わたしたちの教科書 第7回
前半終了でひと区切り。
珠子は、戸坂の助けを借りて、前担任三澤教諭とのコンタクトに成功する。三澤はやはり明日香の置かれた状況を本来の日報には記していたことが明らかとなる。だが、雨木副校長からは待ての指示が続くばかり。やはり副校長が皆に見せた三澤の日報は改ざんされたものだったようだ。その三澤は、剣道部の兼良がいじめの首謀者ではと示唆する。彼が、明日香のものと思われる教科書や人形を焼いていた現場を目撃したからだ。
さらに明日香が持っていた質券の発行された店を訪ねた珠子は、新学期早々、明日香が質屋を訪れ、父親の時計をかたに1万円を借り出していたことを知る。おそらく新学期早々、教科書をダメにされ、その購入資金を工面するための彼女なりの知恵だったのだろうと推測される。
明日香の自殺に至るシナリオ【のひとつ】が提示され、珠子は断固訴訟に踏み切る覚悟を決める。第二部は法廷でのやり取りが見られるようだ。
しかし、行く手はなお険しく、謎も山積だ。
戸坂は見かけほどのダメ教師というわけではなく、それなりに気骨のあるところを見せるし、トンデモ教師風三澤も、明日香のことを気にかけていたことは事実だ。だが、いざというとき、彼らがどれだけ頼りになるか疑わしい。復職の機会が目の前にぶら下がれば、戸坂の態度が豹変しても不思議ではない。三澤が証言台に立っても、反対尋問に晒されればしどろもどろになるだろうし、雨木に恨みを持つ者としてその証言の価値は大きく減じられるだろう。いや、そもそも本当に証言台に立てるのかも疑わしい。
また、珠子のかつての婚約者で、いまや学校側の弁護人として立つ瀬里が、雨木副校長にすべての秘密を明かすよう促した後、「この裁判は勝てる」と確信したのなら、彼は決定的な鍵を握っているはずだ。それは何か?
珠子の描いたシナリオは、個々の材料をうまくつないでいるように思われる。だが、それらは実はもっと違った形でつながっているのかもしれない。
兼良は何のために【誰の】教科書や人形を燃やしていたのか。朋美が、珠子に語ろうとしていたことは何だったのか。
雨木副校長の現在の行動は、単に学校の対面を保つことだけが目的なのだろうか。塀の中にいる息子との現在の状況は、今回の明日香の事件における彼女の行動を決定づける要因となっているのではないのか。
次回が始まる前に、結末に向けてのヘボ予想を立ててみようかと思う今日この頃である。