CINEMASCOPE
先週の土曜日に届いていた、20世紀フォックスからの少し厚めの封書の中身をあらためてみる。
これは、20世紀フォックス(ホーム エンターテイメント ジャパン)のスタジオ・クラシック・プレミアム・クラブ会員向けのもので、40年代、50年代を中心としたクラシック映画の新規リリース情報や、期間限定のマイレージ・キャンペーンの案内など、お決まりのパンフレット類に混じって、「CINEMASCOPE」という名前のリトルマガジンが入っていた。
この冊子は短冊形の簡素なつくりで、表紙等も含めて裏表12ページという、本当に「リトル」な仕様だが、内容は意外に健闘していて、ほどよくマニアックな記事は楽しく読むことができた。タイトルの「CINEMASCOPE」は、もちろん、フォックスが導入した大型画面撮影・映写方式の名称である。その記念すべき第1作は、1953年の「聖衣」だったというが、実は、エリア・カザン監督から「波止場」の企画も出されていたのだが、地味な内容で、シネマスコープにはなじまないだろうと、名物社長ダリル・F・ザナックはこれを蹴ってしまったというエピソードもコラム記事の中で紹介されている。
メイン記事は、この8月に発売されるクラシック映画の中の1本「遥かなるアルゼンチン」(1940年)で、ベティ・グレイブル、シャーロット・グリーンウッドらの解説に熱が入っているが、個人的には、ちゃんとカルメン・ミランダにも言及されていたことが非常に嬉しかった。彼女は、ロングマン社の Dictionary of English Language and Culture にも写真入で紹介されている、知る人ぞ知る歌手なのだ。などと言いながら、実は、私も、パトリック・マッグーハンが製作・主演したTVドラマシリーズ「プリズナー No.6」とのからみで彼女の名前を初めて知ったので、大きなことは言えない。どういうからみかについては、機会をあらためて書いてみたいが、要は、彼女の歌の一部が番組の最終回に用いられていたのだ。
それはともかく、この小さいながらもなかなか読み応えのある「CINEMASCOPE」には、これからも頑張ってもらいたいものだ。