第6回公演:ライ雄々だsまのエラス 最終幕2  | What aわんだふるワールド

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がむばるベアーズ:マンセル、グラハムくんの奮闘日記。

大将の遺影の裏から、何やら手紙とSDカードが落ちてきた。

 

それを拾ってカウンターの上に乗せてみおちゃんに見ても

らったが。

 

 

シゲさん:みおちゃん・・・今遺影の裏からそれが落ちたん

だが・・・。何だか?知ってる?

 

みおちゃん:いいえ、初めてみましたが・・・。

 




みおちゃんにもこれは知らなかったようだが・・・。

 

ミッツさん:手紙って事は・・・大将から何か指示があるん

じゃなくて?

 

 

 


ディレクター:みおちゃん・・・手紙・・・読んでみてよ。

 

安藤快さん:そーだよ、何か大事な事書いてあるかもしれな

いし・・・。

 

 

みおちゃんは手紙を開いて読みだした。

 


 

みおちゃん:大将からみおちゃんへ。

 

これに気が付いたという事は、オイラの遺影が見付かったから

なんだろうな。

そうだ、これは他でもなく。みおちゃんへの遺言だ、お別れの

手紙だ。だから泣かないで読んでくれよ。

何よりもみおちゃんが心配でならないから・・・。

まず先に”ライ雄々だsまのエラス” のレシピを書き記して

おく。あと、作り方もな・・・。もっと詳しい事は、SD

カードに動画に残してある。

よく見て勉強するように・・・。字を書くのが苦手だから、

大体の事はSDカードの映像に全て残してあるから見てくれ。

大将より。

 

レシピは・・・。

 

魚沼産コシヒカリ20kg

玉ねぎ2t?

2t!?どーいう事・・・。

比内地鶏4羽

どんだけ裁いた・・・?

ウコンの力2本半
ウソでしょ!?で、残り半の行方は・・・?

ほか諸々入り・・・。

ん~ほんとはそこが大事なんだよねぇ・・・www

 

超~弱火で煮込む事2晩・・・。1クール暖め、冷やしを3回繰り返すこと・・・。

 

分からない時は動画のチャプター3を観ろ・・・?

大将の72時間クッキングがタイトルだ・・・w。

手間考えて作ってないよね・・・大将って・・・。

大将・・・軽くめんどくさいかもぉ~・・・。




シゲさん:SDカードに遺言ビデオを録画したのか?

大将が・・・。

 

みなちゃん:あの大将・・・案外ハイテクな事するのね・・・。

 

 

安藤快さん:早くそのSDカードの動画観てみようや!

ってか・・・。パソコンとか無いよなぁ・・・。

誰か今持ってるか?

 

ミッツさん:お店には・・・置いてないわね。

 

シゲさん:家から持って来ようか?パソコン・・・あっでも、

デスクトップしかないか・・・困ったなぁ。


 

安藤快さん:そーかぁ~・・・大将ごめんよ。

本当はみおちゃんが心配で心配でならなかったんだ

ねぇ~・・・。それにしても、ごはんが美味しいと思えば。

そーか・・・魚沼産コシヒカリだったのか。

それと玉ねぎ2tってwおい!って話だがw

ウコンの力2本半は入れ過ぎやしねぇ~かなぁ~www

なんだかなぁ~・・・。

 

 

シゲさん:ノートパソコンとかないしさぁ~。ブルーレイ

デッキ外してテレビに繋いだら・・・急いで持って来ようか?


 

ディレクター:あの、SDカードの再生できるカーナビがロケ

車にあるんで。今から取って来ますよ。ちょっと待ってても

らっていいですか?

 

ミッツさん:ディレクターさん!さっすが!!

 

みおちゃん:すみません・・・私そういうメカに弱いので良

く分からないんですが。持ってきてもらっていいですか?

大事なメッセージかもしれませんし・・・。




ディレクター:ちょっと急いで行ってきます!

 

安藤快さん:Dー!ちょっと待って!

