≪第二幕前半からの続き≫
4月10日。出航の朝。
裕子:「あなた、今回のお仕事もがむばってきて
くださいね」。
マンセル:「うん!(気合いの入った返事)腕がなるよ」。
グラハム店長:「店一番の鉄人(アイアンシェフ)を送り出す
んだから、伯爵や、貴族の皆さんの舌を唸らせてきてくれよ」。
マンセル:「ガッテン承知ノ助ですよぉ~!」。
すると、沈黙していたボビーが意を決して前へ出た。
ボビー:「お父しゃん、この前ごめんね」。
マンセル:「いいよ、お父さんこそごめんね。ちゃんと
帰ったら遊園地に行こうね。
お父さんは絶対に約束を守るからね!」。
「お父しゃん、約束破った事無かったでしょ」。
ボビー:「うん」。
ボビーにはわかってくれたようだった。
ボビー:「お父しゃん、ぼくは一緒には行けないから。代わりに
ジョージを一緒に連れて行ってくれる?」。
マンセル:「いいのか?大事なジョージを連れて行っても・・・」。
ボビー:「ぼくには、お母しゃんがいるけど。お父しゃんは一人
ぼっちでしょ。ぼくだと思って一緒に連れて行って」。
マンセル:「いいぞぉ~、ボビーと一緒に旅をしながら仕事ができる
のかぁ?ボビーが一緒なら寂しくないな」。
ジョージは鞄に入り、家族の別れを見つめていた。
裕子:「気を付けて行って来てくださいね」。
マンセル:「行って来るね。(ちゅっ)」。
裕子さんにキスをする、マンセル。
ボビー:「ぼくもぉ!」。ボビーはキスをせがんだ。
マンセル:「よぉ~し!ボビーには、特大のちゅ~だ!」。
マンセル:「裕子さぁ~ん!ボビー~ぃ!行って来まぁ~す!
帰ったら遊園地行こうなぁ~。絶対だぞぉ~」。
船が港を離れ、少しずつ二人の姿が見えなくなっていった・・・。
そのマンセルは・・・。
処女航海へと出向していった・・・。
彼はこの船で料理長(コック)として勤務に就いたのだった。
1912年4月10日
イギリス リバプール港での出来事だった・・・。
ボビー:「お父しゃん、早く帰ってくるといいね」。
裕子:「3週間はかからないかもしれないよ」。
ボビー:「あんな大きな船が見えなくなっちゃったね・・・」。
裕子:「お早いお帰りを・・・」。
≪第三幕前半へつづく≫
舞台:「それ!ぼくのだぁ」前編終了。
前半のエンディングをご覧ください。