いつもドヤしてばかりの刑務官ですが、たまには心にぐっとくることを言う人もいました。
僕が出所する数日前、
「なーーんにもないことが、一番幸せなんだ。でも何もないことを維持するのは案外難しい」
悪いことをすることもそう、家族や友人、大切な人がいつまでも健康でいればいいけど、生きていればいろんなことが起きる、と。
別に、ごく普通で当たり前のことですが、そのことにまったく気づかず、いつのまにか大切なことから目を背けたり、また道を外れたりすることはきっと誰にでもあるのだろうと思います。
私は少し真面目すぎるところがあると自負しています。
それが故に、気を使いすぎて、あたふたしたり、考えすぎたり。
でもいつも、自分に言い聞かせているのは、
今に満足することと、「これでいいのだ」と、バカボンのパパのように、こころのなかで唱えるようになりました。
そんなことを繰り返していたら、「まっ、いっか」と思えるようにもなり、とても楽になりました。
コンビニの店員さんが全然レジに来なくても、ファストフード店でコーヒーとコーラを間違えられても、はたまた相手の言っていることが全然理解できなくても。
というのも、数年間の刑務所の生活では、一応暗黙の了解、というかもしかしたら人として当たり前のことだったのかもしれませんが、基本的には自分の話はNGでした。
きかれれば答えていましたが、自分の自慢話をするひとや、すぐ怒る人はかなり嫌われていました。
シャバ(刑務所の外)だったら嫌いな奴は、もう会わなければいいし、連絡先も消して縁を切ってしまえば良い。ですが刑務所は自分が出所するまで嫌でも一緒にいなければならないので、そこは我ながらかなり気を使いました。
なので、みんなで話す内容といえば、昨日の晩飯の話や、アイドルの話、芸能人のスキャンダル。出所したら最初に食べたいもの。
そんなことを毎日繰り返してるうちに、自分を客観的に見るようになりました。本当、ただ真面目なこと書いてる自分がたまにアホらしくなるほどです…
でもそれこそ、本当の自分を知ることに至ったと思います。
私は今まで、両親に誕生日プレゼントだとか一切あげたことがありませんでした。
ですが先日たまたま買えたマスクを遠くに住む両親に送りました。
いつまでも元気でいてほしいと、心から…