 


 

呼び止められたディレクターに安藤快さんが駆け寄った・・・。


 

安藤快さん:Dさ!これ・・・使えるんじゃねぇ!?

ハンディカム・・・。

 

ロケ中のSDカード抜いてさ、大将のSD差して。向こうの

壁にプロジェクターで写せるんじゃね!?

 

ディレクター:そっか!それでも見られるかも・・・。あっ!

でも今日はいつものプロジェクター機能のやつ他のロケで持っ

て行かれちゃったんですよねぇ・・・。

そっか!!これでも、内モニターで再生写して、音声飛ばせま

すねぇ。

そこにラジオのジャックもあるし・・・。ラジオも店のが

あるし・・・。

 

安藤快さん:そーだよ!でかした!見られるぞ!

おい、みんな。このカメラで大将の遺言映像観られるぞ。


 

ディレクターが早速準備を始めた・・・。

 

ディレクター:ロケのSDカードを抜いてっと・・・。そーだよ・・・、今のTVのロケはSDカードが中心だもんなぁ

忘れていたよ。快さんさすが!でかした!!


 

安藤快さん:みおちゃん、そのSDカードを貸してくれる。

 

大将からのメッセージをみんなで観よう!

 

みおちゃん:それではお願いします。

 


 

ディレクター:よし!セットするぞ。

 

三脚に今立てますからちょっと待ってくださいよ・・・。


 

電源を入れ、再生ボタンを押した・・・。

 

 

全員モニターに注目していた・・・。

 



すると、カメラの前に白熊軒の大将が現れた・・・。

 

大将:う~んっと・・・。こんな感じでいいかな?ここで・・・大丈夫だな。

 

ん!ん!ん!ん!あああああっ、あ、あ、ああ~~w

 

大将は緊張していた。

 



 

大将が映像に写された・・・。
 

安藤快さん:大将か!?いつ頃撮ったんだろうか?

 

みなちゃん:なんか・・・大将疲れてる感じもするわね。

 

みおちゃん:ほんと・・・いつ頃撮ったんだろう・・・。

 

大将:おっす!みおちゃん!!今この映像を観てるって事は・・・。きっとオイラ・・・もう死んでいるんだろうなぁ。

オイラな・・・三ヶ月前に腹イテェ~から病院へ行ったんさ・・・。

初めは便秘かなぁ~とか思ったらよ・・・ガンなんだってさ。

余命三ヶ月だってさ・・・あれが何か?今時のインフォーム

ドコンセントってのか?ひでぇ~もんだな、余命とかって・・・。

頭ごなしに他人の寿命とか決められるってのぁ~よぉ~!

でさ、手ぇつけらんねぇってもんだから。なるたけ苦しい事

にならないようにって。

ソフトランディングで死を迎えるようにって・・・色んな薬

貰ったは良いけどもさ・・・味覚がもう無くなってもーたさ。

でも店の味変わってないだろ!?

これがなぁ・・・プロの仕事ってもんだよ。

 

でもさ。最期の最期にさ・・・一つだけ遣り残したことが

あってさ・・・。

 

ある人との約束がまだ叶ってないんだわ・・・。

どーしてもやらねぇ~となんねぇ~んだよ!手伝ってもらう

事になるけど・・・勘弁してくんな!

 

実はさ・・・前にTVの散歩番組でやってきた、

新井雄々さんが来てくれたんだがさ・・・気が合っちゃってさ

その後もプライベートで頻繁に来てくれるようになってな・・・。

年齢も近いから、気が合っちゃって合っちゃって酒飲み友達

みてぇ〜なもんだ。んで、こんな事があったんだわ・・・。

 

 

暗転・・・。

 

からのぉ~・・・。

 

 

 

 

大将:雄々ちゃんw!飲みすぎちゃいましたね・・・。

 

店の日本酒全部呑んで帰る気ですかえwwwもぉ~。

お店終わったからって、こんだけ飲んじゃったら・・・明日

二日酔いで仕事になりゃしませんぜぇ~w。ロケとか大丈夫

なんっすかぁ~っ!

