リッポン ピノ・ノワール2010 | Salon.de.Yからの贈りもの〜大事な事は全てお姫様達が教えてくれた。毎日を豊かに生きるコツ

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元ワイン講師であり歴史家。テーブルデコレーションを習いに行った筈が、フランス貴族に伝わる伝統の作法を習う事になったのを機に、お姫様目線で歴史を考察し、現代女性の生きるヒントを綴ったブログ。また宝石や精神性を高め人生の波に乗る生き方を提唱しています。

リッポン ピノ・ノワール2010


ブルゴーニュの高騰が止まらないので、どこか代わりになるピノは無いのかと、ニューワールドを探すも、ブルゴーニュへのオマージュを満足させてくれるものは、まず無い。


カリピノ(カリフォルニアのピノ・ノワール)も、万単位のカルトワインになれば、ブルゴーニュらしいエレガントさは期待出来るが、こちらの求める微妙の陰影がない。



フィネスが感じられないのだ。



勿論、現地で2千円位のカジュアル価格のピノ・ノワールは、果実味が豊かで、これはこれでブルゴーニュにはない味わいの出方をして面白い。そして何より安くて飲み易いのが売り。ワインを飲みなれていない人は、ブルゴーニュのピノを飲むより、カリピノを飲んだ方が断然良いと思う。


どうせダメならと私が注目しているのは、南半球。特にニュージーランドです。


ピノノワールは冷涼な気候を好む気難しい品種です。

この気難しいお嬢さんが、5千円位で、比較的ブルゴーニュ的要素を見せてくれるのがニュージーランド。


個人的な感想では、オーストラリアの方が若干渋みが出るかな?と言う印象だが、これはボトルによっても違うので、一概にオーストラリアの方がダメとも言えないのが難しいところ。



オーストラリアのピノでも、ニュージーランドを上回るエレガントさを持つピノも多数あるので、オーストラリアとニュージーランドを合わせて注目して頂きたいと思います。


さて、リッポン ヴィンヤードのピノノワールは、セントラルオタゴのワナカ湖の岸辺に広がる葡萄畑。


セントラルオタゴはニュージーランドの最南端に位置します。


寒暖の差がはっきりとし、真夏には摂氏35度を超える日もあるものの、夜間は10度以下まで下がるという大きい日較差が見られ、ブドウは生育までに時間をかけてゆっくりと成長します。


ブルゴーニュと同じ標高200350mのセントラル・オタゴのなかでも、リッポンはそのサブ・リージョンであるワナカ湖の岸辺、標高330メートル前後の場所に広がっていまさ。湖に向かって緩やかに下る、氷河期のモレーンからなる北向きの斜面のうち、水捌けのよいシストが見られる礫質土壌にブドウは栽培されていて、湖の向こうには頂に雪を残すニュージーランド・アルプスが望めるという立地で育成されています。


香りはやや閉じ気味。


クレーム・ド・カシスの香り。バニラ、甘草、若干土っぽさ、カカオ。

生肉(若干熟成感あり)、インク、血と言った、若い赤ワイン特有の香り。

ヨード香も感じられる。


味わいはアタックにほのかな果実味。ややスマートな印象。エレガントでこ慣れた酸が直ぐに口中に広がり、中盤からシルキーなタンニンがジワジワと押し寄せてくる感じ。

アフターに、カカオの様な、しかし優しい苦味が戻ってくる感じです。


ピノノワールらしく軽快に纏まっているが、香りに適度な複雑性を感じ、味わいはバランスよく纏まっている印象。

最初に一口飲んで「あっ、美味しい」と感じるワイン。


個性の強さを押し出してくる様なワインではないので、出汁を活かした和食でも邪魔をしません。



むしろ、個性の強い食事には合わない。

頑張ってワイン向きの食事を作らなくても、家庭料理に寄り添ってくれるワイン。


ブルゴーニュのピノノワールと比較すると、ブルゴーニュに比べて日射量と気温に恵まれた地域で作られた印象のあるワイン。

しかし、その中に、冷涼な気候ゆえ、果実がきれいに酸を残しながらゆっくりと熟した事が伺えます。


あえて言うならば、ブルゴーニュに例えるとグロ・ファミリー系。


ニューワールドでも満足の行くピノを探すには5千円台は覚悟しなくてはならないと言う事か、それとも、トップレベルのピノを知ってしまったが故の功罪なのか・・・・。


今更ながらですが、結論から言うと、美味しいワインは新・旧(大陸)問わずあります。

しかし、テロワールを映し出し、美味しいと言う一定レベルを超えたところにある、フィネスや美を追求した時、やはり指標となるのがジュヴレシャンベルタンやヴォーヌ・ロマネの真摯な作り手であり、1er cru以上の選ばれたワインとなってしまうのだと思う。


そこを指標として、週末にデイリー気分で飲むワイン、ご褒美感覚で飲むワインとクラス分けをした時、1週間頑張った自分をリセットする為に飲むワインとしては持って来いのワインである事は確か。


※前日に飲み切れず、テイスティンググラス2/3弱程残した為、翌日に飲んだところ、味わいに変化はないが、若干サマートリュフの様な印象が感じられた。

多分、個々の香りが一緒になって、錯覚的な印象に繋がっているのだろうと思う。



ワインが少なくなった頃、香りを開かせる為にグラスを回すと、若干バローロを思わせる赤系の凝縮した香りも感じられる。



ピエモンテの冷涼でありながら、日差しの強い土地柄を思うと、ニュージーランドのピノノワールに共通する香りがあっても可笑しくない。