2013生誕祭:【ラスト舞台:65年目の恋文(ラブレター)第2幕⑧】 | What aわんだふるワールド

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がむばるベアーズ:マンセル、グラハムくんの奮闘日記。

~グラハム15歳の春~



母ちゃんを突然亡くしてから8年。


家を飛び出したグラハムはその後、一人で歩いているところを


警察に保護されるも。


母ちゃんの姉妹、親戚の家をたらい回しにされ。


その間、畑仕事を手伝わされるばかりで、まともに学校へ通わせて


くれる訳ではなく。


義務教育というものを、まともには受けてはいなかった・・・。



そしてある日、グラハムは親戚の家を飛び出し家出。


もちろん行く当てもなく、街をぶらぶら歩きながら。


住み込みでできる仕事は無いか?食べる事に困らない仕事は無いか?


そう考えた時に、この1枚の募集の知らせを目にするのだった・・・。


”料理人募集中”


字は読めなかったものの、この紙が何を意味しているのかは知っていた。


何件もの料理店へ行くも断わられ続けていたから他に無かった・・・。


働きながら、お金を稼いだ上に、お店の余りモノでいいから食べる事には


困らないだろう・・・という、単純な発想だった。

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グラハム:ここで10件目かぁ・・・今日中には何としないと・・・。


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グラハム:リョーリニン・・・ボシュウ・・・チュウ・・・。


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マンセル:裕子さん、そろそろ銀行閉まっから気を付けて


行ってきてなぁ・・・。


裕子:はいはい!仕入れのお金が足りないんでしたねw。


あと、誰か若くて優秀な料理人さん。来ると良いですねぇ~。


マンセル:若いのが育って独立するのは、別に良いのさ。


家の暖簾を分ければある程度やっていけるだろうしな・・・。



そこへ・・・。
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グラハム:ごめんください!あのぉ~どなたかおりませんか?



グラハムは意を決して店の扉を開いた!
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マンセル:ごめんよ!今日はお店休みなんだが・・・!?


グラハム:いや、あのぉ~表の紙を見まして・・・。



マンセルは一転して、募集の紙を貼って直ぐに人が来るとは


思わずに。表情が緩んだ。
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マンセル:まあ、いいからこっちへ入りなさい。


グラハム:お、おじゃまします!


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すると突然、グラハムくんは土下座をし始めた。


グラハム:お願いします!ぼくを!ぼくを!料理人になりたいんです!


行くところも無いんで、どうか!どうか!ここで使って下さい!


お願いします!



突然、一方的な事を言いだし驚く二人。
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裕子:ちょ、ちょっとあんたぁ~・・・いきなり何よぉ~もぉ。


マンセル:おいおいw!初めてきて・・・。まあまあ!顔をあげなさい。



さすがに驚く二人・・・。
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裕子:料理人じゃないんじゃなくて・・・?


マンセル:そういう事ではない、これから修行だってできるんだから。


話をちゃんとしないとならないんだから。
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グラハム:ご、ご、ごごめんなさい。


何十件と断わられ続けてしまって・・・つい・・・。


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マンセル:そーか、そんなに断わられ続けてここに来たんだね。


グラハム:あっ、はい!


マンセル:君、まだ若いね?家出でもしてきたんだろぉ?


正直に言いな・・・。



マンセルは今まで何人も若い料理人を看てきている経験上、


グラハムの素行を見た僅かの間に見切っていた・・・。



グラハム:はい、そーです。


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グラハム:あの・・・実は・・・。


ぼく、学校にもちゃんと通わせてもらえなくて・・・。


何にも分からないんですが・・・。でも、おばちゃんが作ってくれた


みそ汁だけは美味しくて。こんな料理作れたらいいなぁ~って・・・。


仕事になったら良いなぁ~って思って・・・。


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裕子:あら!大変。学校に行ってないの???


じゃあ、履歴書とは持ってないの?


グラハム:何ですか?その・・・リレキ・・・何とかって。


裕子:そうよ、履歴書とか経歴書とか・・・。あなたの今までの仕事


とか卒業した学校の経歴とかをまとめた書類よ・・・。


グラハム:ぼくは・・・小学校も出ていませんから・・・。



グラハムは、ここもダメかと落胆していた・・・。


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グラハムはもう、諦めて帰ろうとしていた・・・。


その時だった。

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マンセル:オイ!待て!!もうちょっと話を聞かせてくれないか?


帰るならそれからだって構わないだろ!?



グラハムは、ドキッとしていた。
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マンセル:まあ、こっちに座って話を聞かせてくれないか?


裕子:あなた・・・そうね。もう少し聞いてみないと分からないわね。


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そしてグラハムは、今日この日のこの時の出来事までを


マンセル夫婦に話していった・・・。


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裕子:それは大変だったわねぇ・・・。でも、よく一人で


がんばりました!あなた、見込みあるかもよ!!この方なら。


マンセル:よし!!気に入った!!!


明日から洗い場に入ってもらうぞ!!!


ただし条件がある!!


グラハム:条件ですか・・・?


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マンセル:その条件はな!


ここの洗い場で仕事して、一人前の料理人になる事!


それと、仕事をしながら。学校へ行く事だ!


グラハム:そーだ!学校だ!


マンセル:直ぐに学校へ行けとまでは言わない。仕事をきっちりと


覚えてからでもいい。それまではオレが仕事をお前に仕込む。


先輩の板前もここにはいるから、そいつの技を盗め。自分のモノに


しろ。それがここのルールだ!分かったか!?

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グラハム:ありがとうございました!!<号泣


マンセル:そしたら、今日から。俺はお前の“親方”だ!


こっちは“女将さん”と呼びなさい!!


これはな、仕事の上だけの親方じゃないぞ。


人生の上での親方でもあるんだ、いいかい!忘れるなよ。



女将さん:部屋は離れの2階を使って、開いているところなら


どこでも1部屋使って。仕事着は・・・後で用意するから・・・。


グラハム:親方!女将さん!ぼ。ぼく、精一杯ここで働かせて


もらいます!よろしくお願いします!!



こうして、家出していた少年の居場所ができた・・・。



暗転
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翌日の営業日・・・。


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和食料理のお店には、連日お客さんが来ていた・・・。


板前のもしゅもしゅ、親方は後ろで見守りながら創作料理の


段取りをし・・・。


グラハムは黙々と、洗い場で料理人になるべく。


修行の日々が始まった・・・。


この時既に、グラハムは運命の出会いを迎えていた・・・。



引き続き、【舞台:65年目の恋文(ラブレター)第2幕⑨】


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