オスカー・ゼメッシュ
ブラウフレンキッシュ トラディツィオン2013
ハンガリーとの国境に近いノイジードラー湖の南、オーストリアが東に突き出すあたりにあるミッテルブルゲンラント。
そのミッテルブルゲンラントにワイナリーを置くのがオスカー・ゼメッシュです。
ここはブラウフレンキッシュの名産地で、面積の半分以上を占めています。
土壌は水分を蓄える事が可能な深く重い砂とローム層で、暑く乾燥した夏の気候が、豊かなタンニンとパワフルさを与えています。
相続の伝統により畑の所有面積が小さく、以前は専業で経営の成り立たない栽培農家が多かった地域ですが、有能な生産者が小さな畑を購入したり、葡萄を買い付けると言う方法で産地全体の再編成が起こっているとの事。
また、積極的に設備投資をするワイナリーも増え、品質の向上が目覚ましい地域として注目されています。
さて、このオスカー・ゼメッシュですが、ワイン業界のカリスマ的存在であったティボー・ゼメッシュがネゴシアンからスタートさせた醸造所。
現在は息子のオスカーが母親のイラの会社に加わり、セラーの責任をすべて引き継いでいます。
「他のワインとの違いがすぐに分かる、土地独特のキャラクターとラベルを持つ、純粋で正直なワイン造り」を目指しているとの事で、今回ご紹介の「トラディツィオン」は「インペリアル」と並んでオーストリアでも売れ行きナンバーワンだとか。
さて、外観は縁に紫が残る濃い目のルビー。
香りはブラックベリー等、豊かな黒系果実の香り。丁子、甘草、茎等のバルサミック系の香り。赤身肉、土、カカオ等、香りの構成要素も豊か。
味わいは、アタックはスマートながら程良い果実味を感じたあと、エレガントな酸が最後まで続く印象。タンニンは酸に溶け込んでおり、細かくシルキーな感じ。甘味、酸味、渋みのバランスが非常に良いワイン。
このワインはタンニンがコクを与えると言うより、最後まで引っ張る酸が広がりを与えコクに繋がる感じ。
牛もも肉をソテーし、ワインの一部から赤ワインソースを作りましたが、シンプルなステーキにもOK.
また、手軽に野菜に牛肉を巻いた料理でも良いと思います。
普通赤ワインにお魚や魚卵は絶対に合わないのですが、オーストリアワインは懐が広く、意外と料理を邪魔しないのが嬉しいところ。
実は、佐賀に住んでいる叔母から立派な明太子を頂きまして、余っていた里芋でタラモサラダを作ったのですが、里芋のタラモサラダと一緒でも問題なく楽しめた程、料理を選ばないワイン。
普通、赤ワインに魚卵(タラコ)なんて生臭くなって飲めません。
酸もタンニンもこなれているので、グーラッシュの様な煮込みや、デミグラスソースで煮込んだハンバーグの様な料理とも合いそう。
シチュエーションとしては、女子同士でグダグダ飲みたいワイン。
パジャマパーティーではありませんが、お泊り覚悟で、日頃の鬱憤を話しながらスカッと。
やけ酒ではなく、仲が良い友人同士だから素の自分を見せられるよね、って感じで。
女子の本音に「ある、ある」とか「そーだよねぇ」みたいな飲み方かな?
ある意味、甘えたい時に飲みたいワイン。
勿論、レストランやビストロでカジュアルな料理と一緒に飲んでも素敵です。
未だ未だ若い外観。中心が黒いのは樽の影響から。