2016年生誕祭:第4回公演:ライ雄々だsまのエラス 最終幕2 | What aわんだふるワールド

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がむばるベアーズ:マンセル、グラハムくんの奮闘日記。

大将の遺影の裏から、何やら手紙とSDカードが落ちてきた。


それを拾ってカウンターの上に乗せてみおちゃんに見てもらったが。


シゲさん:みおちゃん・・・今遺影の裏からそれが落ちたんだが・・・。

何だか?知ってる?


みおちゃん:いいえ、初めてみましたが・・・。




みおちゃんにもこれは知らなかったようだが・・・。


ミッツさん:手紙って事は・・・大将から何か指示があるんじゃなくて?



ディレクター:みおちゃん・・・手紙・・・読んでみてよ。


安藤快さん:そーだよ、何か大事な事書いてあるかもしれないし・・・。



みおちゃんは手紙を開いて読みだした。



みおちゃん:大将からみおちゃんへ。

これに気が付いたという事は、オイラの遺影が見付かったから

なんだろうな。

そうだ、これは他でもなく。みおちゃんへの遺言だ、お別れの

手紙だ。だから泣かないで読んでくれよ。

何よりもみおちゃんが心配でならないから・・・。

まず先に”ライ雄々だsまのエラス” のレシピを書き記しておく。

あと、作り方もな・・・。もっと詳しい事は、SDカードに動画に残してある。

よく見て勉強するように・・・。字を書くのが苦手だから、大体の事は

SDカードの映像に全て残してあるから見てくれ。

大将より。


レシピは・・・。

魚沼産コシヒカリ20kg

玉ねぎ2t?

2t!?どーいう事・・・。

比内地鶏4羽

どんだけ裁いた・・・?

ウコンの力2本半
ウソでしょ!?で、残り半の行方は・・・?

ほか諸々入り・・・。

ん~ほんとはそこが大事なんだよねぇ・・・www


超~弱火で煮込む事2晩・・・。1クール暖め、冷やしを3回繰り返すこと・・・。

分からない時は動画のチャプター3を観ろ・・・?

大将の72時間クッキングがタイトルだ・・・w。

手間考えて作ってないよね・・・大将って・・・。

大将・・・軽くめんどくさいかもぉ~・・・。




シゲさん:SDカードに遺言ビデオを録画したのか?大将が・・・。


みなちゃん:あの大将・・・案外ハイテクな事するのね・・・。


安藤快さん:早くそのSDカードの動画観てみようや!

ってか・・・。パソコンとか無いよなぁ・・・。誰か今持ってるか?


ミッツさん:お店には・・・置いてないわね。


シゲさん:家から持って来ようか?パソコン・・・あっでも、デスクトップ

しかないか・・・困ったなぁ。



安藤快さん:そーかぁ~・・・大将ごめんよ。

本当はみおちゃんが心配で心配でならなかったんだねぇ~・・・。

それにしても、ごはんが美味しいと思えば。そーか・・・魚沼産か。

それと玉ねぎ2tってwおい!って話だがw

ウコンの力2本半は入れ過ぎやしねぇ~かなぁ~www

なんだかなぁ~・・・。



シゲさん:ノートパソコンとかないしなぁ~。ブルーレイデッキ外して急いで

持って来ようか?




ディレクター:あの、SDカードの再生できるカーナビがロケ車にあるん

で。今から取って来ますよ。ちょっと待っててもらっていいですか?


ミッツさん:ディレクターさん!さっすが!!

みおちゃん:すみません・・・私そういうメカに弱いので良く分からない

んですが。持ってきてもらっていいですか?大事なメッセージかもしれ

ませんし・・・。




ディレクター:ちょっと急いで行ってきます!


安藤快さん:Dー!ちょっと待って!




呼び止められたディレクターに安藤快さんが駆け寄った・・・。




安藤快さん:Dさ!これ・・・使えるんじゃねぇ!?ハンディカム・・・。

ロケ中のSDカード抜いてさ、大将のSD差して。向こうの壁にプロジ

ェクターで写せるんじゃね!?


ディレクター:そっか!それでも見られるかも・・・。あっ!でも今日は

いつものプロジェクター機能のやつ他のロケで持って行かれちゃった

んですよねぇ・・・。

そっか!!これでも、内モニターで再生写して、音声飛ばせますねぇ。

そこにラジオのジャックもあるし・・・。ラジオも店のがあるし・・・。


安藤快さん:そーだよ!でかした!見られるぞ!

