アメリカの壁 | DVD放浪記

アメリカの壁

水曜日は新宿から戻ってくる途中のターミナル駅で、前勤務先のマダムMから声をかけられる。最近このパターン多いなあ。で、近くのドトールであれこれ話をする。例によってその内容はここには書けない。
 
 
木曜日は朝から新宿へ出かけて泥縄勉強、というか無駄な抵抗というべきか。実は英国から注文していた洋書4冊が届いていたのだけれど、とりあえずそちらは放置。ところが、肝心なお勉強は空回りするばかりでさっぱり先へ進めないでいる。 (^^; そんなとき、同時期に会社を辞めたN君から声をかけられる。ここで会うのは2度目になるが、彼は堅実に事を進めている模様。こちらももう少しまじめにやらないといけないと反省。昼あたりから雪が降り始め、副都心の高層ビルの壁面ガラスから見渡す景色は、夕刻近くには、白濁した霧の海に飲み込まれてしまった。
 
 
金曜日。クレジットカードの引き落とし額を見て愕然。駆け込み支出が多かったとはいえ、深く反省する。しかも、お勉強はさっぱり進まない。その一方で、『空母いぶき』は緊迫度を高め、『図書館の主』は最終エピソードがいよいよ大詰めに近づき、二週間後に連載は最終回を迎える。そして、ぼんやりキンドルストアを眺めていたら、小松左京の短編が100円で出ていたので購入。これは、彼の短編5本を収録した短編集『アメリカの壁』から表題作のみを切り出したものだ。トランプ大統領は異国の出版社の売り上げアップにも貢献してくれているわけだ。
 
本日土曜日、昨日ダウンロードした小松の「アメリカの壁」を読む。これは、世界へのコミットを止めて孤立化の道を選んだアメリカ合衆国が、不可解な霧の壁の中に閉じこもってしまうというお話。一昨日の、白濁した霧の海にすっぽり包まれてしまった高層ビルを思い出してしまった。
 
妙にタイムリーな物語だが、初出は昭和52年(1977年)7月号の「SFマガジン」で、翌年文藝春秋社から単行本に収録・刊行されたものが、この2017年2月10日に電子本としてふたたび脚光を浴びたわけだ。もちろん、何物も物理的に透過不能な霧の壁についてはSF的な説明が施されているのだけれど、半世紀ちかく経ってから、現実に文字どおりの壁を築こうと唱える大統領が登場してしまうという身も蓋もない展開には、小松左京もあの世で驚いているにちがいない。正直なところ、今となっては、SF的ギミックがアホみたいに見えてしまうのだが……。
 
うーん、なんかちょっとだけやる気が戻ってきたかも。 (^^;