原点は「候補者ビル・マッケイ」
大統領の陰謀 スペシャル・エディション [DVD]/ダスティン・ホフマン,ロバート・レッドフォード,ジェイソン・ロバーズ

¥3,980
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「大統領の陰謀」(1976年)の話に戻る。
◆「大統領の陰謀」
最近廉価版がリリースされたワーナーのスペシャル・エディション(2枚組み)には、ボブ・ウッドワードやカール・バーンスタイン、そして主幹のベン・ブラッドリーら、映画で描かれた人物その人が語る映像特典に加えて、ロバート・レッドフォードの音声解説も収録されている。
主演俳優の音声解説というと期待はずれに終わるものが多い中、これは大変面白かった。というのも、レッドフォードは単にこの映画に主演しただけでなく、この映画の製作、いや企画誕生からかかわっているからである。
※ ※ ※
レッドフォードが主演した映画のひとつに「候補者ビル・マッケイ」(1972年)がある。これは、上院議員選挙を舞台に、理想に燃えた若き候補者が熾烈な選挙戦を通じて、次第に政治の現実に埋没していく姿を描いた佳作で、1972年のアカデミー脚本賞を受賞している。
この映画の製作中、レッドフォードは、実際に大統領戦候補が利用する列車に同乗し、芸能関係記者だけでなく、政治担当記者とも話を交わす機会があった。
レッドフォードは、ウォーターゲート事件の発端から興味を持ち、新聞でその進展を追いかけていたので、その行方について政治記者たちに尋ねたところ、いずれこの事件は立ち消えになるだろうという見方を彼らが示すので驚いたという。記者たちが挙げた理由は以下の3つだった。
1:盗聴は多かれ少なかれどちらの陣営でもやっていること。
2:ニクソンが再選を果たすのは確実で、その彼を敵にまわすのは損。
3:調査報道は金がかかり、主幹・経営陣からの強力な支援が必要。
次第にレッドフォードの関心は、この事件の報道に携わる記者に向けられるようになり、ついに直接コンタクトするまでになった。ウッドワードは、事件の全貌を当事者側の視点からまとめるつもりだったようだが、レッドフォードは逆に、取材側の視点から、徐々に事件が解明されていく構成を進言したという。そうしたレッドフォードの熱意が通じ、映画化権は彼のものとなったのだ。
※ ※ ※
すべては「候補者ビル・マッケイ」から始まったわけだが、最近、この映画の続編企画の話が持ち上がっているらしい。これにはレッドフォードも乗り気らしい。実現すれば、「ハスラー」(1961年)、「ハスラー2」(1986年)以上の年数を経ての続編ということになる。これはぜひ観てみたいものだ。
候補者ビル・マッケイ [DVD]/ロバート・レッドフォード,ピーター・ボイル

¥2,625
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レッドフォードが主演した映画のひとつに「候補者ビル・マッケイ」(1972年)がある。これは、上院議員選挙を舞台に、理想に燃えた若き候補者が熾烈な選挙戦を通じて、次第に政治の現実に埋没していく姿を描いた佳作で、1972年のアカデミー脚本賞を受賞している。
この映画の製作中、レッドフォードは、実際に大統領戦候補が利用する列車に同乗し、芸能関係記者だけでなく、政治担当記者とも話を交わす機会があった。
レッドフォードは、ウォーターゲート事件の発端から興味を持ち、新聞でその進展を追いかけていたので、その行方について政治記者たちに尋ねたところ、いずれこの事件は立ち消えになるだろうという見方を彼らが示すので驚いたという。記者たちが挙げた理由は以下の3つだった。
1:盗聴は多かれ少なかれどちらの陣営でもやっていること。
2:ニクソンが再選を果たすのは確実で、その彼を敵にまわすのは損。
3:調査報道は金がかかり、主幹・経営陣からの強力な支援が必要。
次第にレッドフォードの関心は、この事件の報道に携わる記者に向けられるようになり、ついに直接コンタクトするまでになった。ウッドワードは、事件の全貌を当事者側の視点からまとめるつもりだったようだが、レッドフォードは逆に、取材側の視点から、徐々に事件が解明されていく構成を進言したという。そうしたレッドフォードの熱意が通じ、映画化権は彼のものとなったのだ。
すべては「候補者ビル・マッケイ」から始まったわけだが、最近、この映画の続編企画の話が持ち上がっているらしい。これにはレッドフォードも乗り気らしい。実現すれば、「ハスラー」(1961年)、「ハスラー2」(1986年)以上の年数を経ての続編ということになる。これはぜひ観てみたいものだ。
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