おい、みんな。このカメラで大将の遺言映像観られるぞ。




ディレクターが早速準備を始めた・・・。


ディレクター:ロケのSDカードを抜いてっと・・・。そーだよ・・・、今の

TVのロケはSDカードが中心だもんなぁ・・・忘れていたよ。

快さんさすが!でかした!!



安藤快さん:みおちゃん、そのSDカードを貸してくれる。

大将からのメッセージをみんなで観よう!


みおちゃん:それではお願いします。




ディレクター:よし!セットするぞ。

三脚に今立てますからちょっと待ってくださいよ・・・。



電源を入れ、再生ボタンを押した・・・。


全員モニターに注目していた・・・。



すると、カメラの前に白熊軒の大将が現れた・・・。


大将:う~んっと・・・。こんな感じでいいかな?ここで・・・大丈夫だな。

ん!ん!ん!ん!あああああっ、あ、あ、ああ~~w


大将は緊張していた。




大将が映像に写された・・・。


安藤快さん:大将か!?いつ頃撮ったんだろうか?


みなちゃん:なんか・・・大将疲れてる感じもするわね。


みおちゃん:ほんと・・・いつ頃撮ったんだろう・・・。


大将:おっす!みおちゃん!!今この映像を観てるって事は・・・。

きっとオイラ・・・もう死んでいるんだろうなぁ。

オイラな・・・三ヶ月前に腹イテェ~から病院へ行ったんさ・・・。

初めは便秘かなぁ~とか思ったらよ・・・ガンなんだってさ。

余命三ヶ月だってさ・・・あれが何か?今時のインフォームドコンセント

ってのか?ひでぇ~もんだな、余命とかって・・・。

頭ごなしに他人の寿命とか決められるってのぁ~よぉ~!

でさ、手ぇつけらんねぇってもんだから。なるたけ苦しい事になら

ないようにって。ソフトランディングで死を迎えるようにって・・・

色んな薬貰ったは良いけどもさ・・・味覚がもう無くなってもーたさ。

でも店の味変わってないだろ!?

これがなぁ・・・プロの仕事ってもんだよ。


でもさ。最期の最期にさ・・・一つだけ遣り残したことがあってさ・・・。

ある人との約束がまだ叶ってないんだわ・・・。

どーしてもやらねぇ~となんねぇ~んだよ!手伝ってもらう事になる

けど・・・勘弁してくんな!


実はさ・・・。前にTVの散歩番組でやってきた、新井雄々さんが来て

くれたんだがさ・・・。

その後もプライベートで頻繁に来てくれるようになってな・・・。

年齢も近いから、気が合っちゃって合っちゃってだ。

こんな事があったんだわ・・・。


暗転・・・。


からのぉ~・・・。




大将:雄々ちゃんw!飲みすぎちゃいましたね・・・。

店の日本酒全部呑んで帰る気ですかえwwwもぉ~。

お店終わったからって、こんだけ飲んじゃったら・・・明日

二日酔いで仕事になりゃしませんぜぇ~w。ロケとか大丈夫

なんっすかぁ~っ!

ってか、他のお客に飲ます酒まで飲んじゃいましたなぁwww


新井雄々さん:大将~!何を水臭い!明日は明日!今日は今日!

もぉ~ダメなら休んじゃえw!店なんかwww

酒屋に行って、ありったけ酒もってこーい!って朝電話すりゃ~い

いんだよ!んなもんは・・・。

文句ある客がいんなら、こんな定食屋なんかぶっ潰しちゃえばい

いんだよ、んなもんwww。


大将:そーはいきやせんぜ、雄々ちゃん!こんな店でも朝食

代わりに食べに来る常連さんもいるですからねぇ~。

休んだり潰してなんかいられませんぜ!

食べる事は生きること!生きることとは食べる事!

師匠から教え込まれたモットーですもんねぇ~・・・食べないって事

は死んでまう事ですぜいw。



新井雄々さん:おぉ~っ大将気に入った!そーじゃねぇ~とダメだなぁ~。

ぼくもねぇ~ドラマとか映画とかロケあるじゃない!?

もう今日は無理だよ!なんていう時にもね、ファンの人が

どこで嗅ぎ付けたか知らないけれども、現場へ差し入れ持って

来てくれてだ。

しかも、こーーーんなちっちぇ塩大福とかなんだけどもよぉ~w。

”この前のドラマかっこよかったですよ”とかさ。

”舞台観にいきますねぇ”とか言われっちゃうとさぁ~。

嬉しくなって、俄然やる気になっちゃうんだよねぇ・・・。

嬉しいよねぇ~ファンの人とかさぁ・・・人の温ったかみとかさぁ・・・

こんなぼくでも、誰かの為に何かの役に立ってると実感できる

瞬間とかさぁ~・・・。




新井雄々さん:ところでさぁ~・・・大将にだから逆に頼みたい事ある

んだけれどもさぁ・・・。話ぃ乗ってくんねぇ~かな?


