反対に、marry up もあるのか、そして実際に会話で使われているところを私が耳にすることはあるのだろうか、とぼんやりと思ったものだが、どちらもありということが先ごろわかった。もちろん、Urban Dictionary でも取り上げられている

 

お世話になっている歯科医のY先生ご推薦で最近観始めた「CSI:科学捜査」の第1シーズン第6エピソード「犯罪の真実」のなかで、しきりに復縁を迫る元夫が、捜査官のキャサリンにこう話しかける場面(25:44 あたり)があった。

犯罪の真実 犯罪の真実
 
Amazon

 

When I married you, I married up. I know that.

 

日本語字幕では「知ってるよ 俺には過ぎた妻だった」と処理されていた。なるほどね。 (^^;

 

 

階級社会において marry down するのは女性だけなのか、男性貴族がメイドとか家庭教師とかと結婚(おお、森薫の世界!)する場合にも marry down という表現が使われるのかどうかはよくわからない。

 

ただ、一般ピープルの世界における貧富(とか美醜?)の格差婚なら、marry down / marry up は男女どちらの方向でも使えそうだがどうなんだろう。 (^^;

 

ちなみに、「玉の輿に乗る」に相当するものとして和英辞典では marry into the purple を挙げる向きもあるようだが、なんか古めかしさが感じられるのは私の思い過ごしだろうか。もちろん、「玉の輿に乗る」という日本語自体も古めではあるわけだが、今時の英語ではもう少し別の表現がありそうな気がしている。

今に乗るわ玉の輿