AirMagnet を用いた無線LAN調査・改善 | サイバーエージェント 公式エンジニアブログ
みなさん、はじめまして。
インターネット広告事業本部のCAMP(CyberAgent Marketing Platform)システムGでインフラを担当しているIshikawaと申します。

今回はAirMagnet Survey Proを使用した無線LAN調査・改善について書かせていただきます。

■無線LAN調査を始めた背景
無線LANに関して、不定期に寄せられる、社員からの「接続できない」や「速度が遅い」といった問い合わせについて、純粋に設定の問題か、システム的、潜在的な問題があるかを明確化するため、自社(自分たち)で無線LANの電波状態を調査できるようにしておきたい。

■AIrMagnet Survey Pro とは
802.11a/b/g/n無線LAN環境を調査し無線LANの構築、設定をサポートするツール。
電波に関する情報を収集し信号強度や干渉状況をレポートに出力する。その結果をヒトが分析しアクセスポイント(以下AP)のチャンネルや強度の設定、野良APの排除を行い無線LAN環境を改善します。
また、新しく無線LAN環境を構築する際にも使用しています。事前に電波状況を調べ、APの個数、設置位置、使用できるチャンネルなどを分析し無線LANを導入します。

■電波の測定方法
測定方法には、パッシブサーベイとアクティブサーベイの2種類があります。
パッシブサーベイは電波の受信のみを行ってデータを収集し、アクティブサーベイは実際にAPと通信してデータを収集します。
今回はパッシブサーベイについて記述します。

■パッシブサーベイの結果を分析しAPの設定を変更
図1は実際にフロアをパッシブサーベイした結果です。信号の強度は色で表されます。
今回は例として36チャンネルを使用している電波のみの信号強度を表示しています。
調査作業自体はフロアの見取り図をAirMagnetに読み込み、フロア内を歩くだけの簡単な作業です。

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図1 36チャンネルの信号強度

色の付いていない白い部分は36チャンネルを使用している電波が全くない事を意味しています。信号は-100から0までの値で、数値が大きいほど電波が強い事を表します。だいたい-80以下は干渉として考慮しなくても問題ない程度です。
また、色のついた部分にマウスオーバーするとその場所の詳細な電波状況が表示されます。
※AP名は非表示にしています。

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図2 詳細データ

以下の表1に各パラメータの意味を簡単に説明します。

表1 指標の意味
チャンネル/AP名 アクセスポイントの名前
信号(dBm) 受信パケットの信号強度。値が大きいほど、信号は強くなる。
雑音 2.4GHz または 5GHz の帯域の背景の無線周波数エネルギーのレベル。値が小さいほど、雑音は小さくなる。
S/N 信号対雑音比 大きければ大きいほど電波品質が良い
PHYデータレート データ転送レート 大きければ大きいほど速度が早い
干渉(%) 干渉の割合


図1,2から36チャンネルを使用しているAPは3個あるが、どれも信号強度が低く干渉にはならないので新たに設置するAPは36チャンネルを使用出来ることがわかります。新たに36チャンネルを使用するAP(test-ap01)を設置した後のデータが図3,4です。

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図3 新たにAPを設置した後の信号強度

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図4 AP設置後の詳細データ


図3,4より、新たに設置したAPは信号強度も強く、データ転送レートも高いので問題なく無線LANが使える環境になったとわかります。

今回は非常に単純なケースで考えましたが、基本的にはこのような流れで分析していきAPの設定の見直しや野良APの検出、排除をすることで無線LAN環境を改善していきます。
電波環境というのは絶えず変化していくので定期的に調査して改善していかなければなりません。

■最後に
ほんの一部ですが、AirMagnetを用いた無線LAN調査について紹介させていただきました。
AirMagnetのパッシブサーベイ以外の機能や分析の仕方については機会があればまた紹介したいと思います。
ありがとうございました。