ってか、他のお客に飲ます酒まで飲んじゃいましたなぁwww

 

新井雄々さん:大将~!何を水臭い!明日は明日!今日は今日!

もぉ~ダメなら休んじゃえw!店なんかwww

酒屋に行って、ありったけ酒もってこーい!って朝電話す

りゃ~いいんだよ!んなもんは・・・。

文句ある客がいんなら、こんな定食屋なんかぶっ潰しちゃえばい

いんだよ、んなもんwww。

 

大将:そーはいきやせんぜ、雄々ちゃん!こんな店でも朝食

代わりに食べに来る常連さんもいるですからねぇ~。

休んだり潰してなんかいられませんぜ!

食べる事は生きること!生きることとは食べる事!

師匠から教え込まれたモットーですもんねぇ~・・・食べな

いって事は死んでまう事ですぜいw。


 

新井雄々さん:おぉ~っ大将気に入った!そーじゃねぇ~と

ダメだなぁ~。

 

ぼくもねぇ~ドラマとか映画とかロケあるじゃない!?

もう今日は無理だよ!なんていう時にもね、ファンの人が

どこで嗅ぎ付けたか知らないけれども、現場へ差し入れ持って

来てくれてだ。

しかも、こーーーんなちっちぇ塩大福とかなんだけども

よぉ~w。

”この前のドラマかっこよかったですよ”とかさ。

”舞台観にいきますねぇ”とか言われっちゃうとさぁ~。

嬉しくなって、俄然やる気になっちゃうんだよねぇ・・・。

嬉しいよねぇ~ファンの人とかさぁ・・・人の温ったかみと

かさぁ・・・こんなぼくでも、誰かの為に何かの役に立って

ると実感できる瞬間とかさぁ~・・・。


 

新井雄々さん:ところでさぁ~・・・大将にだから逆に頼みたい事あるんだけれどもさぁ・・・。話ぃ乗ってくんねぇ~かな?

 

大将:頼みってのはなんだい?また、

”新井雄々の下町ぶらり旅”で来てもいいけれどもさ!

 

新井雄々さん:近くに寄ったら、無理やりでも引っ張って来

るけどな。

 

隣駅で降りたって、ホントはなぁ~んもねぇ~んだぞwホント

はさw。あくまでも、ここだけの話だぞw。

ってかあのさ、昔行った窯元で気に入って買っちゃった。

こぉ~んなにでっかい皿があるんだけども・・・使い道が

ねぇ~んだよなぁ~・・・。困ったもんでさ。

一度さ、お正月に親戚と集まって手巻き寿司パーティー

やったら、ネタが多すぎてシャリがなくなっちゃってでさw

シャリだけで3回も釜炊きしちゃってさwエライ時間掛かった

んだわ。

カミさんがそれ以来、あの皿見たら思い出して。ガミガミ怒る

もんでさぁ。

でな、そのでっかい皿で料理出して。ここでさ。

お客さん驚かしたら面白れぇ~なぁ~って思ったんだよねぇ。

 

大将:どんだけの大きさなんですか?

 

 

新井雄々さん:そーだなぁ・・・ごはんだけなら・・・10人前は乗るん

 

じゃないか?普通のカレー皿の10倍はある!

 

大将:よくそんなの買ったねぇ~w雄々さん。

 

新井雄々さん:それでだ・・・。ここらの普通のメニューに

紛れ込ませて特大料理を出してお客さん驚かすとか面白くねぇ

かなってw。

だってさぁ~普通のメニューと思って頼んだら、何だかわか

らねぇ~こぉ~んなでっかい皿で。

カレーライスとか出てきたらびっくりするべw。

 

大将:そらぁ~面白いな!乗った!

 

 

新井雄々さん:あんまりにでっかくて、その時一緒に居合わ

せた客とみんなでシェアして食べるってさぁ~。

タッパーに入れて持って帰るとかさ。なんか下町っぽくて

ほのぼのしてていいじゃんw!

