ラノベ「双頭の鷲―ハプスブルク家物語―」
ハプスブルク再び皇帝となる~虚弱な王フリードリヒ~④
「くっそぉ~、なんで、あのでくの坊にあんな可愛いお姫様が・・・・」
「酷い、神様って不公平過ぎる・・・・」
「まるで天使みたいな子が、あんな風采の上がらないオヤジと…ぐすん、可哀そう・・・・」
「よし!俺たちでエレオノーレちゃんファンクラブ作っちゃおうぜ‼︎」
自分の嫁でもないのに、遠い異国から来た花嫁を見た従者達はエレオノーレの美しさにデレデレしてしまう。
一方、当の花婿フリードリヒはと言うと・・・・
生意気にもこの男、この縁談話が持ち上がると下臣をリスボンにある宮廷に派遣し、エレオノーレの事をあれこれ調査したらしい。
そして、その報告を聞いた上で「これなら結婚しても損はあるまい」と判断したのだった。
おいっ‼︎これならって何だ!これならって…。
勿論、フリードリヒの狙いはエレオノーレのもたらす莫大な婚資。
「むふふ、これで借金は大方返せそうだな」
時は大航海時代。
海上貿易で発展を遂げたポルトガル王家の財力は計り知れなく、その王女となれば、ハンパない持参金を持ってくるだろうと目論んだのだ。
花嫁の到着を聞くと、用心深いフリードリヒは、この期に及んで下臣の報告に間違いがないか、一足先にシエナの街で花嫁の一行を待ち受けていた。
ふん、敵の襲撃もこの位機敏に行動すれば良いものの…。
流石に、男女の機微に関してはかなり鈍感なフリードヒリも、行列の中からエレオノーレを見つけると、その聡明で愛らしく、非の打ちどころのない美しさに、一瞬、心の奥に温かいモノを感じた…らしい。
(ど、ど、どーしょう!フリードリヒ36歳。
これ迄サホド女性とお近付きになった事がないのに、あんな絵に描いた様な子を妻に迎えるとは…。ハードルが高いなぁ、人生最大の難局。
何を話せば良いやら。はあ〜…(溜息)、カネだけ貰って辞める事は出来ないものだろうか)
フリードリヒはかなり動揺した。
そう、こいつフリードリヒは、新婚早々とんでもない行動に出たのだった。
つづく