大将:頼みってのはなんだい?また、”新井雄々の下町ぶらり旅”で

来てもいいけれどもさ!


新井雄々さん:近くに寄ったら、無理やりでも引っ張って来るけどな。

隣駅で降りたって、ホントはなぁ~んもねぇ~んだぞwホントはさw。

あくまでも、ここだけの話だぞw。

ってかあのさ、昔行った窯元で気に入って買っちゃった。

こぉ~んなにでっかい皿があるんだけども・・・使い道がねぇ~んだ

よなぁ~・・・。困ったもんでさ。

一度さ、お正月に親戚と集まって手巻き寿司パーティーやったら、

ネタが多すぎてシャリがなくなっちゃってでさwシャリだけで3回も釜

炊きしちゃってさwエライ時間掛かったんだわ。

カミさんがそれ以来、あの皿見たら思い出して。ガミガミ怒られる

んさぁ。

でな、そのでっかい皿で料理出して。ここでさ。お客さん驚かしたら

面白れぇ~なぁ~って思ったんだよねぇ。


大将:どんだけの大きさなんですか?


新井雄々さん:そーだなぁ・・・ごはんだけなら・・・10人前は乗るん

じゃないか?普通のカレー皿の10倍はある!


大将:よくそんなの買ったねぇ~w雄々さん。


新井雄々さん:それでだ・・・。ここらの普通のメニューに紛れ込ませて

特大料理を出してお客さん驚かすとか面白くねぇかなってw。

だってさぁ~普通のメニューと思って頼んだら、何だかわからねぇ~こぉ

~んなでっかい皿で。カレーライスとか出てきたらびっくりするべw。


大将:そらぁ~面白いな!乗った!


新井雄々さん:あんまりにでっかくて、その時一緒に居合わせた客とみ

んなでシェアして食べるってさぁ~。タッパーに入れて持って帰るとかさ。

なんか下町っぽくてほのぼのしてていいじゃんw!

昔はよくみんなで一つの皿で分け合って食べたもんだぜぇ・・・。

ぼくの子供の頃なんかさ・・・。そういうところで人の優しさって生まれるもん

だと思うんだがな・・・。最近のコース料理とかは、皿ばっかりでっかくて

こぉ~んなちっちゃなスペアリブとかカルパッチョとかでさw。小魚とか出され

てもさぁ~何だか喰った気しねぇ~のよ。

四角四面にかしこまった料理なんてのは、不味くてならねぇ~よ。

あの星幾つ!?なんていう格付けなんか、クソ喰らえってもんだよw!


大将:そらぁ~いけません!あらぁ~ダメだわ・・・。

小魚逃がして、もっとでっかくなってから食べるか?その親食わないと、

喰った気がしねぇ~な・・・。

それに他人の作った飯に上から目線の格付けもいただけねぇ~な。

料理人を何様だと思ってやんだい!ってんだよ。



新井雄々さん:んでな・・・大将とぼくとで、そのでっかい皿使った料理を

ここで出せないか?って事なんだよ。

お皿は持ってこさせるから、自由に使ってくれていいんだ・・・。

そこの乗っける料理は大将と相談してさ、何がいいかな?って。

でね、原案じゃないけれども・・・。

あれ?スマホに入れておいたんだが・・・レシピが無いかな・・・?

仕入れとかも用意するよ、めっちゃいい食材じゃなくてもいいんだ。

なんならそこのデイリーヤマザキで買ってきたのを乗っけて出すとか

でもいいんだが。それよりもさ、おらぁ~大将と一緒に料理屋がしたいんだわ。

それにしても・・・年のせいでスマホも扱いにくいっちゃねぇ~な。


大将:だとしたら・・・うちでそんだけ大量に作れるものとしたら・・・。

さっきも言っていたように、カレーライスなんてどーでしょ!?

