【わかってるならどうして会いたいばかり言うの?】

【会いたかったから】

【それはダメだよ。お互いがこうやって傷つくじゃない】

【でも好きならしょうがないだろ?簡単にコントロールできるなら、僕だって悩まないんだ!!】

【わかるよ。わかるけど、あたしには今、やらなくちゃいけないことがあるのも、わかってくれてるよね?】

【わかってるつもりだよ】

【どうしても今じゃなきゃいけないなら、別れるしかないよ。あたしには無理だもの】

【…そうだよね】

ルカさんは正しい。圧倒的に。あと何ヵ月か我慢すれば、彼女には"自由"が手に入る。けど、まだ幼い僕には簡単に割りきれなかった。

口では"わかってる"って言っても、どっか自分の気持ちばかりを優先していた。

少しの間メールが途切れ、僕は考えていた。うまくいく方法を模索していた。

僕が我慢するか、別れるか…。その2択なら…答えは決まっているようなものだ。

【ごめん。別れたくない。でも会いたい】

【それはあたしもだよ。でも求められても答えられないから、悔しくて、申し訳なくて…】

【会いたいって言うことがルカさんを傷つけるなら、もう言わないよ。本当にごめん】

【あたしこそごめん。でも無理はしないでね】


…残酷なことを言う。無理なんてしなくちゃ、堪えきれないよ。


それから1ヶ月。

僕は"会いたい"と言わない代わりに、食べられなくなった。自分の気持ちを言うことが、彼女を傷つけてしまう。その怖さだけが僕を支配して、動かしていた。

『ねえ?ちゃんと食べてるの?』

「…俺には姉ちゃんいないですよ?」

『そうじゃなくて!!マジメに心配してるんだよ!!…うまくいってないの?』サオリさんが真剣な目で僕に言う。

「うまくいってなくないです」

『そう…ならいいけど、無理しないで』

どいつもこいつも"無理するな"…か。

それ自体が"無理"だろ。

心配してくれる優しさを、なぜかその時の僕は、苛立ちに感じた。

体重が48kgにまで落ちた。さすがに周りが見かねたのか、仕事が終わったあと、アツさんとサオリさんにファミレスに連行された。

『…食え、少年』

「いや、あんまり腹が減ってないんで」

『そんなわけないでしょ!!』

二人の目が怖い。だけど…食べる自信の方がない。

とりあえず僕は飲み物だけ頼んだ。