昔はよくみんなで一つの皿で分け合って食べたもんだぜぇ・・・。

ぼくの子供の頃なんかさ・・・。そういうところで人の優し

さって生まれるもんだと思うんだがな・・・。

何だ!あの最近のコース料理とかは、皿ばっかりでっかく

てこぉ~んなちっちゃなスペアリブとかカルパッチョとかで

さw。小魚とか出されてもさぁ~何だか喰った気しねぇ~のよ。

四角四面にかしこまった料理なんてのは、不味くてなら

ねぇ~よ。

あの星幾つ!?なんていう格付けなんか、クソ喰らえっても

んだよw!

 

大将:そらぁ~いけません!あらぁ~ダメだわ・・・。

小魚逃がして、もっとでっかくなってから食べるか?その

親食わないと、喰った気がしねぇ~な・・・。

それに他人の作った飯に上から目線の格付けもいただけ

ねぇ~な。料理人を何様だと思ってやんだい!ってんだよ。


 

新井雄々さん:んでな・・・大将とぼくとで、そのでっかい

皿使った料理をここで出せないか?って事なんだよ。

お皿は持ってこさせるから、自由に使ってくれていいんだ・・・。

そこの乗っける料理は大将と相談してさ、何がいいかな?って。

でね、原案じゃないけれども・・・。

あれ?スマホに入れておいたんだが・・・レシピが無いかな・・・?

仕入れとかも用意するよ、めっちゃいい食材じゃなくてもい

いんだ。なんならそこのデイリーヤマザキで買ってきたのを

乗っけて出すとかでもいいんだが。

それよりもさ、おらぁ~大将と一緒に料理屋がしたいんだわ。

それにしても・・・年のせいでスマホも扱いにくいっちゃ

ねぇ~な。

 

大将:だとしたら・・・うちでそんだけ大量に作れるものと

したら・・・。

さっきも言っていたように、カレーライスなんてどーでしょ!?

うちだと毎日30~出てるからさ・・・。

 

新井雄々さん:おっ!カレーライスいいねぇ!そんだけ出

てるんだ!?大将のところ!美味しいんだろうなぁ~・・・。

今度来たら注文しないと。

 

大将:でも新井雄々さんが作るとか、名前乗っけるとなると・・・。食材も色々とこだわりたいですよねぇ。

ライスは魚沼産コシヒカリとか・・・。肉も赤身のいいところ

とか・・・A5ランクのとか。

 

新井雄々さん:それとな・・・。事務所も今じゃ五月蝿くて

かなわないから名前もあまり堂々と出せない・・・。

知る人しか知らないような・・・口コミみたいな格好にした

いよなぁwwwって。今日、老眼鏡忘れたからwとんでも

ねぇ~のになったよ。大将!これ観て。

メニューの名前考えていたら・・・さwww

 

 

スマホの画面をみせてきた。

 

 

 

大将:反対じゃぁ~字ぃ読めませんで。

 

 

大将:えっと・・・どれどれ!

 

”ライ雄々だsまのエラス” 

がはははwww!なんですかこれは!!!

 

新井雄々さん:老眼でよく見えないから、なんとかかろうじ

て文字登録してあるの押していたみたいでwww

これじゃなんだかわからねぇ~なwww

”ライ雄々だsまのエラス” だってさwww

 

 

大将:何々・・・www?なんですかwこれは一体www

 

新井雄々さん:ライ=ライスで。スを間違って消しちゃったし。

ホントはカレーライスってマジメに打ったつもりだったのにw

雄々=は、名前が直ぐに変換できないから文字登録してある

の押してw

だSま=だます。って打ったつもりが酔っておかしな事に。

エラス=ってのが。カレエライスってなっちゃって、いけねぇ

やwいけねぇやwで直していた。エラスだけ残っちゃって

たwww

 

大将:雄々ちゃんwwwそれでいこー!

