※ネタバレしています。
カジノロワイヤルでは
好きなセリフやシーンがたくさん。
その中で、このセリフは最後の最後で
ヴェスパーについて、とてもよくわかるし
Mはやはりすごいなって思った部分。
まずモンテネグロのカジノへ行く前。
ボンドはバハマでディミトリアスと対峙し、マイアミの空港爆破を防ぐ。
しかしながらディミトリアスの妻が犠牲になってしまった(組織に問い詰められて殺されていた)。
Mはそこでボンドの未熟さを指摘。(Quite the body count you're stacking up. あなたの周りには死体だらけ)
でも、あなたはうちで1番のポーカープレイヤーだから、とル・シッフルとの対決ミッションを提案。
(叱った後さりげなくフォローするM)
ボンドも了承するが、その際、
James Bond: You knew I wouldn't let this drop, didn't you?
M: Well, I knew you were you.
ボンド: 僕が(このミッションを)断らないと知っていましたね?
M: あなたのことはわかっているつもりよ。
上司である以上にボンドを理解している…!なんて思いました。
ボンドもこのとき、少し微笑む。
これは、わかってるな?って微笑みかな。
モンテネグロのホテルスプレンディドでは
ボンドにアストンマーチンを用意していたし。
Mはいつもぬかりない。
カジノロワイヤル。
カードでの対決、そして勝利。
その後、ル・シッフルからの襲撃と拷問。
ヴェスパーと束の間の合間に愛を確かめあえたのに
悲しい裏切りと破局、
そして訪れるヴェスパーの死。
ボンドの繊細な心はここで閉ざされてしまう。
the bitch is dead.
裏切り女は死んだと言い放つ。
ボンドは裏切られた悔しさ、そして最後ヴェスパーを守れなかった自分が許せない。
助けを拒まれたこと、そしてそれを止められなかった自分。
だから
ヴェスパーが心の鎧を取り去ったのに
さらに堅固な鎧を纏ってしまうの。
Mと最後にボンドがヴェスパーについて電話で話すシーン。
僕があとから調べるだろう、と彼女は携帯を置いていたと告げると
Mは
She knew you were you.
ヴェスパーはあなたのことわかっていたのね。
(字幕では、「賢い女ね」もしくは「頭のいい女ね」といった訳)
バハマでMが言ったセリフに被せてある。
呼応するセリフ。
それだけ、Mと同じくらい、ヴェスパーはボンドのことを理解していたのかな、と
思えたセリフでした。
Mはヴェスパーがボンドを救うために取引をしたのはあきらか、と説明をするけども、ボンドの心にはこの時響かない。
脚本がよくできてた、とダニエル・クレイグもたくさんのインタビューで言っていたけれど、
セリフひとつひとつも厳選された、
それぞれの役柄のための言葉たち。
ボンドはヴェスパーの携帯から、
ミスター・ホワイトにたどり着く。
そして、裏切ったヴェスパーのために復讐を誓う。
誰も信用せず、強くそして時に非情。
ミッションに生きるエージェントが誕生する瞬間。
繊細で傷つきやすい心を
銃と鍛えた体で武装したボンド。
感情の機微をきめ細かな演技で表現してくれた
ダニエル・クレイグ。
彼のボンドには、大好きなシーンやセリフが
たくさんある。
毎度彼のボンド作品を見返すたびに、
いろんな発見があって、
007って歴史と奥が深すぎる〜!