三十四丁目カラライズドの奇蹟 | DVD放浪記

三十四丁目カラライズドの奇蹟

三十四丁目の奇蹟 スペシャル・カラー・バージョン [DVD]/モーリン・オハラ,ジョン・ペイン,エドマンド・グウェン

¥1,890
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◆「三十四丁目の奇蹟」予告編


「三十四丁目の奇蹟」のカラー版を観た。オリジナルは1947年度のモノクロ作品で、アカデミー助演男優賞(エドマンド・グウェン)、オリジナル・ストーリー賞、脚本賞を受賞した作品である。
 


ニューヨークにあるメイシー百貨店に勤務するドリス(モーリン・オハラ)は、毎年恒例の感謝祭のパレードに欠かせないサンタクロース役に、いかにもそれらしい風貌の老人クリス・クリングル(エドマンド・グウェン)を抜擢する。

彼はサンタ役を難なくこなすだけでなく、およそありとあらゆる商品に精通しているらしく、プレゼントに迷う人々にとってベストと思われる品であれば、メイシー百貨店では取り扱っていないものでも勧め、どこの店で安く購入できるかまで指南するのだった。このサンタの顧客本位の応対はたちまち人気を呼び、メイシー百貨店は千客万来の賑わいをみせる。

ドリス自身はきわめて現実的な考えの持ち主で、ひとり娘のスーザン(子役時代のナタリー・ウッド!)にも、サンタは架空の存在であると教え込んでいたが、クリングルは自分が本物のサンタであると言い張り、スーザンは次第に彼を本物のサンタと信じ始める。一方、サンタを自称するクリングルに手を焼いていた百貨店所属の心理テスト担当者は、なんとか彼を病院送りにしようと狙っていたが、テストの結果は文句のつけようがなく、彼にはどうすることもできなかった。

ある日のこと、その心理テスト担当者が精神分析医気取りで、まだ年若いクリングルのアシスタントを不安に陥れていることを知って激高したクリングルは、思い余って彼の額を傘の柄で強打してしまう。

これが発端となって、クリングルは病院に強制収容されてしまう危機を迎える。この窮地を脱するには自身が法廷に立つしかなかった。クリングルの弁護を引き受けたのは、ドリスのアパートの向かいに住み、以前から彼女に惹かれていた弁護士のフレッドである。

クリングルが妄想狂でなく正常な人間だとすれば、彼はサンタクロースでなければならない。いったいそんなことが証明できるのか。そして、クリングルがサンタだとしたら、彼は、スーザンが欲しいと願う家をクリスマスの日にプレゼントできるのか、そして、さめた現実主義者であるドリスと、クリングルの存在が象徴する価値を尊ぶフレッドとが結ばれる日は来るのか……
 


実は、プロット上(私としては)無視できない穴があって、後半の裁判の部分で盛り上がりに欠けるところがあるのだが、それでも、これが、サンタクロースを扱った映画の中でも最も愛すべき作品のひとつであることに間違いはない思う。
 

 

※ ※ ※

 


以前にも書いたことだが(http://ameblo.jp/prisoner-number-six/entry-10021895742.html)、私は、過去のモノクロ作品を安易にカラー化すべきではないと考えており、しかも、すでにモノクロ・バージョンもこのスタジオ・クラシック・シリーズで購入していたので、正直言って、何を今さらという思いが強かった。 だが、34万ドルを費やして当時の車のナンバープレートの色まで再現したという話を読んで、だまされたと思って購入して観てみたのだ。

驚いた。

単にコンピュータで色を乗せてみましたというレベルとは完全に次元の違う出来ばえといっていいだろう。当時の街並みを知るわけでもないのにいいかげんなコメントだが、それだけ自然に見えるということなのだ。1994年に作られたリメイク版が、リチャード・アッテンボローの出演をもってしてもいまいちの出来なので、このカラー版の登場によって、オリジナル作品に再び目が向けられる機会が増えてくるのかもしれない。
 

 


先にも触れたけれど、スタジオ・クラシック・シリーズ中には、二種類の「三十四丁目の奇跡」が存在している。もし、現時点でDVDの購入を考えているなら、間違ってもモノクロ版オンリーのパッケージを買ってはいけない。

なぜなら、今回リリースされたカラー版のパッケージには、ちゃんとオリジナルのモノクロ版も収録されているからである。しかも、クラシック映画ファンには嬉しい以下の映像が収録されているのだ。

●ムービートーン・ニュース:アカデミー賞授賞式(1947)
●プロモーショナル・ショート「三十四丁目の奇蹟」予告編会議
●ポスター・ギャラリー

授賞式の模様には、助演男優賞を受賞したエドマンド・グウェンばかりでなく、同年に作品賞を受賞した「紳士協定」の製作者、ダリル・F・ザナックや、同作品で助演女優賞を獲得したセレステ・ホルムの感謝のことばが収められている。

また、映画プロモーション用の「三十四丁目の奇蹟」の予告編会議も、レックス・ハリスンやアン・バクスターが登場するなど、なかなか凝った作りで楽しめる。

ちなみに、この映画の中で、小心者の判事を演じたジーン・ロックハート(Gene Lockhart)の娘がジューン・ロックハート(June Lockhart)。映画「名犬ラッシー/ラッシーの息子」(1945年)でピーター・ローフォードと共演し、後にテレビ版の「ラッシー」(1954年)、そして、「宇宙家族ロビンソン」(1965年)で母親役を演じた女優である。
 

 

三十四丁目の奇蹟(字幕版)

 


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三十四丁目の奇蹟
The Miracle on the 34th Street

1947年 モノクロ 96分
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◆スタッフ
監督:ジョージ・シートン
製作:ウィリアム・パールバーグ
脚本:ジョージ・シートン
原作:ヴァレンタイン・デイヴィス
撮影:チャールズ・クラーク/ロイド・エイハーン
音楽:アルフレッド・ニューマン

◆キャスト
クリス・クリングル:エドマンド・グウェン
ドリス:モーリン・オハラ
フレッド:ジョン・ペイン
スーザン:ナタリー・ウッド
判事:ジーン・ロックハート
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