 

”ライ雄々だsまのエラス”

これなら、お客も事務所もわかりゃしねぇ~よwww。

 

 

 

大将:二人の酔っ払いは、この夜にこんな調子で名前が決まっていっただよ。

 

 

 

 

 

 

 

大将:あの日の夜は、ホントに人生の中で一番楽しい夜だっ

たなぁ。

ここ食堂だよ!料理屋だよ!もう1軒いこー!とか言い出し

てさw。この店どーすんだよwおい!ってwww。

ここも立派な店だばかやろーwあの立派な暖簾が目にはいら

ねぇ~のかぁ~!ったら。

 

新井雄々さん:はっは~御見それしやしたぁ~www

 

 

 

ってな。酔っ払いのたわごとさ。

 

 

暗転・・・。

 

 

大将:んな酔っ払いのおっさん2人の悪ふざけみたいなもん

から全てが始まったようなもんだ。

でもな・・・その約束も・・・忙しさにかまけてなかなか叶わ

ずにだ・・・。

新井雄々ちゃんは、去年脳梗塞で突然逝っちまったし・・・。

まだ”ライ雄々だsまのエラス”の完成をみていない・・・。

一口も食べさせてやれなかった・・・人生最大の後悔だ・・・。

そこへオイラも余命が無い、時間がない、味覚も分らなく

なってきてる。

時間はいっぱいあるようで、その実、全然無いのを今更知る

訳だよ・・・。

 

若いみおちゃんには、ひとっつもピンと来ないかもしれ

ねぇ~がさ。

 

遣り残した事があるってのはぁ~なかなか死にきれねぇもんだ。

残りの仕事を、みおちゃんに頼むってのもすまねぇ~話だ

がな・・・。

オイラと雄々ちゃんの遣り残した、最期の夢をかなえてくれ

ねぇかな。

 

その後の店は・・・みおちゃんが決めていい。たたんでくれ

ても構わない。店はみおちゃんに任せるからよっ。

 

”ライ雄々だsまのエラス”だけは、どーにか完成させてくれ

ないかな?

指示書は書いて残しておくからよ・・・頼むわ・・・。

 

大将:それじゃ!そろそろ次の工程があるから厨房へ戻るぞ。

 

んじゃ!オイラはここらで行くぞ!じゃあな!

 




大将:えっと、電源はどこかな・・・?

 

 

すると、映像はここで途切れていて。別チャプターには、

 

 

”ライ雄々だsまのエラス”を作っている様子が、

3分クッキングのBGMに乗って収録されていた・・・。

 


大将の最期の言葉を聞いていた全員・・・。店内が静まり返る。


 

シゲさん:大将・・・最期までみおちゃんの事も気になって

いたし。

店の事もそーだし、雄々さんとの約束も果たさないとで思って

ずっと気にしていて・・・。

みおちゃんに全て夢だけ託して逝ったんだねぇ・・・。

 

みおちゃんは、泣くばかりだった・・・。

 

 

安藤快さん:みおちゃん!このカレーライス・・・じゃない。

”ライ雄々だsまのエラス”は、みおちゃんに託された・・・

店の襷みたいなもんじゃないのかなぁ?


 

みなちゃん:まあ、何にも作れないんじゃ。もの凄く重たい

襷だろうけどもねぇ・・・。

 

ミッツさん:でも食べることは生きること!って大将言って

いたように、みおちゃんが生きていくのに作り方置いていった

んだと思うわよ・・・。


みおちゃんが、”ライ雄々だsまのエラス”をみながら・・・。

 

みおちゃん:大将・・・それならそれで・・・もっと早く教

えてくれればいいのに・・・。

何で亡くなってからそんな・・・。


 

みおちゃん:私全然料理できないんですもの・・・。


 

安藤快さん:いいんだよ、まだ料理できなくたって・・・

いつか、直ぐにできるようになるからさ・・・。

むしろね、この”ライ雄々だsまのエラス”は、ぼく等が食べ

るよりもみおちゃんが食べるべき料理だぞ。

見習いの料理人はね、お客が残した料理とか。厨房の寸胴の

底さらってでもその店の味を覚えるもんだ・・・。

そうすることで、何を使っているのか?どんな作り方している

のか?って憶えていくんだよ・・・。

これは、みおちゃんこそが食べるべきものなんだよ・・・。

 

おれ達も、この”ライ雄々だsまのエラス”の味は。

 

絶対に、一生涯忘れちゃいけない。大将が作り出した最期の

味なんだからさ・・・。味わって、残さず、食べようよ・・・

なっ!大将が最期に残していった味だぞ・・・!

