「交戦の条件」 | DVD放浪記

「交戦の条件」

「英雄の条件」は、全体を作品としてみた場合、物足りない部分も多いのだが、それでも個々には興味深い点がいくつもあった。以下は自分のためのメモ。

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント `
英雄の条件

大使一家をヘリに乗せ(だが、まだ離陸させないままにして)、チルダース大佐は大使館の屋上に上がる。すでに隣接する建物の屋上にいる狙撃者からの発砲が始まっており、きわめて危険な状況下にあって、彼は部下とともに、大使館の上に翻るアメリカ国旗をポールから降ろし、それを大使に託したうえで、ようやくヘリを離陸させるのだった。

他の箇所でも、兵士らが国旗に向かって敬意をはらう場面が出てくる。もちろん、軍隊ものにはお約束のシーンである。

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映画の中で、トミー・リー・ジョーンズ演じる大佐が退役する際、刀剣をプレゼントされる。その由来は簡単に説明はされるのだが、最初観たときはどうもピンとこなかったものだ。この点については、「トリポリ魂」の冒頭部分を見たとき、やっと納得がいった。


20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
トリポリ魂-海兵隊よ永遠なれ-

この「トリポリ魂」には、モーリン・オハラとジョン・ペインに加え、ランドルフ・スコットも鬼教官役として登場している(ちなみに、モーリン・オハラとジョン・ペインは、「三十四丁目の奇蹟」でもコンビを組んでいる)。

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一般に法廷内で裁判長が弁護士、検事に呼びかける際は、lawyer ではなく、counselor と呼ぶが、こうした軍隊の中の裁判でも、同じ呼称が用いられているようだ。これは間違いと分かるのだが、もう少しデータを集めてから項を改めて記したい】

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この映画の原題 Rules of Engagement は、「交戦のルール」、「交戦規定」という意味になる。「交戦規定」に従ったか否かが、英雄と犯罪者の分かれ目となるわけで、邦題の「英雄の条件」は、まずまず作品の内容を表したうまいタイトルだと思う。

この規定に挙げられたすべての条件を満たさなければ発砲が許されないとすれば、銃弾が飛び交う「現場」にある兵士が窮地に立つことは容易に想像できる。映画ではそのあたりのジレンマを描いたつもりなのだろうが、結果的にはアメリカ的ご都合主義の印象だけが強く残る後味の悪い作品になってしまったような気がする。

engagement は名詞だが、動詞 engage も「交戦する」という意味で用いられるし、この反対語もあるようだ。この映画をもう一度観てみようと思い立ったのは、某ファミリー向け映画のなかに、この反対語が登場していたからである。