うちだと毎日30~出てるからさ・・・。


新井雄々さん:おっ!カレーライスいいねぇ!そんだけ出てるんだ

大将のところ!美味しいんだろうなぁ~・・・。今度来たら注文しないと。


大将:でも新井雄々さんが作るとか、名前乗っけるとなると・・・。

食材も色々とこだわりたいですよねぇ。

ライスは魚沼産コシヒカリとか・・・。肉も赤身のいいところとか・・・A5

ランクのとか。


新井雄々さん:それとな・・・。事務所も今じゃ五月蝿くてかなわないか

ら名前もあまり堂々と出せない・・・。

知る人しか知らないような・・・口コミみたいな格好にしたいよなぁ・・・。

wwwって。今日、老眼鏡忘れたからwとんでもねぇ~のになったよ。

大将!これ観て。

メニューの名前考えていたら・・・さwww



スマホの画面をみせてきた。


大将:反対じゃぁ~字ぃ読めませんで。


大将:えっと・・・どれどれ!

”ライ雄々だsまのエラス” 

がはははwww!なんですかこれは!!!


新井雄々さん:老眼でよく見えないから、なんとかかろうじて文字登録

してあるの押していたみたいでwww

これじゃなんだかわからねぇ~なwww”ライ雄々だsまのエラス” 

だってさwww

大将:何々・・・www?なんですかwこれは一体www


新井雄々さん:ライ=ライスで。スを間違って消しちゃったし。

ホントはカレーライスってマジメに打ったつもりだったのにw

雄々=は、名前が直ぐに変換できないから文字登録してあるの押してw

だSま=だます。って打ったつもりが酔っておかしな事に。

エラス=ってのが。カレエライスってなっちゃって、いけねぇやw

いけねぇやwで直していた。エラスだけ残っちゃってたwww


大将:雄々ちゃんwwwそれでいこー!

”ライ雄々だsまのエラス”

これなら、お客も事務所もわかりゃしねぇ~よwww。





大将:二人の酔っ払いは、この夜にこんな調子で名前が決まっていっただよ。



大将:あの日の夜は、ホントに人生の中で一番楽しい夜だったなぁ。

家食堂だよ!料理屋だよ!もう1軒いこー!とか言い出してさw。

この店どーすんだよwおい!ってwww。

ここも立派な店だばかやろーwあの立派な暖簾が目にはいらねぇ~

のかぁ~!ったら。


新井雄々さん:はっは~御見それしやしたぁ~www



ってな。酔っ払いのたわごとさ。

暗転・・・。



大将:んな酔っ払いのおっさん2人の悪ふざけみたいなもんから全て

が始まったようなもんだ。

でもな・・・その約束も・・・忙しさにかまけてなかなか叶わずにだ・・・。

新井雄々ちゃんは、去年脳梗塞で突然逝っちまったし・・・。

まだ”ライ雄々だsまのエラス”の完成をみていない・・・。

一口も食べさせてやれなかった・・・人生最大の後悔だ・・・。

そこへオイラも余命が無い、時間がない、味覚も分らなくなってきてる。

時間はいっぱいあるようで、その実、全然無いのを今更知る訳だよ・・・。


若いみおちゃんには、ひとっつもピンと来ないかもしれねぇ~がさ。

遣り残した事があるってのはぁ~なかなか死にきれねぇもんだ。

残りの仕事を、みおちゃんに頼むってのもすまねぇ~話だがな・・・。

オイラと雄々ちゃんの遣り残した、最期の夢をかなえてくれねぇかな。


その後の店は・・・みおちゃんが決めていい。畳んでくれても構わない。

”ライ雄々だsまのエラス”だけは、どーにか完成させてくれないかな?

指示書は書いて残しておくからよ・・・頼むわ・・・。



大将:それじゃ!そろそろ次の工程があるから厨房へ戻るぞ。

んじゃ!オイラはここらで行くぞ!じゃあな!





大将:えっと、電源はどこかな・・・?


すると、映像はここで途切れていて。別チャプターには、


”ライ雄々だsまのエラス”を作っている様子が、3分クッキングの


BGMに乗って収録されていた・・・。



大将の最期の言葉を聞いていた全員・・・。店内が静まり返る。




シゲさん:大将・・・最期までみおちゃんの事も気になっていたし。

店の事もそーだし、雄々さんとの約束も果たさないとで思って

ずっと気にしていて・・・。

みおちゃんに全て夢だけ託して逝ったんだねぇ・・・。


みおちゃんは、泣くばかりだった・・・。


安藤快さん:みおちゃん!このカレーライス・・・じゃない。

”ライ雄々だsまのエラス”は、みおちゃんに託された・・・店の襷

みたいなもんじゃないのかなぁ?



