バトルスター ギャラクティカ-サイロンの攻撃- | DVD放浪記

バトルスター ギャラクティカ-サイロンの攻撃-

さて、「バトルスター ギャラクティカ」は、1970年代の末に製作されたTVドラマ「宇宙空母ギャラクティカ」のリメイク版である。正直言って、今さらリメイクなんてという思いが強かったのだが、オリジナル版のシリーズをDVDのBOXセットで観てしまった行きがかり上、もう一度つきあってみることにした。
http://youtu.be/q2x14ZhEc9k

http://www.imdb.com/video/screenplay/vi1220083993/
http://ameblo.jp/prisoner-number-six/entry-10877453834.html

ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
バトルスター ギャラクティカ-サイロンの攻撃-

人類と機械人間サイロンとの戦いが終結してから数十年が経過していた。その間にサイロンは、いかにもロボット然とした存在から格段の進化を遂げ、外見からは人間とまったく区別がつかないモデルを生み出すまでに至っていた。

12のコロニーに展開する人類の防衛網の中核となるネットワーク・システムの構築にかかわった科学者バルターを取り込み、その防衛システムを無力化する方法を手中に収めていたサイロンは、満を持して人類に対して総攻撃を開始する。

その日、宇宙空母ギャラクティカでは、かつてサイロンとの戦いで数々の武勲をたてたアダマ艦長の退役セレモニーが行われようとしていた。ギャラクティカはすでに旧式の部類に入る巨大空母で、艦載機も古いモデルが多数を占める。また、新型艦船とは異なり、ネットワークへの依存を極力避けるシステムが採用されていた。皮肉なことにそれが幸いし、ギャラクティカただ1隻だけがサイロンの奇襲攻撃を最小限のダメージで切り抜けることに成功する。


だが、すでにすべてのコロニーがサイロンの手に落ち、人類の敗北は明白だった。かろうじて難を逃れさまざまな宇宙船に分乗している5万の人々の命運が尽きるのも時間の問題である。アダマ艦長は最後の司令官として、彼らを伝説の惑星”地球”へと導く決意を表明するのだった。


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全体にオリジナル版の物語をほぼ踏襲し、それを現代風にアレンジしたこの作品は、TVシリーズのパイロット版にあたる。180分という長尺でなかなか気合を入れて作っていると言っていいだろう。

前作との違いで大きいのは、空母内での女性の姿が目立っていることだ。このあたりは、「スターシップ・トゥルーパーズ」(1997年)の影響が大きいのかもしれない。また、空母内の作業員の動きのディテールもよく描き込まれている。


そして、良くも悪くも軽目のノリだったオリジナル版に比べ、一種ドキュメンタリータッチのカメラワークと俳優らの抑制された演技のおかげで、ドラマに重みを増している(戦闘中のスターバックのはじけぶりはキャラだからいたしかたあるまい)。なかでも、アダマ艦長役のエドワード・ジェームズ・オルモスには存在感があって、番組全体を引き締めている。

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音楽にも興味深い点があった。オリジナル版の有名なテーマ曲はセレモニー場面にわずかに登場するだけでちょっと残念なのだが、その代わりに、宇宙空間では和太鼓のような音を出す楽器が導入され、これが意外に効果をあげていた。ティンパニーなんかでこんな音を出せるんだろうか? 個人的には、やはり日本の和太鼓が使われていると思いたいのだが。

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もっとも、突っ込みどころというか、疑問な点も多々ある。

オリジナル版同様にギャラクティカの艦載機(バイパー)が現代の戦闘機のように、両翼と水平尾翼を持っているのだが、あの用途は何なのだろう? 惑星の大気中で飛ぶため? だったら、惑星からの脱出速度を得るための燃料を確保していないと、不時着時にしか利用の機会はないだろう。それとも、大気圏外から成層圏上空へ降り、また大気圏外へという戦闘空域を想定しているのだろうか?


ただ、オリジナル版では宇宙空間でも大気圏内のジェット機のように動いていたバイパー機が、リメイク版では姿勢制御用の複数の小さなジェットを噴かしてみせるところもあり、さすがに芸が細かくなっている。


また、サイロン(ばかりではないのだ)が大気圏外から発射されたと思われるミサイルが、魚雷の航跡のようなものを残して飛来してくる場面があるのだが、あれはいったい何だろう? いわゆる飛行機雲は大気圏内でなければできないわけだが、ミサイルはロケット推進としても、宇宙空間ではあっという間に拡散してしまわないのだろうか? モクモクと煙を出して突進する様は蒸気機関車さながらだ。これがこの時代のミサイルの特徴なんだろうか。案外日本のアニメの影響だったりして。 (^^; 


まあ、「着弾まであとX秒」とだけアナウンスして緊迫感を出す手も使い古されていて、あまりそれを繰り返すわけにもいかないのだろう。煙モクモクもミサイルが船体に迫り来るところをベタにビジュアルで見せるための演出として許される範囲というべきか。

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全体に重苦しい雰囲気に包まれていて(シリーズ本編に入ればいっそう気が滅入るかも)、それをポスト9/11のアメリカの反映とみる人もいるだろう(オリジナル版の時は、真珠湾攻撃の焼き直しとも言われた)が、そのあたりはお好きに詮索していただくことにして、ここではとりあえず、リメイク版は頑張ったと言っておきたい。

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バトルスター ギャラクティカ サイロンの攻撃

Battlestar Galactica

2003年 カラー 182分

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◆スタッフ
監督:マイケル・ライマー
製作総指揮:デイヴィッド・エイック/ロナルド・D・ムーア
脚本:ロナルド・D・ムーア/クリストファー・エリック・ジェームズ
原案:グレン・A・ラーソン

製作:ハーヴェイ・フランド

撮影:ジョエル・ランサム
音楽:リチャード・ギブス


◆キャスト
アダマ艦長:エドワード・ジェームズ・オルモス
ローラ・ロズリン(大統領):メアリー・マクドネル
カーラ(スターバック):ケイティー・サッコフ

リー・アダマ(アポロ大尉):ジェイミー・バンバー
バルター:ジェームズ・キャリス
ナンバー6:トリシア・ヘルファー
シャロン(ブーマー):グレイス・バーク
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