 

 

ディレクター:さ。みおちゃんも食べて、その感想を聞かせ

てください。

 

 

みおちゃんも食べたが・・・。

 

 

みおちゃん:涙の味ばっかりで、しょっぱくてしょうがないわ・・・。

 

美味しい!ホントに、美味しいです!大将・・・。

まだ寸胴に少し残ってるので。後でじっくり頂きます。


 

ディレクター:よぉ~っし!こんな感動的なVを・・・。

しまった!

SDカードうちのに入れ替えてなかった・・・!どーしよう!!!

この感動的なシーンを録画し損ねた・・・。TVマンとして

失格だぁ!やってもーーたぁ~~っ!

 

 

安藤快さん:新井先輩がなぁ~・・・こんなでっかい皿にこん

なでっかい夢を乗っけて置いて逝ったんだなぁ~・・・。

なんだかなぁ~この仕事の意味がちょっと見えてきたような

きがするなぁ~・・・。


 

安藤快さん:よぉ~っし!ぼくもみおちゃんのお店で何か

作ろうかな!?

 

みおちゃん:勘弁してくれます・・・?

ミッツさん:そーよ、まだ続けるとは言ってないんだし・・・。

 


そーだったぁ・・・と。ミッツさんの一言で店の空気が

凍りつき。

 

時間が止まったようだった・・・。

 



ディレクター:みおちゃんが良ければなんですが・・・。

このお店の再起というか。みおちゃん密着でこの後取材させて

もらう・・・ってのはできませんかね?

”新井雄々の下町ぶらり旅”っていう番組は、ぼく等の前番組

なんですよ。

新井先輩は、確かに脳梗塞でお亡くなりになって。その後

番組に入ったのが安藤快さんで。

ぼくも初めて担当した番組ですんで・・・。その先輩がこんな

にも、ずっと密着して愛着のあるお店ですから。

ぼく等も、お店の行く末が気になりますから・・・。

みおちゃん次第ですが・・・どーでしょうか?

みおちゃん:・・・。私バイトですけれども・・・。

まだ何にも作れないですが・・・。

ここでお店・・・できるのかしら。

大将の料理・・・大好きですもの。

どこまで大将の味に近づけるかわからないけれども・・・。

でも、再開までは・・・ちょっとかかるかもしれませんが・・・。

 

やってみたいです!

 


 

みなちゃん:大将!よかったね!後継者ができたわよ!

 

シゲさん:大将!あんたの味をみおちゃんが受け継ぐってさ!

やったね!

 

ミッツさん:みおちゃん!アタシお店開く時に手伝うわよ!

最近うちもお客さん減ってきて困ってるの、ベンリに使ってよ!

 

みおちゃん:助かります。その時は必ずみなさんに声をかけ

ますね。

 




安藤快さん:それじゃぁ~さ!みんなで大将の味を忘れない

ようにさぁ~これ残さず食べようよ!
先輩の新井雄々さんが手がけてるんだもん・・・ぼく等もそ

の後輩として。ちゃんとこれを食べないといけないしな!

はむはむ・・・はむはむ・・・ほんと!美味い!!

 

涙を流しながら食べている。

 

安藤快さん:ん・・・?それにしても・・・。

 

じーーーーっ・・・気になっちゃった。

 

 

安藤快さん:あのさぁ~みおちゃん!

 

ここに入ってから、ずっと気になっていたんだがさぁ~・・・。

このズンドコベロンチョ、入荷次第って。

 

どんな料理なの!?

 


 

みおちゃん:もぉ~私しらなぁ~~~い!!

 

 

 

みおちゃんの絶叫が轟いたw

 

 

暗転・・・。

 

次へ続く。