みなちゃん:まあ、何にも作れないんじゃ。もの凄く重たい襷だろうけ

どもねぇ・・・。


ミッツさん:でも食べることは生きること!って大将言っていたように、

みおちゃんが生きていくのに作り方置いていったんだと思うわよ・・・。



みおちゃんが、”ライ雄々だsまのエラス”をみながら・・・。


みおちゃん:大将・・・それならそれで・・・もっと早く教えてくれれば

いいのに・・・。何で亡くなってからそんな・・・。



みおちゃん:私全然料理できないんですもの・・・。



安藤快さん:いいんだよ、まだ料理できなくたって・・・いつか、

直ぐにできるようになるからさ・・・。

むしろね、この”ライ雄々だsまのエラス”は、ぼく等が食べるよりも

みおちゃんが食べるべき料理だぞ。

見習いの料理人はね、お客が残した料理とか。厨房の寸胴の底

さらってでもその店の味を覚えるもんだ・・・。

そうすることで、何を使っているのか?どんな作り方しているのか?

って憶えていくんだよ・・・。

これは、みおちゃんこそが食べるべきものなんだよ・・・。


おれ達も、この”ライ雄々だsまのエラス”の味は。

絶対に、一生涯忘れちゃいけない。大将が作り出した最期の味なん

だからさ・・・。味わって、残さず、食べようよ・・・なっ!


大将が最期に残していった味だぞ・・・!


ディレクター:さ。みおちゃんも食べて、その感想を聞かせてください。


みおちゃんも食べたが・・・。


みおちゃん:涙の味ばっかりで、しょっぱくてしょうがないわ・・・。

美味しい!ホントに、美味しいです!大将・・・。

まだ寸胴に少し残ってるので。後でじっくり頂きます。



ディレクター:よぉ~っし!こんな感動的なVを・・・。しまった!

SDカードうちのに入れ替えてなかった・・・!どーしよう!!!

この感動的なシーンを録画し損ねた・・・。TVマンとして失格だぁ!

やってもーーたぁ~~っ!



安藤快さん:新井先輩がなぁ~・・・こんなでっかい皿にこんなでっかい

夢を乗っけて置いて逝ったんだなぁ~・・・。なんだかなぁ~この仕事

の意味がちょっと見えてきたようなきがするなぁ~・・・。



安藤快さん:よぉ~っし!ぼくもみおちゃんのお店で何か作ろうかな!?


みおちゃん:勘弁してくれます・・・?

ミッツさん:そーよ、まだ続けるとは言ってないんだし・・・。



そーだったぁ・・・と。ミッツさんの一言で店の空気が凍りつき。


時間が止まったようだった・・・。



ディレクター:みおちゃんが良ければなんですが・・・。

このお店の再起というか。みおちゃん密着でこの後取材させて

もらう・・・ってのはできませんかね?

”新井雄々の下町ぶらり旅”っていう番組は、ぼく等の前番組なんです

よ。新井先輩は、確かに脳梗塞でお亡くなりになって。その後番組に

入ったのが安藤快さんで。ぼくも初めて担当した番組ですんで・・・。

その先輩がこんなにも、ずっと密着して愛着のあるお店ですから。

ぼく等も、お店の行く末が気になりますから・・・。

みおちゃん次第ですが・・・どーでしょうか?


みおちゃん:・・・。私バイトですけれども・・・。

まだ何にも作れないですが・・・。ここでお店・・・できるのかしら。

大将の料理・・・大好きですもの。

どこまで大将の味に近づけるかわからないけれども・・・。

でも、再開までは・・・ちょっとかかるかもしれませんが・・・。


やってみたいです!



みなちゃん:大将!よかったね!後継者ができたわよ!


シゲさん:大将!あんたの味をみおちゃんが受け継ぐってさ!

やったね!


ミッツさん:みおちゃん!アタシお店開く時に手伝うわよ!

最近うちもお客さん減ってきて困ってるの、ベンリに使ってよ!


みおちゃん:助かります。その時は必ずみなさんに声をかけますね。




安藤快さん:それじゃぁ~さ!みんなで大将の味を忘れないように

さぁ~これ食べようよ!
先輩の新井雄々さんが手がけてるんだもん・・・ぼく等もその

後輩として。ちゃんとこれを食べないといけないしな!

はむはむ・・・はむはむ・・・ほんと!美味い!!


涙を流しながら食べている。


安藤快さん:ん・・・?それにしても・・・。


じーーーーっ・・・気になっちゃった。



安藤快さん:あのさぁ~みおちゃん!

ここに入ってから、ずっと気になっていたんだがさぁ~・・・。

このズンドコベロンチョ、入荷次第って。


どんな料理なの!?



みおちゃん:もぉ~私しらなぁ~~~い!!



みおちゃんの絶叫が轟いたw


暗転・・・。


次へ続く。